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ヘルハウンドの挑戦

「うおおおぉぉぉおおおお!!」


ドンッ


「ぐわっ!!」


はいはい、こんちくわ。

今ね、岡本がスモールレッサーヘルハウンドに突っ込んでるわけよ。

見たところ岡本の動きは本当に素人だ。

まぁ、当たり前か、日本の温室育ちだったらね。


ちょうど今、木刀を振りかぶろうとしたら連携の取れてるスモールレッサーヘルハウンドの一匹に隣からタックルされたわけよ。


「くぞ!!こんなカスに......」


岡本は木刀を杖代わりにして立った。服は泥だらけだ。

そんな事をしてる奴がいたら俺は立たせる時間なんて与えず溶かして喰うけどな。

そこの所は手加減してあげてるみたいだ。


「この程度か?これならば我を従えるなど無理そうだな」


ヘルハウンドは残念そうな顔をして岡本の前に出た。

どうやらもう終わらせるらしい。


「貴様程度の奴に召喚されるとあっては悲しくなってくるわい、それでは終わらせるか」


ヘルハウンドが大きな口を開き岡本の方へ近付く。


「ひぃ!!く、くるな!!よるな!!誰か俺を助けろ!!俺は勇者だぞ!?」


岡本は必死に助けを求めるが誰も助けようとしない。

アイツの性格もそうだが、ヘルハウンドはCランク、とてもじゃないが勝てる相手じゃない。

......俺はどうだかわかんないけど......


「スライムさん!!助けなきゃ!!」


『エミリ......アイツは恩を仇で返すぞ?』


俺はアイツの性格を知っている。

アイツは自分中心に世界が回ってると思ってるらしく、自分が楽しければいい、助けられて当然......といった奴だ


「それでも、死なせちゃダメだよ!!」


『............』


俺は黙った。ただどっちが正解かなんてわからなった。

助けるのが正解なのかのしれない。けれど、アイツを助けたところできっと自分より年下の子に助けられた事を不快に思い嫌がらせをしてくるはずだ。


『............分かった、助けよう』


しかしなぜだか俺は自分でも気付かぬうちに承諾していた。

理由を考えたらすぐにわかった。

岡本が助けたいとかではなく、こう思ったからだ。

【あの犬どんな味がするんだろう......】と。

今までゴブリンやオーガを食べてきたが流石に地獄の犬は喰ったことがない。


なーのーで!!助けます。


『よし、エミリじゃあ「うおおおおおお!!」』


俺は抱っこされていると動けないの下ろして貰おうと念話をしようとするとある声に遮られた。

その声の主は岡本......ではなくヤサオだった。

ヤサオは木刀をもってヘルハウンドに突き刺す。

けれどヤサオは体育会系と言うより、理系で力もそれほどない。

もちろんそんなヤサオの木刀で致命傷を与えることは出来ない。


「我を倒そうというのか?あるいは......」


ぽよーーーん!!


その時、水色の球体が約時速五十キロほどでヘルハウンドに飛んできた。


ドゴッ!!


水色の球体が直撃すると普通に殴ってもそうそう出ないような鈍い音が鳴る。

ヘルハウンドは突然の事で受け身が取れず、吹っ飛んでしまう。

しかしCランクと呼ばれるだけあって、吹っ飛んだあとに空中でくるんと一回転して足を地面に引っ掛けザザザーっと音をたて、着地した。

それでも軽く十五メートルは飛んだ。

十五メートル吹っ飛んで着席したのはいいが、その場で倒れた。

気絶したようだ。


ここで問題!!


【テテンッ!!】


神ちゃんノリいいね~。


【まぁ、今は気分が良いからな。ほれ、問題問題!!】


おぉっと、そうだった。

問題ですが、先ほど時速五十キロで飛んだ水色の球体とはな~んだ!!


【ピンポーン!!】


はい!!神ちゃん選手!!


【そこは神選手でいいだろ】


まぁまぁ、いいじゃないか。それで答えは?


