011 天使の講義8
「そろそろ腹減って来たわ」
「そうですね、一旦食事にしましょうか。最初なので冒険者の一般的な携帯食を食べてもらいましょう」
美香がそう言って取り出したのは、硬そうなパンと干し肉とドライフルーツと水筒だった。
「あんまり美味しそうではないね」
「竜童さんはスモールスペースが使えるのであまり必要としないかもしれませんが、野営や休憩中に他の冒険者や商人と一緒になる場合もあるので、携帯食を数個カバンに入れて置き食べることもあると思いますので、一度食べて見てください。」
それもそうだな、食べてみるか。
パンは硬いけどまあ食えなくないか。干し肉は硬いし塩辛い、ドライフルーツは普通に美味しい、水がぬるくて美味しくない。
「まあ食えなくないけど、水がぬるいね、さっきのクリエイトウォーターは美味しいって言ってたから、水は作っても驚かれない?」
「携帯食ですので好んで食べる訳ではないので、臨機応変ですが、薪が集めれて、キャンプ張れるような所では近くで動物等を狩ったり、魚を捕まえたり、木の実や野草を採取して簡単に料理を作ったりします。クリエイトウォーターやクリエイトファイアは初級なので使っても問題にはならないとは思います。後、クリエイトウォーターも魔法なので知力次第で温度や味というか硬水軟水の硬度等をイメージ出来ます」
水筒の水を捨てて、昔飲んだあの名水をイメージして(溜水作.bat)
水筒に水が入って行き溢れだした。少し飲んでみた。
「おお、冷たくて美味しい水だ」
「何か口を動かしながらやった方が誤魔化せるからね」
「この世界の食べ物事情ってどうなんだ。米や醤油、胡椒とか」
「結構竜童さんの前世世界に有るものは近いですが、植生や生物がちょっと特殊になります。4か国の王国ごとの創造神様が決められた特産物が有りまして、北王国が米、大豆、小豆、林檎、鮭、蟹、羊。東王国が南瓜、落花生、山葵、梨、柿、牡蠣、鯨。西王国が松茸、椎茸、玉蜀黍、唐辛子、桃、蜜柑、鮪。南王国が胡椒、ナツメグ、シナモン、月桂樹、バナナ、パイナップル。それぞれの国で作った作物は3倍出来るし味も良いし、生物は3倍繁殖しやすく味も良くなる」
え、ゲーム的な設定。創造神様やることが凄すぎ。
「それじゃ、南国では米は作ってないってことかな」
「作れないことは無いのですが、作っても3分の1の量で味も悪いとなるので輸入ですね。今は4王国共に友好状態なので交易が盛んです。この南王国の王都でも少しお高いですが米や醤油、味噌を出す店が有ります。」
「そうなんだ、じゃあいいか。まあ、30年間米に味噌汁だったせいで食えなくなるかもって思っただけなんで、時々でも食えればいいや」
「後、小麦や大麦、野菜等はどの国でも一緒ですが気候などで出来や味は少し変わるようです。牛等の動物、魚等も同じです」