ヒキニートが校内一の人気者から話しかけられるはずがない
「おはよーっ!」
「昨日のテレビみた??
ちょーおもしろかったよね笑」
そんな平凡な会話が飛び交う校内。
おれはいつものように誰とも会話することなく
自分の席に座った。
「俺にもっとコミュニケーション能力さえあれば……泣」
最初の方はそう思っていた。
だが、一人に馴れると案外一人なのも楽しいと
最近では思えるようになっていた。
ダメなんだろうけどな笑
「静香おはよーっ!」
彼女の名前は橘 静香。
校内では、知らない人が居ないほど、明るく元気で人気者。そして、かわいい。
なんだあのリア充……。
彼女の周りにはいつも人集りで溢れている。
「あんな風に俺もいつか友達とかほしいな笑」
そんな事を思いながら、おれはSNSに
「爆ぜろリア充」と気持ちとは裏腹な事を呟いていた。情けない笑
午前の授業も終わりお昼の時間。
オタク系男子(仮)の俺がお昼ご飯を食べる場所はいつも屋上と決まっている。
クラスのやつらの中でも、俺がいつも屋上でお昼を食べている噂は広まっているくらいだ。
「今日も、テラス席でお昼なう。」
この日は屋上から見える景色の写真と共に呟いた。
外で食うカップ麺ってなんでこんなに上手いんだろう。そんなくだらないこと考えながら最高のランチタイムをおくった。
午後の授業も終わり下校の時間。
俺は、いつものようにチャイムと同時に席を立ち
颯爽とクラスを出た。
「このペースだと、今日も誰が下校一番乗りか選手権一位確定だな」
勝手に自分で作った、自分しか参加していないレースを心の中で実況しながら靴箱に着いた。
靴を履き、歩きだそうとした時……。
「東條君っ、ちょっと待って!」
呼ばれた方を見ると、そこには橘 静香がいた。
俺の人生で、絶対に話しかけてこない人ランキング一位がそこにはいた。
走って追いかけてきたのか、少し呼吸が乱れていた。
俺の心はもっと乱れていたけど。笑
「ふーーっ、よかったぁ……追いついた……
ちょっと聞きたいことがあるんだけど……
いいかな??」
次に続く。