G(O)TO
1998年「GTO」という少年漫画が実写ドラマ化された。原作もドラマも、元不良の新任教師が活躍する、という物語である。当時は反町隆史が主演を務めた。GTOの題名は、三菱の名車GTOと「グレート・ティーチャー・オニヅカ」を掛けているようだ。
私の母にとっては、ひいちゃん(家の向かいに住まうママ友)が反町の大ファンであったおかげで、必然的にGTOの話題から逃れることが出来なかった。ちなみに当時の母は福山雅治とGLAYのTERUを熱烈に推しており、反町にはハマらなかったようだ。
私も原作を友達の家で読んだことはあったのだが、そもそも我が家は少年ジャンプ派。GTOは少年マガジン連載だから、リアルタイムで追うこともない。しかも早寝の躾をされていた聖沢家に於いて、ドラマが始まる21時は就寝時刻である。だからせいぜい主題歌の「POISON〜言いたい事も言えないこんな世の中は〜」を歌番組で何度も聴くことにより、その流行を実感する程度だった。
「後藤や、あの後藤とかいう奴」
母が突然、知らない人間の名を連呼したのはその頃である。
「誰? 後藤って」
「ドラマやん。ひいちゃんの好きな反町が出てる」
「後藤なんて名前の奴いたっけ?」
私も当時小学生であったし、原作をちゃんと読んでいなかったかも知れない。もしくは、ドラマのオリジナルで後藤というキャラクターが出ていたのか。そもそも寝ていて観られないから知らんけど。
ひょっとすると母は、私たちが寝静まってからGTOを観ていたのであろうか? それで原作を少しかじっている私に話題を振ってきたのか。
しかし、母が続けた言葉は、我々の想定を遥かに超えていた。
「何言うてんねん。主人公が後藤や」
「は?」
「G、T、Oで『後藤』やろ」
主人公は「鬼塚」です。
行きたい処も行けないこんな世の中じゃ、GOTO。




