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もう一度仲間と始める冒険生活  作者: 四月一日
3/8

第3話 祝福<ギフト>

イツキは吹雪が収まり次第向かうと決め、その日はイツキの家で過ごしたホタルとアオイ。


そして今はまだ日が出ていない早朝、移動するための食事などを店の中で物色するイツキ。


「こんなとこかな、悪いなこんな時間に無理行って買物させて」

「いいってことさ、その分割増しで買ってくれるんなら深夜だって店を開けてやるさ」

そう話す店員からイツキは食べ物などを詰めた大きなカバンをもらい、小袋に入った金貨を渡す。


そしてほくほく顔の店主のもとから、ホタルとアオイと共に店の外へ出た。

「それじゃ行きますか!」

ホタルが笑顔で腕を上げた。

「へいへい」

イツキは軽くながし先に進んだ。


「これからどうするんですか?」

するとイツキの隣に歩いていたアオイが問う。

「そうだな、まずはスーデンの町を目指すかな」

「スーデン?ノルデンの反対方向ですよ?」

「ああ、だが歩いていくには無理がある距離だ。あの町なら近いし馬車が借りれる。少し遠回りになるけど馬車があったほうが移動も早いし楽だ」

「なるほど」




俺は村を出てスーデンを目指し山道を下る。

俺が住んでいた村は山の中腹にある村で人気のない所だ。ここから山を下りしばらく歩けばスーデンの町に着く。


俺は祝福<ギフト>があるため難なく山道を下るが、二人は雪に足を取られそうになる中慎重に移動している。

この様子からスーデンの町までは二日はかかるだろう。

そう思った矢先俺のスキルが発動した。


<生命探知>付近の魔物や敵対者を自動で探知する便利なスキルだ。


「いるな」

俺は片手を前に出した。

「スキル発動ガンナーっと」

俺がそういうと俺が出した手から拳銃が現れた。


「すごい!これが祝福<ギフト>ですか」

アオイが目を輝かせて俺の拳銃を見る。

「ああ、俺はガンナーって言って、弓みたいな遠距離武器を出すことができるんだ。


軽く説明しアオイに指示を出す。

「魔物と戦闘になるから、アオイはホタルの傍に居ろよ」

「え!?わっわかりました!」

アオイは急いでホタルの後ろに隠れた、だがその眼は俺の拳銃に興味津々だ。

「まぁ見てな」

俺は少し自慢げに拳銃を構えた。


そして敵がいる方向に打った。

パァンっと乾いた発砲音と共に雪から赤いしぶきが出た。

「わっすごい音」

「ああ、ごめん。これ音が鳴るんだ、いうの忘れてた」


「あそこだね!」

ホタルは裾をまくり腕に取り付けてある小さなクロスボウを構えた。

「ああ、用心しろよ」

「分かった!」


ホタルの返事を聞きながら俺は再度拳銃を魔物に打ち込む。

魔物はこちらに気づき真っ直ぐ向かってくる。


(あれは恐らく、スノーラビットだな)

ラビットという名前ながら凶悪な魔物で白い毛皮で雪の中に溶け込み襲う魔物だ。


鋭い爪は引っかかれると肉を破り骨まで到達するほどの切れ味を持っており、牙に噛まれれば腕なら簡単に引きちぎられる。


ついでに言うとラビットという名前のわりに体長は三メートルある。


(ラビットなのは見た目だけなんだよなー…)

そんなことを考えながら一直線に近づいてくるスノーラビットの頭に狙いを定め撃ち続ける。


スノーラビットは銃弾に怯むことなく俺に近づき鋭い爪を振った。

「やば!」

俺は間一髪で回避する。


(今のは危なかった…戦うのが久々過ぎて腕がなまってる!)

「バレットチェンジ!ショットガン!」

俺が叫ぶと拳銃が散弾銃に変化した。


そしてスノーラビットから、再度振るわれる爪に目掛け散弾銃を撃った。

「!?」

スノーラビットの腕が大きく跳ね上がり爪が砕けた。


「終わりだ!」

すかさずスノーラビットの頭に、散弾銃を何発も撃ち込んだ。

そして、倒れたスノーラビットは形が崩れ灰になった。


残ったのは毛皮だけだ。この世界では魔物は死ぬと毛皮などのドロップアイテムを落として灰になる。


「んじゃ、行くか」

俺は落ちている毛皮を無視して先に進む。

「拾わないんですか?」

「んー、まぁ今は別にいらないんじゃない?」

ドロップアイテムは売ればお金になるが、正直お金には困ってないので先に進む。


「ぐぬぬっ、もったいない」

ホタルが恨めしそうにスノーラビットの毛皮を見ていた。

だが拾う様子はない、スノーラビットの毛皮はそれなりに重たいしかさばるので、お金のないホタル的にも拾うことはしないようだ。


「この依頼をこなせば、金が手に入るだろそれまでの辛抱だろ?」

「…うん、そうだね」

「?」

(ホタルにしてはやけに反応が薄いな)

表情もなんだか暗いような様子のホタル。


「どうかしました?」

俺が怪訝に思っているとアオイが話しかけてきた。

「いや、なんかホタルの様子が…」

「私がどうかしたの?」

するとホタルが不思議そうに聞いてきた。

その様子はいつものホタルだった。


「あれ?」

(さっきまで神妙な顔してたのに…)

なんだったんだろうか…?

