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永遠対立関係  作者: P-Rin.
13章 非公認依頼
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13-7 つかの間の休息

 

  共有トイレの場所まで無事に出てくると、館内ではサイレンが響き渡っていた。入口付近には既に魔術士が集まり、いつの間にか封鎖されていた。裏口に確認に行ったレンは走ってくると、手でバツの印を作った。


 「やばい」


  このままだとただの侵入者ということで捕まってしまう。せっかくの報酬額も全てが罰金により帳消しになってしまう。

  魔術士達は侵入者が現れるのを今か今かと待ち構えている。裏口からは突撃をしてくるかもしれない。ツバサは脳みそをフル回転させた。ふとうさぎ面のことを思い出す。


 「うさぎで行くしかない。レンのやつ、まだ壊れてなかったよな」

 「うん、あるけど……まさかツバサ、囮に……」

 「俺が時間を稼ぐから、その間に皆は逃げろ。レンの闇ミストで姿を消して、アルルとベティもうまく団体から避けろ……あと、ベティ光線銃貸せ」

 「レンのミストって、レンにずっと触れていなきゃ効果無いのよ。そんなんで、もしバレたりしたら」

 「まあ、俺は時間を稼ぐだけだから。後はみんなで上手くやってください」


  ツバサはうさぎ面をつけて、ベティの光線銃を肩に担ぎゆっくりと入口に向かった。その少し離れた横に姿を消した3人がついていく。


 「止まれ!やっと姿を見せたな、侵入者め!」


  入口が開き、レン達はゆっくりと歩き魔術士の団体の間をすり抜けた。ツバサは光線銃を構えていたが、やはり重くて肩に負担があったために諦めてポケットにしまった。黙って両手をあげた。


 「そうだ、そのままでいろ。そのまま動くな……」

 「……1つ、質問したいことがあるのですが」

 「くだらないことで時間を稼ごうとするな。もうお前に逃げる場所は無いんだ」

 「僕のことを捕まえるんでしょう?最期に言い残す言葉、というのがあるじゃないですか。それを言わせてください、お願いしますよー」

 「めんどくさい奴だ」


  ツバサは声を上げて笑うと指をさして叫んだ。うさぎ面はあいかわらず無表情で不気味だった。チャンスはたった1回きりだ。


 「皆さんに質問です!まずはこの広く青い空を見上げてください!」


  その場にいる魔術士達は自然と顔を見上げた。ツバサは横切って走り出すと、近くにいた魔術士のみぞおちを殴った。気絶した魔術士にお面を被せると、ツバサは叫んだ。


 「やりました!犯人やりましたよ!」


  一斉に魔術士達が声の方に目をやり、倒れている魔術士に気づいた。その時ツバサはローブのフードを掴まれた。


 「よくわからないがお疲れだな」


  レンがにやりと笑うと、ツバサも笑ってしまった。侵入者が消えた、と大騒ぎになっているのを背中にして4人は大資料館を後にした。

  その翌日、アルルはアルノのローブを持ってサークルの城を訪ねた。アルノについての話をすると、リアは古いアルバムを見せてくれたり昔の話をしてくれたりした。アルルが想像していたよりもリアは気楽にアルノの事について教えてくれた。


 「ねえお母さん。ルーシェの事について、調べてもいいかな」

 「調べるって言ってもどうやって……?」

 「魔女の知り合いが居るの。だから、聞いてみようと思って」

 「貴方、魔女の知り合いなんて居たの。昔からの仲?」

 「いや、最近だよ。でも私が怪我をした時に手当てをしてくれて……良い人よ」

 「そう。別世界に住んでるの?」

 「ううん……異界だけど、レンが一緒に行ってくれるって言うから」

 「まあ、気をつけて……何か分かるといいわね」


  応接室を後にすると、アルルはリッチェルと偶然廊下で会った。リッチェルは軽く手を振ってくると笑顔で聞いてきた。


 「仕事、終わったの?ニュースでやってた資料館の侵入者ってアルル達の事でしょ?」

 「え、知ってたのリッチェル」

 「知ってたも何も、ツバサから聞いたの。非公認依頼で資料館に行くんだって。バレなくて良かったね」

 「ええ。当分働かなくても良さそうなくらいになった」

 「良いなぁ羨ましい。私は何か勉強づくめだよ、皇女っていうのも苦労するね……じゃあまたね」


  やけにニコニコと笑っていたリッチェルに何故か不審感を抱いた。早く帰って異界へ行く支度をしなくては。アルルを停めてあったハネハネに乗った。




 「100万?!」


  思わず大声を上げてしまいレイナは口を塞いで店内を見渡した。満足そうにツバサは笑うとそうだよ、とうなずいた。


 「随分運が良いチームね。当分働かなくて良いじゃない」

 「そういやレイナが昔いたチームの奴らも居てさ。そいつらに通報されて、芝居をやる羽目になって散々だったよ」

 「100万なんて、何に使うのよ」

 「こっちが聞きたいよ。いざいきなり大金が舞い込んでくると困るよねー」

 「良いワインでも飲めば?酒は18からだし、良い店知ってるよ私」


  別世界では18歳であれば飲酒をすることが出来る。地球のワインと比べてアルコール度数は高く、最も低くて40である。特に魔術士はアース人と違い体内に魔力があるため、酒に強い傾向があった。勿論個人差はあるが。普通に飲み過ぎれば酔っ払ってしまう。


 「レイナとは飲みに行こうと思わないけどな。そっか、とうとう俺達も19になるのか。宿舎に居られるのも後1年くらい……俺も家建てようかな」

 「夢のマイホームってやつ?」

 「そうそう……今日ベティは非番なの?」

 「非番って言うか、学校に行ってるよ。今期の単位がちょっとギリギリだとか何とか。まあ学年末だしね」

 「……俺、進級できないかもしれない」

 「……は?」

 「俺も単位やばいかもしれない!酔いが覚めたわ!」

 「いやお前何も飲んでないし……って、あ!おい!金は!食い逃げだぞ!」


  レイナが叫んだが、逃げ足の速いツバサは店から飛び出していってしまった。進級できないとはある意味事実だった。チームを組むとここまでも暇な時間が無くなるとは思っていなかった。しかしそれなりに充実している毎日を彼なりに楽しんでいたのだ。

  宿舎に戻ると、ツバサは自分の部屋を見て唖然とした。


 「何だこれはー!!」

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