別れることの理由とは……
付き合い……ます?
さすがにわたしの表情は嘘を貫き通せないみたいで、会うたびにそれがカレに伝わっていた――
「美月さん、明日、会えますか? 大事な話があるんです……」
「は、はい。もちろん、大丈夫ですけど……」
「そ、それじゃあ、この辺だと心配なので……上野公園の中にある、都美の鉄球前で待ってます。ちょっと遠いですけど、俺、そこで美月さんを待ちますから。時間は13時で。それじゃあ、仕事戻ります」
「あっ……」
上野? しかも都美……って、あ、美術館だったかな。心配ってどういう意味だろう? 拓斗に会わない為とか――? ううん、それはさすがにないかな。だって、わたしとダイキさんはまだ……友達だよ?
※
上野公園――
ここかな……? あ、確かに鉄球みたいなオブジェがある。何か初めてかも。もしかして美術館が好きなのかな? だとしたら意外だけど……
カレは分かりやすい所を待ち合わせにしてくれた。警備員も立ってるし、人も多く行き交ってるけどオブジェの前に人が立っていても不思議はないのが幸いだった。
「お、遅くなりました。待ちました?」
「いや、大丈夫ですよ。すみません、わざわざ上野にしちゃって。たまには俺も落ち着いた所で美月さんと会いたいな~なんて思ってたんですよ。もちろん、美術はさっぱり分かりません!」
「そうなんだ。でも、わたしもです。あまり来ないので、同じ……ですね。ふふっ」
「マジっすか。それは良かった! いや、良くないですよね。絵画見に行こうとしてたので、行きましょうか? チケット売り場は地下一階にありますから」
「はい、付いて行きますね」
わたしもダイキさんも、ほぼ見ることのない絵画展にお金を出して、じっくりと鑑賞することにした。中であまり声は出せないけれど、一緒に見たりして嬉しい気持ちになった。
美術館に併設のレストランに入ろうとしたけど、お互いに料金を見てすぐに公園内を歩くことにした。そして、公園内のカフェに入ってダイキさんは話を切りだした。
「美月さんは、あいつと別れてないんですか?」
「あ、はい……その、はい」
「それはなぜです?」
「彼が距離を置こうと言ったからで、あの、そのまま……です」
「うやむやのまま、俺と会ってくれてるのは俺があいつの友達だからですか……? それとも――」
あぁ……そう、だよね。はっきりさせないまま、関係を築くことなんて簡単じゃないよね。でも……
「……今すぐあいつとどう、とは言わないですけど、俺……じゃ駄目、ですか?」
「――え」
「俺はこのままの状態は嫌というか、美月さん、俺と付き合いませんか?」
「あ……そ、それは――」
そんな予感はしていたわたし。わたしもダイキさんのこと、気になってる。でも――