不思議に思ったが、ただの気のせいかもしれないので誤魔化して先へ進む。




それから何度か魔物と戦闘になるも、イツキが瞬く間に倒していく。イツキ曰く久々の魔物との戦闘は、なかなかにスリルがあって楽しいものだと言っていた。

「本当にすごいですね」

「うん!」

私とアオイちゃんは二人でイツキの戦闘を見守っていた。


「ふぅ、終わった」

イツキが武器をおろして私たちのもとに駆け寄ってきた。

「それじゃ、行こう」

「あの…よかったらリュック持ちましょうか?」

するとアオイちゃんがイツキに向かって両手を差し出した。


「え?」

「えと、その…」

困惑するイツキに言葉に詰まるアオイちゃん、仕方ないので私が助太刀する。

「少しでも役に立ちたいんだよ、そうだよねアオイちゃん?」

「はい…邪魔にならなければ…」

「はあ…?」


するとイツキが私に耳打ちしてきた。

(どういうこと?)

(アオイちゃんってなんか、常に誰かの役にたちたい性格の子なんだよ。)

(なんだそりゃ?)

(私と二人きりの時も、よく何かと手伝おうとしてくれたんだよ)

(そうなのか)


「まぁ、なんだ。ありがたいけど…俺は祝福<ギフト>あるから大丈夫だよ」

「そう、ですか」

そういうとアオイちゃんは両手をおろした。

「そ、それじゃ行こうか!」

気まずくなる前に、私は元気に声を上げてアオイちゃんの手を取り一緒に歩く。


それからしばらくの間魔物に出くわさず雪道を歩いた。

この時期は滅多に人が通らないので雪が深く、私とアオイちゃんは思うように移動できない。


ちらりと先にいるイツキを見ると、豪快に雪を蹴飛ばしながら移動をしている。

何でも祝福<ギフト>の効果で足に疲労がたまらないんだとか。

そのため雪を蹴りながら移動しても何も問題ないらしい。


「はぁ、はぁ…」

ふとアオイちゃんのほうを見ると、玉のような汗をかきながら歩いている。

「疲れたね、アオイちゃん」

「はぁ、はぁ…だい、じょうぶです」

アオイちゃんは絞り出すように声をだした。


「…」

私はその場で止まる。

「どう、かされ…ました?」

「うん、休もっか」

「わた、しなら、平気ですよ?」

(全然平気そうじゃないんだよ)


「イツキー!」

少し先にいたイツキが振り返る。

「ちょっと休ませてー!」

「おーう」

イツキはこちらに歩いてきた。


「本当に、私は大丈夫ですよ」

アオイちゃんは私の腕を引っ張って大丈夫だとアピールする。

「うーん…私が疲れちゃったんだよ」

「そうなんですか」

「うん、のども乾いたしアオイちゃんは?」

「私も少し…」


そう言って私はその場で腰を下ろしリュックの中から水筒を取り出した。

「はい、アオイちゃん」

「ありがとうございます」

渡された水筒を一口だけ飲んですぐに返した。


「それだけでいいの?」

「はい、大丈夫です」

すると後ろからイツキが近づき話しかけていた。

「雪道だと、知らない間に脱水症状になりやすいぞ」

「そうだよ、もっと飲まなきゃ」

私は水筒をアオイちゃんに再度渡す。


「ええと…」

アオイちゃんは困惑した表情を浮かべた。

「アオイちゃんは無理しすぎたらだめなんだよ」

「でも…あの…」


私がどう説得しようか悩んでいると、イツキが頭を掻きながら語る。

「いいか、この依頼は君を安全に送り届ける依頼なんだろ。君が倒れるのが一番困るんだ」

「…わかりました」

そういうとアオイちゃんは水筒に口をつけた。


私はイツキに耳打ちする。

(グッジョブ!イツキ!)

(面倒くさい性格の子だな…)

(それは…まぁ、しょうがないよね)

(何か知ってるのか?この子のこと)

(ちょっとだけ)


「さて!行きますか!」

イツキが怪しむ中私はごまかして立ち上がった。

読んでいただきありがとうございました。

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