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おじいちゃんVSインターホン
ピーンポーン、と冗長な音が鳴る。
しかし、玄関から近いこの居間に寛いでいるとは言えども、私は高校生になったところ。まだ世間のこと、家のことはわからない。応対しても仕方ないのだった。
「おあ、誰や誰や」コーヒーを置いて立ち上がった祖父が、居間の入ったところに備え付けられた受話器をとる。その間に、私はテレビの音量を下げておく。
「はーい」
祖父の声は至って元気。
「はい、はい? はーい。はいはい。はい。はーい」
会話の内容はわからないが、一区切りと思われたところで祖父はガチャンと受話器を戻した。
「誰やったん?」私が尋ねる。
「ウンともスンとも言いよらん!」そう吐き捨てると、祖父は玄関へ向かって行った。
ああ、さっきのやつ、会話じゃなかったんだ。