20話 王城にて決着をつける話
「行くぞ。娘人質に取って隊長を好き勝手しやがったこの国への反撃だ」
ベクターとフィーネを守るように立ち並ぶ、一番隊の衛兵たち約三十人。
彼らは国や王よりも、自分たちの部隊の隊長を優先した。言わば、忠誠のために国を敵に回した男たち。
元冒険者やギャングだった者たちの意地がここに集結していた。
「何をしているのです?全員王への反逆罪で処刑になりますよ?」
ノーブルが冷酷な目線で見下しながら、淡々と告げた。
だが誰一人として臆すことなく、堂々と胸を張る。
「はっ、そんなことできねえよ!一番隊が丸ごと裏切り、三番隊はここにはいない。残るのは二番隊のヘタレだけだ。ろくに戦力のないお前らに、俺たちを殺せるような力があんのか?」
カインが力強く吠え掛かる。
…まあその通りだろう。俺が戦った経験から察するに、カインは二番隊のアイツらよりは確実に強かった。隊長のやり方とかを予想すれば、一番隊の方が個々の戦闘力が高いと考えるのが自然。
「それがどうしたぁ!呪具さえなければお前らが何人集まろうと僕に敵うものかああああ!!」
また怒り狂っている奴がいた。目が血走って長剣を持つ手が遠目にも認識できるくらい震えている。
普段の冷静を装った仮面はあっさり剥がれるな、アイツ。
ドスドスと音を立てながら、一歩ずつ一番隊の塊へと歩み寄る。
殺気が全身からあふれ出していた。
「おっと、アンタと戦うつもりはないぜ?」
塊からカインが一歩前に出てきた。
そしてそのカインの状態を見た途端、ワーグナーの足が止まった。
カインは腰から小刀を取り出し、その鋭い刃を自分の首筋に当てていた。
まさしく死神のごとき薄ら笑いが目の前で怒り狂う騎士を嘲る。
「回復はしたが、呪具が消えた訳じゃない。…余計な真似するんじゃねえぞ」
…ハッタリじゃない。
あのカインなら、ワーグナーが暴れた瞬間に本当に首を掻っ切る。
あの呪具の持ち主が自死した場合、呪詛の対象は最後に自分を傷つけた生物が優先される。
…そう、百%ワーグナーが対象となり、回避不可能な呪いによって殺される。
だから手が出せない。
「…二番隊、総員出動。そこの反逆者たちを一人残さず討ちなさい。呪いの男は僕以外を殺す気はないようなので心配いりません」
その声に呼応し、一人、また一人と観客席から立ち上がり、二番隊の隊員が王の御前に降りてきた。
そしてもう一つの塊ができあがり、一番隊の軍隊とにらみ合う。
「ムカつく一番隊を合法的に殺せるってのはいいよな…!いや、もう一番隊ですらないただの罪人の集まりか」
「本気の殺し合いを知らねえ坊ちゃん共が何吠えてんだよ、冒険者上がりをなめんな」
互いににらみ合う膠着状態が続く。
二番隊の兵の一人が、後ろで腕を組んで待機するワーグナーに話しかけた。
「隊長。しかけましょう」
「…ええ、衛兵がなんたるかを証明する戦いです。敗北は許しません」
カインも、後ろでフィーネの頭に手を置いているベクターに開戦を促す。
だが、肝心のベクターはまだ納得しておらず、戸惑ったままだった。
「行きましょう、隊長。」
「…この戦闘は、正しいものなのだろうか…」
「パパ、フィーネはもう離れ離れはやだよ…パパとママと、一緒にいたいよ…」
「「「…。」」」
「…すまないな、お前たち。しがない父親の我が儘に付き合ってくれ」
「「「オオオオオオオオオオオ!!」」」
その一言を引き金に、一番隊の衛兵が勢いよく突撃した。
二番隊もそれに応じるように突撃。
王城の一室にて、国の軍隊同士での大規模な内乱が勃発する。
「くたばれぇ!!」
「おらぁぁ」
「ぐああっ!?」
剣が舞い、壁が汚れ、生臭い血が飛び散る。
見るのもおぞましい、乱闘が始まった。
このままだと俺も巻き込まれる。ひとまず避難しないとな…。
ベクターのすぐ近くにまで避難した。
おっさんはフィーネをがっちりホールドし、絶対に離れないようにしていた。
親というのは難儀なものだ。
「…お前さんは、この内乱に大義があると思うかね?」
「俺は強さを悪と見なされてきた身だ。大義なんて知ったこっちゃねえよ。...だが、親子を力ずくで引き離し国の道具として使い潰す政策なんて、納得がいかない」
