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人生は、小説よりも  作者: 聖沢 雅
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ROCKETで突き抜けろ 大仏編

 不良漫画のキャラクターみたいな人達ばかりだった先輩方も引退、我々の世代が最上級生となった野球部。サッカー部との抗争が続いていたり色々と問題はあったけれども、以前よりずっと平和な、だいたい同じ毎日が続いていた。


 タバコとエロ本だらけの部室から、グラウンドへ出て行く。これから一年間は自分達が仕切るというのも、まあまあ、それなりに良しとしようか。すっかり緊張感は抜けていた。ほら、正にそれを示しているのがあいつ、ナオキだ。


 視線の先では、これから練習の時間だというのにナオキが三塁側ベンチ上で、アユタヤの涅槃仏(ねはんぶつ)と同様の姿勢をとり寝転んでいる。


 それを見た山ちゃんと私は「あれ、サガットステージの大仏やん」などと口を揃えて笑い、大仏、大仏とナオキを指差しつつ接近。不穏を察した彼は警戒、慌てて涅槃ポーズを解き、バットを持って立ち上がったものの、もはや自身で貼り付けた「大仏」の印象を拭うことは出来なかった。


「おい。何笑ってんねん、おまえら。今俺のこと何か言うてたやろ」

「うわ、大仏や大仏」

「あれ見てみ。大仏が素振りしとる」


 まるで示し合わせたかのように、周囲が口々に大仏大仏と囃し立てた瞬間、私も閃いた。


「思い付いたわ。みんな見てくれ、SPEED FREAKS BABY ROCKET 大仏」


 悪乗りの過ぎる私が、当時大ヒットしていた「ROCKET(ロケット) DIVE(ダイヴ)」を歌いながら「DIVE」を「大仏」に替え、歌詞に合わせて勢いよくグラウンド上で涅槃に入るネタを披露すると、その熱狂は一気に、野球部全体へと伝播した。




 あれから二十余年。ナオキと私は今も筋トレ仲間。何年経ってみても、我々は宇宙の暇人であろう。SPEED FREAKS BABY ROCKET 大仏。翼広げて、君がFLY。SAIL AWAY。




 ちなみに我々の一個下の世代は打撃ネットにライターの油をかけて放火、全焼させるなどといった、先輩方とはまた違うベクトルでヤバい奴が揃っていた。そいで無期限の部活動停止処分。

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