トラブル
HRも終わり、俺は授業の準備をしていた。
「おい、東條!お前昨日の放課後どこいた?」
話しかけてきたのは、クラスの丹部 誠と3人の男子だった。
丹部はクラスの中で不良グループみたいなポジションにいて、俺みたいなやつにわざわざちょっかいだしてくるやつだった。
正直、おれの苦手なタイプだ。
「えっ……昨日の放課後はいつも通り帰りましたけど。」
とっさに俺の関わりたくないセンサーが反応し、
敬語でよそよそしく話しをした。
今思うと、この対応が彼らを余計イライラさせていたのかもしれないが、この時の俺はこれが無難な対応だとおもっていた。
「あ??なんだその喋り方笑
てか、嘘ついてんなよ。昨日お前と橘 静香が放課後一緒に屋上に行くの見たやつがいんだよ?」
とてつもなく、めんどくさいことになった。
丹部には今までも嫌がらせをされてきたが、
それは俺個人の問題だったので向こうが飽きるのを待っているだけで済んでいたがこれは違う。
橘 静香という校内一の美少女が絡んできているだけに俺もどう対処していいか分からず、無言になっていた。
「シカトかよ。昔からお前見てるとイライラするんだよな。お前みたいなキモオタがよ、奇跡でも橘と居たりすると余計むかつくんだわ。」
そう言って丹部は俺の胸ぐらを掴んできた。
さすがに俺もここまでされたの初めてで死ぬほど焦っていた。漏らしそうになるほど……。
そんな事を思っていた矢先、俺の顔面にすさまじい激痛が走った。
俺は丹部に殴られ、教室の床に倒れ込んでいた。
次の授業が移動授業だったこともあり、クラスには俺たち以外誰もいなかった。
人に殴られる事が、こんなにも痛いのかと驚きつつ、呆然とした俺はそのまま床に倒れていた。
そんな俺を丹部達は追い打ちをかけるように何回も蹴ってきた。
「あぁ…めんどくさすぎ。やっぱりリア充となんか関わるんじゃなかった…。こんな痛い思いするくらいならこのままボコボコにされて死んだ方がマシだ……」
恐怖心から俺のメンタルが崩壊しそうになった
その時……。
『先生!!!!!男子が喧嘩してまーす!はやく来てくださーい!!!』
意識が朦朧としてきてる俺にも、廊下の方から
かすかにその声は聞こえた。
「おい、やべー!逃げるぞ!」
そう言って丹部達は逃げ出すようにクラスをでていった。
「やっと終わった……。」
そう思い俺は立ち上がろうとしたが
安堵感と身体中の激痛により動けなかった。
──ガラガラガラッ
教室のドアが開く音が聴こえた。
こんな無様な姿は絶対誰にも見られたくなかった俺は必死で立ち上がり近くの机に寄りかかり教室のドアの方を見た。
メガネも割れ、あまりよく見えない俺の瞳に映っていたのは……
橘 静香の姿だった。