好き……だよ?
好き?
わたし、どうしたんだろう? こんなにも誰かと会いたいなんてこと、今まで無かったのに。ダイキさんとカフェで会って以来、わたしは彼のお休みには必ず連絡をして、毎回会っていた。用も無いのに連絡をしていた。こんな気持ち、初めてかもしれない。そして今日もまた――
「美月さん、遅れてごめん! 現場の後片付けに追われちゃって……いや、言い訳だね。ごめん!!」
「ううん、平気。お仕事してるんだもの。わたし、気にしてないから謝らないで、ね?」
「そう言うわけには行かないよ。じゃ、じゃあ、今から水族館行こう! 俺、おごるから」
「え? おごるって……結構高いんじゃ……」
「職人に任せなさい! 俺、稼いでるから。じゃあ、今から池袋に移動になるけど、いい?」
「うん、大丈夫」
そうして、カフェを出たわたしたちは自然と手を繋ぎながら、水族館へ向かうことにした。もちろん、ダイキさんとはまだ、”友達”関係。もちろん、そういう状態が続くなんてわたしも彼も思っていない。
それでも、その問題を後回しにして、会うたびに仲が深まっていく――
※
家に戻ったわたしは久しぶりに後ろから声をかけられた。もちろん、彼から……
「よぉっ、美月。元気か?」
「た、拓斗? う、うん……げ、元気だけど、どうしたの?」
何だろう? 拓斗は視線を泳がせながら、わたしに何かを聞きたがっているようにも見える。
「な、なぁ、俺に連絡してこないのはどうしてなんだ?」
……え
「そ、それは、現場が忙しそうだし……距離を取りたいって拓斗、言ってたから、だから……」
ど、どうして今それを言って来たの? 俺に連絡して来ない……ま、まさか――
「ダイキとは頻繁に連絡してるんだろ? その違いは何だ? 教えてくれないか?」
「友達……だから。気軽に連絡取れるものだし、でも、拓斗は彼氏……でしょ? 仕事してるって知ってるのに、そんな簡単に連絡しない……」
「好きなのか?」
「え?」
「――……ダ……お、俺のこと、好きか?」
「……そ、それは」
「いや、やっぱいいや。当たり前のこと聞いても出る答えは決まってるしな。俺、家に入るから。じゃ、またな、美月。たまには連絡してくれ」
「あ、うん」
もしかして、ううん、違う……よね? 気のせい……だよね? わたしが好きなのは――