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夜の遠くの音

作者: 浦田茗子
掲載日:2020/10/19

 

 夜、湯船に浸かっていると、遠くの音が聞こえてきます。


 縄跳びのような「ひゅん、ひゅん、ひゅん……」。普通の縄跳びではありません。小学校の時の長縄を回すような音です。

 この音をこの瞬間に聞いているのは私だけなのか不思議な気持ちがして、あるとき食卓で家族に尋ねてみました。すると、父は「そう言えば何だろうね」と言い、母は知らないと言います。

 その音が何なのか、電波塔の電線を流れる電気の音ではないかと想像していますが、実は知らなくていいと思っています。そんな余白が残されていたっていいと思うのです。

 

 バイクのマフラー音。小さい白い煙たちがもくもくと出て、ライダーたちが国道を走り去る音でしょうか。

 その人はずんずん先へ走っていきますが、私は家の湯船のなかにいます。その人は、入浴している誰かが自分の存在を意識していることを知る由もないでしょう。

 そんなことがなぜか、私は愛おしい気がしています。


2022年2月1日 改訂

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― 新着の感想 ―
[良い点] はじめまして。 子供の頃、車内から偶然、歩道にいた子供と一瞬だけ視線が合った事があります。 多分、子供は視線が合ったとも思っていない、すれ違っただけのほんの一瞬のことです。 あまりに小さ…
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