「...ふっ。やはりお前さん、魔王向いとらんよ」
「前にも言っただろ。俺が名乗った訳じゃないって」
ベクターは落ち着いた顔でフッと笑ってから、左手でドアの奥の方を指差した。
「この部屋を真っ直ぐ進んで、階段を降りて地下へ行きなさい。囚われの姫はそこにいる」
「...」
「なに、私も隊長の端くれ。手負いだろうと、こんな小競り合いくらい収めてみせるさ」
「忠告しておくが、アンタはリビールの実を飲んだんだ。間違っても戦うんじゃねえぞ」
「自ら戦闘するだけが衛兵じゃない。この戦いが終わったら、お前さんにも軍隊の指揮ってのを教えてやろう」
「へっ、余計なお世話だ。…あと、そういう発言は世間で出回っている物語じゃ発言主が死ぬ前兆らしいぞ」
互いにニッと笑って、俺は背を向けて歩き出した。
重い足取りではあるが、一歩一歩確実に足を進めて乱戦の部屋を抜け出し、階下を目指す。
一度後ろを振り向くと、フィーネが手を振っていた。
俺も左手を挙げて応えた。気づいたときの少し緩んだフィーネの表情は、なんというか印象的だった。
「ぜえ…ぜえ…ここか」
倦怠感が尋常じゃない。
右腕の出血はなんとか収まったが、まだ上げるだけでも辛い。
だらりと下がったまま、左手一本で重いドアを開く。
鈍い金属音がする。このドアめちゃくちゃ古いな。
なんとかドアを開け、内部へと侵入した。
…中は薄暗く、真っすぐの一本道で右側に囚人用と思われる鉄格子が並んでいる。
この中にメロウが…!
「メロウ…ここにいるのか?」
「レイブンさんっ!!」
いた!
少し奥の方だ、あっちか!
声のする方へと歩き、鉄格子の奥を覗いた。
「レイブンさん…!け、怪我が…」
メロウは俺の姿を見て一安心してくれたようだが、血を被った姿を見て目に涙を浮かべた。
「大丈夫だ…と言えたらカッコいいんだが、流石にキツい。その手枷ぶっ壊すから、回復魔法を頼む」
「…はい!」
頼もしい。
こんなことになったのに、心が折れずに平静を保っていられるのは凄いことだ。
俺が来ることを信じてくれていたのだろう。だから俺もそれに応えた。
「あー…でも腕力残ってねえ…魔法でなんとかするか」
詠唱を開始し、無理やり感覚を集中させる。
決闘の瞬間とその直後はなんとかなったが、一旦落ち着いてしまうとやはりしんどい。
ここまで重傷になることなんて何年ぶりだ…娘を守るための父親の意地ってやつか。
「冷たいと思うが我慢してくれ」
ジオレイズからワンランク下の氷魔法、フリージオを起動。
メロウの腕ごと、手枷を氷結させる。
「んくっ!」
メロウがピクリと反応した。
すまないが、今はこうするしかない。
そして左手の紋章を握りつぶし、魔法陣を破壊。
手枷もろとも氷の塊が砕け、氷の破片が飛び散り、ダイヤモンドダストのように煌びやかに舞い散っていった。
メロウは自由になった掌を眺め、足元でバラバラになっている手枷を一瞥し、それから俺の方を向いた。
「えっと…なんだ…助けに来たぜ、お姫様」
左手を前に出し、少し砕けた表情をしてみた。
かっこつけてみたが、どうだろうか。
「…ふふ。血だらけのまま来られると、お姫様は怖がってしまいますよ?」
…笑われた。これ、結構勇気を出したんだが。
血だらけの状態でかっこつけるのは駄目らしい。
囚われの姫を救出する系の小説だと、こういう場面での決め台詞でヒロインを惚れさせるのが定番だと聞いたんだが、実際はこんなものか。
「……でも、信じてましたよ。その傷は私が治すんで…決め台詞、やり直します?」
屈託のない笑顔でニコリとほほ笑んだ後、俺に回復魔法をかけてくれる。
じわじわと傷が癒え、痛みが引いて右腕に力が入るようになってきた。
「…おお!動く!」
剣を持って戦うのは厳しいが、最低限の力は入るようになった。
メロウの魔力も一線を画すものがあるな。
「助かる。ありがとう」
「どういたしまして。…やり直しますか?」
「傷は癒えたが、血は取れてないから意味ないだろ」
「あれ、バレました?」
…今更だが、地下牢の中でこんな会話できるなんてメンタルどうなってるんだ。
メロウはこの状況に恐怖していないのか?