【フライパン!!】


............


【............】


え?スライム?正解です!!実はですねぇ~【剛力】なんですが、使う魔物によって強化される部位が違うらしいんですよ~。

例えばオーガの場合は腕が強化されるのですが、俺は腕とかそういうの無いので体そのものが強化されたんだわ。あとは飛び跳ねるだけで五十キロでた。

加減がすげー必要だわこのスキル。


【おい、私の渾身のギャグがスルーされてるんだが?】


いやだって、そんなパンはパンでも食べられないパンはな~んだ?の答えを吹っかけられても......


【甘いな!!その問題には腐ったパンと私は常に答えている!!】


な、なにぃ~


そんな事を話しているとヘルハウンドは目を覚ました。

話してる間にヘルハウンドを倒せよと思ったが、吹っ飛ぶ際に起きた砂煙が目に入らないようにしていたらしく、ちょうど今砂煙が収まったのだ。

ちなみに俺は目とかそういうの無いので、普通に周りが見える。


「わ、我は今いったい......そ、そうだ!!何かが飛んできて......それで......」


ヘルハウンドの命令を待つかのようにスモールレッサーヘルハウンドが五匹揃ってチョコんと横に並んで座っている。


「おぉ、お前達......無事だったか、しかしさっきのは何だったんだ......」


ヘルハウンドは自分の元いた場所を見る。

......俺が今いる場所なんだけどね......


「なっ!!我はあのような下等種族にここまで飛ばされたと言うのか!!」


『ほぅ、俺を下等種族呼ばわりするとはいい度胸してるじゃねぇか』


「ぬ!!念話だと!?」


おぉ、Cランクの魔物でも念話って珍しいのか。


『あぁ、それで今おめぇ、俺を下等種族とか吐かしてたな?俺の真の姿も知らずになぁ』


「なっ!!まさかそれは仮の姿で本当は......」


『まぁ、真の姿とか無いけどな』


「へ?」


ヘルハウンドは突拍子もない声をだした。

まぁそりゃそうだ。仮の姿でもない正真正銘スライムにぶっ飛ばされたんだからな。


「なぁ......あのヘルハウンドは何と話してるんだ?」


「いや、わからん......それよりあのスライムってエミリの使い魔の奴だろ?」


「さっきまであんなところにいなかったよな......」


クラスの連中がウザくなってきたのでさっさと片付けるか。


「え?え?エミリちゃんのスライム?」


ヤサオは現状を理解していないようだ。

岡本は......気絶してる......


『ヤサオ、岡本を守りたいなら守っとけ』


念話でそれだけ伝えるとポヨンポヨンと【剛力】を使わず普通に行く。


「下等種族が我に歯向かうとはな!!覚悟せい!!」


おぉっ!!ヘルハウンドさんが来ましたねぇ~

残り距離、五メートル!!

ここら辺で俺は止まる。


「はっ!!我に恐れて立ち止まりおった!!その一瞬が命取りだ!!」


残り三メートル......二メートル......


「ふっ!!」


よし!!きた!!


ヘルハウンドは残り二メートルの地点で跳びかかってきた。


狼ならギリギリでジャンプすると思ったぜ!!

なんかそういうイメージあるもん!!

こーこーで!!【転移!!】


シュンっ!!


「な!!消えた!?」


『こっちだ』


ドガッ!!


転移魔法、初めて使ったが結構使えるな......

発動速度も早いし!!

俺がしたことは簡単、ジャンプした時点でヘルハウンドの後ろに転移魔法で周り込んだ。その後に剛力でまだ空中にいるヘルハウンドへ向かって全力ジャンプをしただけだ。全力ジャンプしたせいで石がとんでもない勢いで飛んでいったが一つなので大丈夫だろ。


......あれ?確かヘルハウンドを吹っ飛ばした方角には......

たしか…まず初めにヤサオを守るように構えてて…襲い掛かってくるヘルハウンドの背後に移動したからその先には…

………


大丈夫だろ!うん!

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