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通路を着た時と逆に進む。
楽しかった。
まさか、竜に乗れるとは思ってなかった
まだドキドキしている。
竜の背にずっと乗っていたかった
スキップしそうになって自分を制する。
何故って、そりゃ、魔術通路に負荷をかけないようにだ。
王宮に着くと、グラさんが立っていた。
「感知したので、お迎えにあがりました。竜騎士はどうでしたか?」
グラさんはこの王宮に感知結界を張り巡らしているから、誰よりも早くわかったのだろう。
「楽しかったです!!」
「あれと話して楽しいという人は珍しいですね。試験の申し込みは推薦状つきであなたがこちらへいらした時にやっておきました」
「あれ」と言っている時の表情がなんとも言えない微妙な表情グラさんもこんな表情をするのかと少し驚いた。
「ありがとうございます!」
そういえば、試験日程とか申し込みとか、全然気にしてなかった。
「試験は二日後に行われることをご存知ですか?」
「へっ??」
さすがに混乱した。まさか、まさか、え。私そんなに間抜けだったけ。
あれ?
心当たりはある。
ある。確かにある。
指輪作ったりしていたからな。あとは、知らない本読んでいたから頭から竜騎士の試験が抜けていた。
グラさんが、何もかも想像どおりですね。というように微笑んできた。
「あれと話して無事帰ってきたということは大丈夫です。安心して試験へいってらっしゃいませ。当日は、地図を渡しますので必ず徒歩で行ってくださいね」
私が頷くと、グラさんは私の部屋まで一緒に来てくれる。
この人はとても優しいと思う。
私が王宮に来てから部屋を出ずに不自由なく過ごせるようにしてくれて、竜騎士試験についても気を遣って色々とやってくれた。
素直に感謝している。
この後グラさんの恋愛事情を聞くまで、ずっと優しい人だと勘違いし続けるのは、また別のお話。
****
〜おまけ〜
(ユエル様のような人をデロデロに甘やかして堕落させ自分へ依存させたい)
グラさんはユエルを見送った後、滑稽に歪んだ表情を隠すように手で顔を隠した。
「もうこれでしばらくお別れなのがとても残念ですが」
小さな呟きは誰もいなくなった客室に響きわたった。
***
次は試験です。
グラさんの恋愛事情を入れたら話すがそれたので、また今度か、番外編作って入れます。