今もニコニコしている。もしかして、俺が来たからか?
…まあいい。
「それじゃあ、さっさと脱出するぞ」
「…フィーネちゃんは大丈夫ですか?」
メロウが一度顔を曇らせ、心配そうに聞いてきた。
ああ、そういえばフィーネのことはあの場にいなかったメロウは知らないか。
「心配いらん。なんせ、超強い隊長の親父が傍にいるからな」
「…やっぱりベクターさんの娘さんだったんですね」
「なんだ、メロウも知ってたのか」
「一度ここで話をしたんです。恐らくそうだろうと思ってました。…でも、レイブンさんはあの方との決闘をしたんじゃ…!」
心配しているメロウに向けて、俺は渾身のドヤ顔を決めた。
「大変だったよ、相手を殺さない勝利は」
「! …やっぱりレイブンさんは、優しい魔王さまですね」
キラキラした目で言われるとやっぱり照れるな。
…問題ないとは思うが、フィーネと…あとおっさんの所に寄っていくか。
「…心配なら、フィーネを迎えに行くか?メロウの魔法があればなんとかなるだろうし」
「行きます!次は私がレイブンさんを守ります!」
心強い返答。これなら大丈夫だな。
まだそこまで時間は経っていないが、あの乱戦は終わっただろうか。
メロウを連れて、俺はもう一度階段を上がった。
一度目は忌々しい思いで開けたドアだが、もう怖くない。
俺の戦いは終わり、メロウの救出も成功。
フィーネも無事だと思うが…おっさん、ちゃんと守れているよな…?
メロウと二人でドアを開け、中に入る。
「「…」」
「お兄さん!お姉さんも!」
「なんだ、お前さんか。…それにお姫様もいるじゃないか。心配してくれたのかもしれんが、もう終わりさ」
ベクターの言う通り、全てが終わっていた。
この乱闘の結果は火を見るより明らか。
一番隊の圧勝だ。
二番隊の衛兵は多くが重傷、そして残りは戦意喪失。
対して一番隊の重傷者は見る限りゼロ。そして皆団結して相手を見据えている。
完全に勝負あり。
完膚なきまでの敗北を喫したワーグナーは膝を着き、ブツブツと何かを呟いている。
「なぜ…ああ、なぜ…」
ベクターは一度フィーネを離し、メロウに預けた。
「すまない。少しの間だけ娘を任せる」
メロウはフィーネとしっかり手を繋ぎ、離れないようにした。
だが何のつもりだろうか。
「…はい。でも貴方は何を」
メロウに反応するより前に、ベクターは一歩前に出た。
そして、前方で歯噛みする王に語りかける。
「敬愛なる王よ、今回の一件をもちましてこの私ベクター・モートは免職、王城衛兵隊の一番隊は解散でございます。誠に残念ではありますが、残留される二番隊と共に、益々国家の繁栄に臨んでいただけたらと存じます。…それでは」
「ベクター…!」
「貴様ぁ…!王を侮辱してから去るなど…一番隊の反逆者共がこのタグナスで安寧に暮らせる日が来ると思わないことです…!」
ノーブルが顔を真っ赤にして喚いた。
大きく膨れ上がったプライドをズタズタにされた挙句勝ち逃げされたのだ、その怒りは抑えきれないものなのだろうが、俺たちからすればまさに滑稽。
罵詈雑言が終わり、静寂が訪れる。
ベクターは下で膝を着くワーグナーを見下ろし、静かに呟いた。
「…これで一番隊は消滅。二番隊と三番隊がそれぞれ繰り上がり、また新規兵の選定が行われるだろう。…お前は自分の望んだ一番隊隊長に、自動的に成り上がるんだ。笑ったらどうだね、ワーグナー・ギルト?」
