嘘でしょ?
時代遅れなわたし
「サーヤ、何でらいんしてこないの?」
「え?」
「連絡先教えてなかった?」
「あ、教えてなかった……かも。それじゃあ、はい」
「へ? な、何? スマホ手渡してどうするの?」
「だから、連絡を登録するんだよね?」
わたしは確かにらいんを使う、でも、それだけ。拓斗やダイキさんに直接、自分のスマホを渡して登録してもらってたけど、そうじゃないの?
「嘘……今までそれ、やってた? 優しい彼氏で良かったね……サーヤ、駄目だよ。簡単に自分の物を人に渡したら何されるか分からないよ? 黙って振っておけばいいし、コード見せあうだけでもいいのに」
渡したら悪用、というか、すでに近いことはされたけど……。あぁ、そっか、わたし時代に取り残されてる人なんだ。持ってるだけ持ってた。拓斗とか、ダイキさんくらいしか”友達”いないし……
「そ、そうなんだ。わたし、いつもそうしてた……でも、ふたりだけ」
「じゃあ、はい……」
そう言って、まきはコードを見せて来た。これ、何?
「……え?」
「あーはいはい……イチから教えるね。もう、本当にこの子……私がいなかったらやばかったんじゃ?」
まきから、スマホの色々を教わり、少しだけ理解して改めて登録をした。覚えるほど友達いなかったって裏返し。今回は、まきに救われたかも。
色々教わって、まきとも別れてわたしは自分の家に帰って来た。隣の、拓斗の家を見ても……彼が帰って来ている様子はないみたいだった。たぶん、今はわたしも彼も、近くにいてはいけないんだと思う。
教わったことを使うために……わたしは”彼”にらいんしてみた。
----------------------------------------------------------------
「あ、あの……美月です。ダイキさん、返事……ください」
「こ、こんにちは!! 嬉しいです。どうしたんですか?」
「この前、話してた、カフェ……いつ、行けますか?」
「いつでも喜んで!」
「そ、それじゃ、明日……三茶駅前で待ってます……」
「はいっ! で、でではまた!」
-------------------------------------------------------------
わたしも、そして彼もおかしいくらい緊張してた。文字だけなのに……何か、会いたくて会いたくて……
いいよね? 会って話をするだけなら――