表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/19

七.《箸を手にした》

食事に感謝。


皿の中は緑や赤、黄色のベビーリーフのような葉っぱと赤黄青緑白の五色の豆、赤黒いトマトのような物があった。

ドレッシングのようなものは掛かっていないようだ。

サラダにパンの組み合わせで箸というのはどうかと思うが、ま、食べられれば良いということで、改めて、いただきます。


口にすると、ほの苦さと、塩っぽさ、青臭さが入り混じって、なんとも言えない味だった。

「葉っぱだけ食べたら、不味いよ」


少し笑いながら、ヒビキが告げた。

早く言えよ。


モショモショと噛むうちに葉っぱのどれかが粘り気を出し、口の中で納豆が現れていた。

青苦い納豆って、なんじゃ!不味い!


相当おかしな顔をしていたのだろう、給仕の女性が笑いを堪えながら小さな壺を四つ、それぞれの前に置いて行った。


「赤と緑の豆を一緒に食べてみて」


ヒビキに言われるまま、二色の豆を口に入れる。無味無臭の豆。煮たものだろう、噛むと柔らかくフワリと甘い香りが広がった。

すると、口に残っていた青苦さがスッと無くなり、何故か酸味に変わり、納豆のような粘つきも無くなった。口の中で甘みのあるドレッシングのサラダになった。


「なんだこれ」


「美味しい?」


「・・・、微妙。なんでこんなに口の中で変化するんだよ。初めっから甘みのあるドレッシングのサラダでいいだろ」


「ああ、その組み合わせになったのか。良かったね、普通の味で」


「ええ!まさか、他にも味が変わるのか」


「食べてみたらわかるよ」


このサラダ、ロシアンルーレットなのか?


「いや、死なないから。大丈夫だよ」


はっ、また心の中を読んだのか!


「・・・、あんな神妙な顔してたら、なんとなく分かるよ。言ったでしょ、人の心を読んじゃダメって言われてるんだから。普通の時は読まないよ」


伊達に年は取ってないということか、とヒビキを見ながら思っても何の返しもない。やっぱり、読んでないのか。


口の中をリセットするため、パンを手に取る。

少し硬めのパンを一口大にちぎって口に運ぶ手を横から取られた。


俺の手を止めた無表情のセイが、それぞれの前に置かれてある小さな壺の内、ヒビキの前にある物を俺の目の前に置いた。


「これを付けたら、めっさ美味くなる」


めっさ?凄くってことか?


蓋を開けると壺に引っ掛けられた小さなスプーンがあった。

ほのかに甘い香りが広がる。


「蜂蜜?」


「そう、知ってた?めっさ美味しいよ」


無表情のセイだったが、雰囲気が変わった。

凄く嬉しそうだ。


「冬になる前に採れた貴重なものなんだよ。こういう時以外殆ど出てこない。リクが来てくれて、嬉しい」


それを無表情で言われると本当に嬉しいのか疑うところだが、どうしてか、セイの嬉しさが伝わってきた。多分、そうなんだよな?


「いや、貴重なものを出してくれて、此方こそ、ありがとう。嬉しいよ」


「これが、おもてなしって言うんだよね、大巫女?」


問われたサカエさんは箸を止め、ゆっくりと頷いた。


喋れない、のか?違う気がするのは気のせいか?


「じゃあ、試してみようかな」


ちぎったパンを壺の近くに持っていき、スプーンで掬った蜂蜜を零さないように掛ける。

甘い香りが広がる。

蜂蜜の香りなんて、随分香ってないなぁ。

メイプルシロップとは違う香りに益々食欲が刺激される。


給仕の女性が液体の入った器とスプーンを置いた。

「ありがとうございます」


声をかけると、驚いた顔をされた。

忙しいことを書けない言い訳にしたくはないが、

忙しいと、何も思いつかない。

・・・

骨しかない文章は面白くない

肉を付けたいのに、

肉。美味しい肉を付けたい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