恋愛カウントダウン
月渚と美月
おはようございます
「あれ? 佐倉くんって今日シフト入ってたっけ?」
「いや、休みですよ。ここでちょっと用があるんで、あ、気にしないで大丈夫です」
二谷さんはチャラいけど細かいことに気付くからたぶん、気にするだろうな。分かっているけど、やっぱりあの人に”告白”するのは緊張してしまうな。その結果が分かっているっていうのにな……
「あれ? 佐倉くん、今日は休み……ですよね?」
「あぁ、美月さんそうですよ。人と会う約束があって、それでですよ」
「そ、そうなんですね」
誰と会うのかな? って気にしてても仕事出来ないよね。うん、仕事しないと……
いらっしゃいませー
えっ? マキ? と、あの人は月渚さん……? マキ何も言ってなかったけど、もしかして……
「連れてきたけど……」
「あっ! 恵くんだよね、だよね? 久しぶりかな? どうしたの~?」
「は、はい。こ、こんにちは」
「佐倉、わたし、サーヤの所に行ってくるから頑張んなさいよ?」
「えっあ、は、はい」
「あれ~? マキちゃんどこ行くの~?」
「ルナは、そこに座ってて。私は席外すから」
「ん、分かった~! いってらっしゃーい」
※
「あの、ルナ先輩……じゃなくて、ルナさん」
「ん~? どうしたの?」
く……緊張しすぎだろ俺。何でこの人ってこんな可愛いんだよ……い、いや……そうじゃないだろ俺。
「ルナさん、俺、あ、あなたのことが好きです。ルナさんが在学中の時にずっと遠くから憧れててそれで、声はかけられなかったんですけど、あの……俺、本気でした」
「ほえ~~そ、そうなんだ……わ、わたし学校に行ってた時、男の人が怖かったの。と言うよりは、皆さんの顔が見えなくて、そんなことを想われてたなんて思わなかった。そ、そっか~そうだったんだね……え、えと、で、でもね、こんなわたしでも今はあのね……」
「はい、知ってます。……好きでした。それを伝えたくて呼んでしまいました……その、俺、ルナさんに会えて嬉しいです。すみません、こんなことを伝える為だけに来てもらって」
「佐倉くん。あの子のことは好き……?」
「え?」
「ほら、この前来た時にここにいた女の子で……美月ちゃん! あの子のこと、好き……?」
「そ、それは……」
「あれっ? マキちゃん……と、美月ちゃんだよね? こんにちは~」
「えっ」
「こ、こんにちは、ルナさん」
マジかよ……マキ先輩。何で美月さんとルナさんを会わせるんだよ。今は勘弁して欲しいのに……
「じゃ、サーヤ、私は先に帰るから。ルナも大丈夫だよね? わたしいなくても」
「うん。へーきだよ。まきちゃん、またね~」
「うん、また」
「佐倉くんも先に帰ってていいよ~? ありがとね、わたしのこと好きって言ってくれて」
「えっあ……は、はい。じゃ、じゃあ俺も帰ります……」
「お、お疲れ様でした~」
佐倉くんも帰っちゃって、わたしとルナさんでどうすればいいの? 今仕事中なのに……いいのかな? チラりとカウンターを見てみると、カンナさんたちが親指を立てていた。
「美月ちゃん、だよね? この前会ったよね~わたしのこと覚えてます?」
「は、はい。ルナさん。マキとお友達ですよね?」
「すごいね~マキちゃんのこと、呼び捨てで呼べるなんていいなぁ」
「ご、ごめんなさい」
「ううん、だいじょぶ。それでね、美月ちゃん……佐倉君のこと好き?」
「え、あの……それは……」
「ふふふっ……言葉がおんなじだね~うんうん、同じ想いみたいだね。わたしね、さっき彼から好きですって告白されたの。でもね、わたし今はもうね……だから、美月ちゃんは伝えるだけだよ」
「い、いえ……わたしは」
「うん、頑張ってね、美月ちゃん。じゃあわたしは、行くね」
「あ、ありがとうございました」
佐倉くんに呼ばれて来たのにわたしにも声をかけてくれたなんて、優しい女性……
ここまで機会を作ってくれたのに、いい加減、決めないと駄目だよね……わたしから――