もどかしすぎて
隣にいるだけなのに…
告白されたあの日以来、わたしとカレ、拓斗は偶然にも近所のコンビニで出会う。
わたしは何となくの立ち寄り、カレは仕事での弁当の買い出し。
「美月か。どうした、珍しい所で出会うな」
「別に、何も意味、ないけど。拓斗は仕事?」
「あぁ、そんなとこ。現場だしな」
「お昼はいつも?」
「まぁな。でも、コンビニ弁当は飽きる。手作りがあれば最高だな。そう思わね?」
「そうなんだ。手作りって大変そう……」
拓斗の言葉はそういう”意味”が入っているの? わたし、そういうの疎いから。
ホント、他人事のように返事をしたけど、特に気にも留めてなかった?
「ほら、レジ進んだ。美月、先でいいよ」
「あ、うん」
前と後ろに並んでいただけだから、その部分を優しくされても……ね。
僅かだけど、そういう気持ちは受け取っているから。そういう気持ちだけ。
「少しだけ時間あるし、外で話をするか」
レジを済ませて、拓斗はそんなことを言い出した。仕事中なのに、なんか、ごめん。
コンビニの入口。壁に寄りかかって、わたしとカレは話をする。
「専門、楽しいか?」
「別にそんな気持ちで行ってないけど。拓斗は、楽しい?」
「あぁ、そう来たか。いや、仕事ってそういうもんじゃないし。でも、俺は楽しいぜ?」
「そ。いいね、そういうの」
取り留めの無い話。わたしの隣にはカレが壁に寄りかかっている。隣に立ってるだけなのに……
「おっと、悪い! 休憩やばい。俺、戻る。じゃ、またな美月」
「あ、うん」
行ってしまったな……長い時間でもないし、何てことの無い話なのに。わたし一人だけになった。
ほんの少しの時間だったけど、わたしの隣に、カレがいた。隣にいただけなのに――