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男装竜騎士  作者: 根尾 彼方
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8(王妃達)

ヒステッリック系王妃降臨。



 外が騒がしい。なにやら女性がグラさんに私がいる客室の前でまくしたてている。


 「昨日の夜客人が来たと聞いたのだけど!今日ご挨拶した時の陛下の鼻の下の伸びきった表情!また新しい女連れ込んだのかしら!!」

 「いえ、決してそういうわけではございません。」


 「なら!名前言えるでしょ!?どなたがいらしたの?どきなさい!命令です!!」


 「あ、いけません奥様!」


 侍女が叫んでいる。


 外の人達の魔力解析をするが、さして問題無いように思った。





 少し待ってみても一向に静かになる気配が無い。




 (自分から出て行くのも手かな)


 ガチャ





 「こんにちは。」


 認識阻害を無詠唱で放ち、ついでに魅了もつけた。


 対象は女に限定する。




 「こ、こんにちは」




 なんだろう。すごく焦っている?



 「何かご用でしょうか?」


 「い!いえ!お顔を拝見しに来ただけでしてよ!!!」




 声が裏返っている。

 小首を傾げたら、女性陣の顔がみるみる赤くなっていった。


 「い、いきますわよ!」


 うるさかった女性を筆頭に惚けていた人たちも去っていった。



 去っていったのを確認し部屋の中に入る。


 「そうたやすく、魔法使われると自信なくしますね」

 「えっと、すみません。」



 グラさんが自信なくすほどの魔術だったなだろうか。禁術の類では無いと思うのだけれど……



 「ところで、あの方はどなたですか?」

 何となく予想はつくが、一応聞いておく。




 「正室のロゼさまですよ」

 「隣国から嫁いでいらした方ですね?」

 「その通りです。驚かれましたか?」


 「いえ、決して。王は女性好きで男性もたまにお好きになられる方とお聞きしますし」

 苦笑を浮かべグラさんは私を見る。

 「そうですか。」

 否定も肯定もしなかった。



 「ところで、先ほど使われたのは魅了ですか?」

 「はい、後、認識阻害も。」


 認識阻害は、なんとなくしか対象を思い出せなくする魔術で記憶にもやがかかったような感じになる。

 少しグラさんが黙ってから話し始める。


 「無詠唱で並列詠唱。これはとても高度な技術です。無詠唱自体できる人が少ないので、それだけで魔術院への推薦対象にされます。気をつけて下さい。並列詠唱は、少なくとも詠唱している間に一つ無詠唱を放つ形ではやりますが、魔術院送り確定です。」


 「ひっ、わかりました。気をつけます。」


 私は少し考えた。


 「一般的な人の魔力量を計測して合わせます。あと、竜騎士になるために必要な魔術のみ他の人にわかる形で使用することにします。他の魔術は極力使わないようにして、使う必要があるときは必ず隠蔽をつけます。これで、私は竜騎士に近付けるでしょうか」


 村にあった文献でも読んだが、竜騎士は魔力が高すぎるとなれないらしい。



 「そうですね、良いと思いますよ。竜騎士はとにかく縁でありますから、なんとも言えませんが、理由は正規の竜騎士しか知らないとはいえ魔力量が強すぎると竜に避けられてしまうのは有名な話です。それに、入試の時に魔力量が項目にあるはずです。多すぎてもいけないとか・・・」


 私は、竜騎士になるために自分を制限することにした。

 竜に避けられるのは悲しすぎる。



 「それでは、お騒がせしました。竜騎士の宿舎に行く日程を立てて参ります。あなたのお母様を知っている竜騎士がおりますから、その方に直接お話を聞くのが良いでしょう。

 ところで、こちらの本はもうお読みになられたのでしょうか?」


 数時間前グラが朝食の後机に置いた本の何冊かが、ちょうど積まれた時と順番が逆になって積まれていた。


 「はい、ありがとうございます。」


 師に見せてもらいわからないことを本で調べてきたので、私は本を理解するスピードがとても早かった。



 本を手にグラさんは部屋から出ていった。

 






 周囲から気配が消えたのを確認してから、竜騎士が居る場所を捜索魔術に隠蔽魔術を重ねて使い場所を探る。

 別に現地に行かなくても、魔力量の測定可能なので遠距離から測定を行うことにした。

 見にいくのは、直接話を聞くためだ。







 捜索を開始すると自分がいるところよりも少し南の方にに一つ見つかった。


 ふむ、と宿舎の中にいる人たちの魔力分析を始める。

 王族の住む場所に近いところにいる竜騎士達はきっと一流で、それに合わせたらいけないというのは認識していたが、上限が知りたい。


 竜騎士の近くには必ず竜がいるはずで……竜の魔力量は……?

 測定できない。


 竜の魔力はなぜ測定できないのだろう。



 なんだか、わくわくする。


 疑問を見つけるたびに、わくわくが止まらず、他にも興味を持って私は王都全てに範囲を広げて測定した。

 途中、目の前が赤くなり、ゆらゆらと心地の良い魔力が自分の中から湧き出てきて、存分に広範囲の魔術を存分に使うことができた。

 また魔力切れ起こしそうだったのかな、などと一瞬考えたが、目の前の情報へ興味が向き、そんなことなどすぐ忘れてしまった。




 そして、自分が可能な範囲内ですべての捜索を終える頃、竜騎士の人に直接話を聞けるのがますます楽しみになっていた。









***


 その頃、側室の一人である元聖女は久しぶりに魔王の魔力の片鱗を感知していた。

 元聖女でなければ感じ取れないくらいの、ささいな魔力。隠蔽していても、彼女にはわかった。


 そして窓の外を見て呟いたという。


 「アーちゃんのクッキー食べたいわねぇ」


 と。


国の外交的にヒステッリック系王妃を他国から招いた方が良くてですね。つまり、大人の事情ってやつが絡んでくるのです。

ちなみに、側室の方々は複数いますが、仲いいです。

王妃がヒステリックなのは、側室とは子供ができて彼女とは子ができていないから。ちょっと繊細な問題でうまく書けそうもなかったので魔法でごまかしてしまいました。ごめんなさい。

いつかその設定が出てくる・・・かも?


最初書いた時からちょっと違和感あったんですけど、「グラさん」は光を遮るメガネではありません。・・・多分。

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お読みいただき有難うございます!
こちらも覗いていただけたら幸いです。完結済みSF風小説です。タイトルをタップすると作品ページへ飛びます。
『不老不死の薬を作った少女』
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