表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠対立関係  作者: P-Rin.
11章 旅人
78/131

11-8 このまま

 

  ぐしぐしと腕で涙を拭うと、アスカはいきなりアレンの手を掴んで引っ張った。一軒の小さなラーメン屋に入ると、カウンター席に座った。店主は親しげにアスカに声をかけた。


 「アスカちゃん久しぶりじゃん。今日は兄貴と一緒じゃないんだね」

 「うん」

 「……いつもお兄さんと来てたのか?」

 「うん、お兄ちゃんが見つけたお店なの。凄く美味しいよ、別世界一好きなラーメン屋なんだ。いつか誰かに教えてあげたいと思ってたけど、今日までずっとお兄ちゃんとしか来たことがなかった」


  アスカの言う通りラーメンは絶品で、無言で食べ続けた。横でアスカが鼻をすすりながら美味しい、と呟いた。2人の他に客は居なく、静かな時間が流れ続けた。そんな時、入口がガラガラと開いた。いらっしゃい、と挨拶をした後すぐに店主は声を上げた。


 「あれ?ちょうど噂していたところだよ、お兄ちゃんじゃないか」

 「え?アスカ1人で来てるの?」


  その声にアスカははっとする。ツバサはにやにやと笑いながら入ってくると、必然的にアレンの隣に座った。アレンは初めてアスカの兄ツバサと対面した。この人もサングスターの魔術士だ。やはりグループの魔術士のような邪悪な魔力をあまり感じないが、何か"ワケあり"な魔術士だということは何となく分かった。それに悔しいことにやはりサングスターの魔術士は顔が整っているため、写真よりも遥かに美青年だった。

  ツバサの後からもう1人少女が入ってきた。


 「あ、リッチェル。珍しい組み合わせだね。違うよお兄ちゃん、1人じゃないよ。色々あって私の部屋に居候してるアレンです」


  アスカが笑顔でアレンの肩を叩いて、そうだよね、と念を押しながら紹介した。へえ、とツバサは感心したような反応をするとすぐに店主に注文をした。


 「てかお前勝手に塩持っていっただろ俺の部屋から」

 「返すの忘れてた……ごめんね?」

 「別に良いけど……居候ってことは一緒に寝てんの?彼氏?」

 「何で彼氏が居候するのよ!彼氏だったら同棲って言うでしょ。アレンはそんなんじゃないわ、期間限定のチームメンバーよ」

 「チームメンバーか!そりゃ失礼しました。ありがとね、こんな口うるさい女の世話焼いてくれて」


  ツバサは笑いながらアレンに詫びの言葉を言った。アスカは少し不機嫌そうな顔をしていたが、アレンの言葉でぱっと顔が明るくなった。


 「俺の方がアスカに助けてもらってばかりだったから、世話になったのはこっちの方だ」

 「……そうやって言ってくれる人ほど世話焼いてんだよな……」


  ツバサ達が食事に手をつけ始めた頃、アスカとアレンは食べ終わってしまった。アレンは何となくアスカの分まで支払ってしまった。


 「じゃあお兄ちゃん、リッチェルばいばーい。帰ろー」


  またアスカはアレンの手首を掴んだ。アレンはツバサとリッチェルに軽く会釈をして後について行った。


 「やっぱりあれ彼氏じゃない?」

 「それな。俺も思った。ちゃっかり奢っていったしな。イケメンだ」


  アレンはアスカに手を引かれながら考えていた。一度アスカとは別れなければいけない。アスカの為にも、"旅"を続ける必要がある。ずっとアスカと行動を共にしているとはっきり言って危険だ。アスカのことを守りたいという気持ちはあるが、一緒に仕事に行くことは危ない。このまま明日も明後日もずっと居候してしまいそうだ。

  明日の夜、アスカにバレないように旅立とう。そうアレンは決心した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