表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/60

意外すぎて

         見せかけの優しさだった?



 確かに佐倉さんの言う通り、仕事に支障が出るなんてよくないコトだ。唇をギュっと噛みしめながら、ダイキさんと話す為に声をかけた。


「ダイキさん、お話が……」


美月みづきさん、どうしたの? 今は休憩中?」


「……はい。それで、聞きたい事があるんです」


「うん、何?」


「ダイキさんはまだ、わたしのこと……好き、なんですか?」


「そうだとしたらどうする? 拓斗と別れたよね? あ、俺がこの店に来てるのは美月さんをつきまとってるって思った? 違うよ? 現場が近いから利用してるだけ」


「ど、どうしてわたしをずっと見ているんですか……?」


「好きな人のことはずっと眺めていたいから。変かな? それとも嫌だった?」


 やっぱり、そうだったんだ……。でもわたしの気持ちはもう。でもどう伝えればいいの? 直接伝えるのはやはり怖い……


「わたしは……」


「ごめんね。困らせてるよね? 俺、まだ好きなんだ……だから、待ってちゃ駄目、かな?」


「わたし、ダイキさんとはもう……」


「……外行って話そうか」


「――え」


 刹那――


 外に連れ出そうとしたのか、突然腕を引っ張られてしまう。え……ま、待って何をしようとしてるの……駄目――嫌……


美月みづき、何サボり? 仕事まだ終わってないし休憩時間過ぎるけど?」


「え?」


「それに、ここは()()()()お店じゃないので、ご退店いただけますか? お客様」


 意外なことに佐倉さんがダイキさんの腕を抑えつけながら、営業スマイルで静かに諭している。ダイキさんは、店員さくらの意外すぎる力で動くに動けないでいた。


「……くっ……すみません、出ます」


 何だか、あっさり? お店から出て行くダイキさん。幸いなことに店内のお客さんは少なかったこともあって、気にも留めなかったみたいだった。


美月あんた、彼に何言った? ってか、あの人の作り笑いに気付かなかったのか?」


「え……?」


「だからそういうことだって言ってんの。はっきりさせないとまた来るよ? しばらく来ないかもだけど、来たらどうすんの? 面倒なことやめてよマジで」


「う、うん……あの、ありがと」


「助けてないし、仕事なんで。まぁ、とにかくさ奥に行って顔洗って来て」


「あ、う、うん」


美月あんたは作り笑いじゃなくて、本当の笑顔見せるの仕事なんだから、そのままじゃ駄目っしょ。早く行きなって! それに綺麗な顔が台無しすぎる……」


 言われた通り、鏡で自分の顔を見ると思いきり涙が流れてた上に、青ざめた顔色で人前に出ていい状態じゃなかった。


 助けられちゃったな……でも仕事の一環って言ってたし、そういうことなのかな。それでも、佐倉さんの意外な行動に驚いたわたしは、しばらく胸の鼓動が収まりそうになかった――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