表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/60

恋を…したいはずなのに

                 押しに弱い…



 よく分からないけど、教室にいるみんなの前でわたしは頬を叩かれた。でもこれで、久東千沙くどうちさと縁が切れるならいいかな。


 頬を叩かれたこと、拓斗たくとと距離を置いていること、何だか気が滅入っていたせいか専門もやめようかな……なんて思っていた所に、友達になってよ! いや、もう友達! 宣言をされてしまった。


 彼女の名前は「まき」。当然だけど、教室で話したことも無い。とにかく早口でまくしたてられながら、細かく気を遣ってくれてるんだなぁ……なんて、思いながら、受け入れた。


 一人でいることの方が多かったわたし。拓斗の言う通り、友達なんていなかった。


「サーヤは彼氏いるの?」


 彼氏……いるけど、距離が……どうなのかな? 別れてないし始まってもいない気がするけど。2回目のデートで何かを起こしてしまったわたしのせいで、抑えの効かない拓斗から距離を置かれたし。


「一応、いる……かな」


「……あー、なるほどね。それは……聞かないでおくね」


「どうして?」


「表情見てれば分かるよ。サーヤって、分かりやすいし」


「そ、うなのかな……」


「お姉ちゃんが相談に乗るよ~任せなさい!」


お姉ちゃんって……年下に見えるけど、実は年上なの?


「まき……は、年上なの?」


「どう見える?」


「さ、さぁ……」


 正直、聞かなくてもいい……と言うより、わたしは他人ひとのことにはあまり興味が無い。だからなのかな、もっと拓斗に興味を持って話を聞くべきだったのかもしれない。


「うーん……そこは聞いてもいい所だよ? 興味ないのは分かるけどね~でさ、今あなたが沈んでる理由が、なんとな~く分かるんだ。彼氏と上手く行ってないんでしょ?」


「ど、どうして……?」


「何か言いたそうな顔してた」


「別に……そんなこと、ない」


 話すことないよ。こんなわたしと友達とか、止めた方がいいよ。


「またネガティブなこと考えてるでしょ。もうーどうしてくれようかこの女子は……あ、とりあえず、店でよっか。いい所に連れて行くから!」


 ……連れて来られた場所は最近、立ち止まって眺めていた建築中の住宅地だった。何か、”恋”とは程遠くなってる。 


「ごめんね~変な所に連れて来ちゃって。私、何かが出来上がるまでの工程を見るのが好きなんだ」


「は、はぁ……」


「それとね、こういう現場ってイイ男がいるからオススメなんだ」


 ホント、どうでもいいんだけど。わたし、何やってんだろ……こんなことしてたって何にもならないのに。


「あ、ほら、あの人、手を振ってるよ? 可愛いじゃん」


「……そうですか。わたし、帰りま……」


美月みづきさん! また来てくれたんですか? うわヤバい、緊張する……」


「えっ……? あ……」


 もう帰ろう、何て思っていたら、聞き覚えのある声で嬉しそうに駆け寄って来る彼の姿があった――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