「はは…、これで僕は…上に、僕が…」
渇いた笑い声が閑散とした部屋に木霊する。
王を妄信し、我欲のために多くの人を傷つけた哀れな騎士の末路を、俺たちは蔑んだ目で見つめていた。
全てが終結した大部屋にて、ただ静かに、時は流れていく。
☆
…まだ右腕の倦怠感は完全には回復していない。
戦闘はまだできそうになかった。最も、あの深い刀傷を負った状態から復活できそうだという時点で奇跡のようなことであり、メロウには感謝しかない。
俺にとっての最低な日から一夜。
ワーグナーの暴挙と俺とベクターのおっさんの決闘によって、国の情勢が大きく動いた。
『衛兵隊隊長は王の奴隷! 一人娘を人質に取られ、魔王との戦闘を余儀なくされる』
今朝の新聞の一面の表紙だ。
俺の話よりも、ベクターのおっさんとフィーネの話の方が分量が多いように感じる。
それだけおっさんは人望に厚く、街での人気が高かったということだ。
そこを見誤っていたのがワーグナーや国の第一の敗因だったのだろう。
人気商売の如く、一番隊を利用していたのが裏目に出たのだ。
その一番隊は王の意向に逆らったことで解散。
現在は、ベクターを含む多くが冒険者として生活を営む方針らしい。
カインやアルドのように元々銀ライセンス並みの冒険者だったり、そのカインに対抗できる実力のメンバーもいるなど、かなり有望視されているんだとか。
国のサイドとしては、一番隊に罰則を与えたいそうだが、ガーディスはペナルティ無しで彼らを受け入れる体勢を崩さず、世論も国の案に賛成ではないようだ。
その一方で、俺に関しての情報も記載されていた。
流し読みしながら俺の情報を探していくと…
『突然王城に襲来し、ベクター氏と死闘を繰り広げた。下僕と思われる人物を使役して情報を外部へ漏洩させ、瞬く間に消え去った。』
…なかなかにこじつけが酷い。
メロウに関する話は完全にカットされており、その結果俺は突然侵入した刺客みたいな扱いを受けている。
しかもなんだ下僕って。スイランに聞けば下僕でもなんでもないことくらい、すぐに発覚するだろうが。サボるんじゃねえ。
…と、イライラする点がないではないが、まあ皆無事で終えることができたから良しとしている。
メロウを始めとする俺の仲間たちは、こんな紙の情報で俺を見限るとはとても思えない。
「…あっ、ベクターさんからですね」
通信が来たらしく、メロウが自分の通信機を開き、大音量で通話を開始してくれた。
これで俺も会話に参加できる。
…俺の通信機はあの馬鹿野郎に燃やされてしまったから、また買わないといけないなあ。
『お兄さん、お姉さん、元気―?』
「元気ですよー」
「まあ、なんとかな」
『本当に同棲しているのか。アツいねえ」
うるせえ。
これまではずっと大人の強さみたいなものを醸し出していて格好良かったのに、急にフランクな一面出してくるな。
『ふふ。仲睦まじいのはいいことですよ。』
なんか、聞き覚えのある女性の声も聞こえてきた。
大人の女性で、フィーネと深く関わっていて…。
「「フィリアナさんっ!?」」
『そうですよ。この度は、色々とありがとうございます。』
マジか。
フィリアナさんもいるのか。
…あれ、呪詛があったんじゃ…?
