17※メリガン視点
メリガン視点
ご主人様の新しい養子の方と運よく出会うことができたのはとても喜ばしいことである。
その方は、全員の目を引くような顔というわけではないが、綺麗な目をしていて、目鼻立ちが良い。
少しつり目な目は気持ちきつい印象もあるが、話してみると常識に少し乏しいながらも心優しい人だとわかった。
自分が奴隷であるとわかる同情した目をする人が多い。特に正義感が強い人からは同情されやすい。だが、それは一部のニュースが全てに当てはめられると勘違いしている人たちに過ぎない。
自分は鞭で打たれたこともないし、ご飯をいただけなかったこともないし、主人の性的趣向の対象にされたこともない。一部では確かにある話のようだが、私のご主人様は決してそのようなことはなさらない。
むしろ、主人に奴隷であるがゆえに絶対裏切らない(裏切れない)という信頼をもらっていることはとても誇らしいことだ。
今回の試験も、自分が竜に幼い頃から憧れていたのをご主人様が知っていたから、なりたいならチャンスを奪うことはしないよ。と行かせてくださったのだ。他の貴族がどう見ようと、ご主人様は自分のような奴隷にも気をつかってくれる心広い人だと思う。
さて、自分はずっと前についてきたつもりだが?
暗闇が消え、他にいた人たちが丸っといなくなっている。
ザッ
景色が一気に変わる。
ここは……どこだ。
向かいから、自分が幼い時に大事にしていたご主人様の長女が歩いてくる。
自分の手を見ると今よりずいぶん小さくなっていた。
昔、その女性に、密かに……許されないことと分かりながらも惹かれていた。
それを見越してこの幻術か。
……一番心に残っている異性を出しているのか。
懐かしいな。
あそこで、お嬢様がこけそうになって……
助けようとして自分が転んで……
……いや、これは、過去だ。
自分は竜に一生を捧げる心持ちでここへ来た。
帰り道を、探さなければ。