第6.5話 異世界転生
「ここが異世界…!」
俺は感動に胸を震わせていた。
あたりには読めない文字の書かれた看板の店、そしてその店の前に売られている見たこともない食べ物
見渡せばいかにも冒険者と言わんばかりの鎧を着た人たち、背中に剣と盾を背負っている若い青年もいれば、大きな斧を背負った剃髪のおっさんまでいる。
と感動していると目の前の大通りに馬車が通った、一瞬馬車の中に入っている荷物が目に入った。
毛皮や何かの骨、さらには変色した肉の塊、間違いないモンスターの素材だ。
「本当に来たんだ!」
俺はガッツポーズで腕を上げた。
まさかトラックにひかれたら本当に異世界に来るなんて思いもしなかった。
神様マジでグッジョブ。
俺は大通りを周りを見回しながら歩いた。
「ごめんなさい…」
小さな声だが確かに聞こえた。
蚊の鳴くような声に反応し、その方向を見ると路地裏に引き込まれる少女を見た。
少女を引き込んでいる奴の顔は明らかに人相が悪い。
「来たか、このイベント」
俺はにやりと笑みを浮かべて路地裏まで走った。
路地裏では少女が頭を下げている。
その横で腕を組んでいるいかにも悪人面のおっさん。
やはりな、このイベントはやらないとな。
路地裏で困っている少女をチートスキル祝福<ギフト>で助ける、テンプレだな。
「そこで何してるん…です?」
俺はその二人に割って話しかけた。
やべ、すごい目でおっさんに睨まれたせいで後半勢いなく敬語になってしまった。
「なんだお前は、こいつの仲間か?」
「そうじゃない…ですが、困っている様子だったので…」
だんだんとしりすぼみになる俺。
「関係ないなら出ていきな、さもなくば…」
おっとこれは期待道理の展開だ、少し俺のセリフがダサいがイベントはちゃんと進んでいるらしい。
「やろうって気ですか…」
俺はすっと構えを取った。
「衛兵に突き出すぞ」
「その気なら…ん?」
衛兵って確か町を守る警察みたいな仕事だよな…?
「あれ?」
そんなことしたら捕まるのこのおっさんじゃね?
「それだけは!お願いしまう!」
すると少女がおっさんにすがる。
「知るか!この泥棒が!」
「え?泥棒?」
「そうだ!こいつはうちの店の大事な商品を盗んだ泥棒だ!」
「えええ…」
そうだったのか、確認するように少女を見ると下を向いていた。どうやら本当らしい…。
なんだ、おっさんが被害者だったのか…。
「だからさっさと出ていきな!」
「えーと」
どうしよう、そうしよっかな。
なんか思ってたのと違ったし、俺関係ないし、捕まりたくないし。
「あー、でもなぁ、ここでやめるのもなー」
せっかくの異世界なのになー、フラグくらいは回収しといたほうがいいよなー。
「何をぐちぐち言ってやがる」
「あー、ちなみに何を盗んだんですか?」
すると驚いた様子の二人。
「なんだ、お前代わりに払う気か?」
「一応…」
「それなら金貨500枚だ」
金貨500枚か…金貨の価値が全然わからんから多いのか少ないのかさっぱりだ。
まぁ何とかなるか。
「500枚か分かった」
「本当か?」
おっさんは俺の言葉に目を大きく開いた。
「ああ、だが今手元にはない」
「なに?」
「だから冒険者ギルドの場所を教えてくれ、そこで稼いで持ってくる」
「お前頭おかしいのか?」
すごく心配した表情でおっさんは俺を見た。
やれやれ、それじゃ見せますか。
確か神様がこの世界にはほかにも異世界から来た人がいるって言ってたな。
なら伝わるはずだ。
「祝福<ギフト>スキルガンナー」
俺はそういうと手元にずっしりとしたものが握られいた。
それは拳銃だった。
「お前、今…」
「ああ、言い忘れたな。実は俺異世界者なんだ」
俺は拳銃を構えて不敵に笑った。
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