「呪詛はどうなったんだ?あれのせいでフィーネと接触できなかったんじゃ」
『ああ、それなんだが…』
ベクターが含みのある低い声で話始めた。
あ、これは何か企んでる顔だ。
『いただろう?一番隊に、そういうの詳しそうなやつが。』
「…ああ、アイツか。そういえば、親が呪術師とか言ってたな」
『そういうことだ。あの後家まで来てもらったら、あっさり解呪してくれたよ。なんか体内に直接干渉する呪詛だとかよくわからないことを話していたが、まあ解呪してくれて大助かりだ』
「?」
『旦那の人脈が多彩で助かりました♪呪いを言い訳にして浮気などしてなければいいのですが』
それから、俺とベクターのおっさんの間でしか伝わらない話が少し続いた。
カインの奴、なんだかんだで生還した結果隊長を助けることに貢献できたんだな。良かったじゃねえか。
『そのカインからの伝言だが、元衛兵で銀ライセンスのプライドが許さないから、もう一度勝負しろとのことだ。あと、万一にでも負けたらそこの嬢ちゃんに治療してほしいと』
「「…。」」
前半はまだいいとして、後半はおかしくないか?
というか、そっちがメインな可能性まであるだろ。勝負そっちのけで、メロウみたいな可愛い女の子に奉仕してほしいだけだろ。変態じゃねえか。
『ハハ、まあそれは後でいい。…それよりもだ、レイブン青年。お前さん、通信機が壊れちまっただろ?』
「ああ。…あの国王全肯定野郎のせいでな」
『…ワーグナーは恐らく懲りていない。王の側近の騎士と成り上がるためならば、再び私やお前さんたちに刃を向けるかもしれんが…まあ今は問題ない。ボロボロになった二番隊…いや、もう一番隊か…の復活と強化が必須だからな』
なるほど。
油断は禁物だが、すぐにまた狙われることはなさそうか。
『まあそういうことでだ。お前さんの通信機が壊れた責任には私も絡んでいることだし…どうだ?男同士水入らずってことで弁償ついでに飲みにでもいかないかね?』
ほう。
その提案はちょっと興味があるが…、
「いや…今日いきなりか?今日は疲れもあるしのんびりしたいんだが」
『悪いがお前さんに拒否権はない』
チリンチリン。
急に家の呼び鈴が鳴った。
今は昼前だ。何かの用事でダンケルとかリオン辺りが来たのか?
そういえば、リオンは立ち直れただろうか。
ワーグナーはひとまず打ち砕いたが、また敵対することはきっと避けられない。
その時にはリオンにも共に戦ってほしい。
…会いに行かないとな。
そんなことを考えている間に、メロウが玄関の方に移動していた。
そしてドアをゆっくりと開く。
「はい、どちらさまで———」
…。
「よっ」
「こんにちは」
「また来たよー!」
なんか子連れの三人家族がいた。昨日の重々しい様子と打って変わって、ノリが全体的に軽いような気がする。
そして九歳の子がいるとは思えないほど若々しい見た目の父親が、青い通信機を持ってこちらに向けた。
「ほう、そっちの金髪の男がレイブン青年か。その『仮初め』とやらの姿を実際に見るのは初めてだな」
「そういえばブレインとして会うのは初めて…じゃない、なんで歩きながら通話してんだよ」
「ああ、それか? 三人で出発したはいいが、お前さんたちが外出しているとまずいから、確認の意味も込めて嬢ちゃんに発信したんだ」
「あはは…」
あまりの展開の速さに、メロウが苦笑いした。
脱走する娘といい、昨日決闘した相手の住処を訪問する父親といい、行動力の高い親子だ…。
これで衛兵との戦いは一段落。
次話はレイブンとベクターの男の友情、及び女子会編の予定です。




