マキとの出会い
わたしの友達?
何がいけなかったのかな……なんて、思っていても分からない。よくよく考えたら、まだ恋は始まってもいない。そんな気がする。
彼の優しさと、わたしへの想いがそんな気にさせていたようにも思えた。拓斗とはそもそも、付き合うか? って言われたのがきっかけだったし、よく分からないまま好きを追いかけていたのかもしれない。
※
学校へ行き、選択教室へ入ると予想通り千沙はわたしの元へ近付いてきて、突然頬を叩いた。
バシッとした音が響き、一瞬注目を浴びたけど他の人は見てみぬふりをしたり、スマホを見たりしている。数人の女子はわたしを見ているみたいだ。
「あんた、何してくれちゃってるの? 外に彼を連れ出したと思ったら、酷い目に遭わせたってどういうこと? あり得ないんだけど」
「何が?」
「気を利かせて誘ってやったのに頭おかしいんじゃないの? マジ最低……話しかけんな!」
何を言ってるんだろうこの人は。そっちから無理やり話しかけて来て無理に誘って、何だか勝手に怒ってるみたいだし、頬を叩くし……何だか最近、ツイてないかも。
専門もやめようかな。何かつまらない……誰か本当に仲のいい友達でもいればいいんだけど。
一応、授業を終えて家に帰ろうとすると、話しかけたことのない女子がわたしに声をかけてきた。
「ねえ、学校やめようとしてる?」
「あの……?」
「何か話してみたくなって、良かったら外で話そ?」
※
駅前のカフェ――
誰なのかな。考えてみたらホントにわたしって、話せる人少なすぎたんだなぁ。友達が拓斗だけとかも案外嘘じゃない気がする……
「私、まき。あなたは、サーヤ? だったかな?」
「あ、うん。紗綾です……」
「敬語いらないよ。私のこと、まきでいいから。で、頬痛い?」
「特に気にしてないから……」
この人はどうしてわたしと話をしたいんだろう。
「強いね。私さ、ああいう自己顕示強い女、嫌いなんだ。最後には誰も寄り付かなくなるのが分かるから、絶対相手しないけど」
「それで、わたしに話って?」
「わたしサーヤと友達になりたいんだ! ってことで、よろしくね」
「はい?」
展開早過ぎでしょ……急に話しかけて来て、友達? 悪そうな人には見えないけど、どうしよう――