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永遠対立関係  作者: P-Rin.
11章 旅人
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11-5 許されざる罪

 

  翌日、午前中は学校だと言ってアスカは先に部屋を出ていった。自由に過ごしてくれて構わないが、できれば王宮へ行って依頼書を適当に探してきてほしい、ということを言い残して。


 「今が逃げるのには絶好のチャンスではあるが……やはり金が無いな。それからあいつにはカリがある……」


  逃亡は諦めて、棚の上に飾られている写真立てに目をやった。アスカの部屋には小物がこちゃこちゃと置かれているため(本人は飾っているつもりである)、見るだけでも時間つぶしになった。


 「この青髪の奴がアスカの兄か……ツバサだっけ……」


  写真に写るアスカは幼かった。隣には兄と、それから優しそうな笑顔の母親と思われる女性がいた。その時その女性のことを見た事があるとアレンは思った。そして、別の写真を見て目を見開いた。


 「この男……」


  アスカとツバサと、それから父親が写っている。どれも幸せそうな写真だ。しかし、アレンはその父親のことを知っていた。


 「どういうことだ」


  左目が傷んだ。眼帯に手を当ててはっとした。近くにある鏡に写る自分の顔を見る。見慣れない青い眼帯がかかっていた。それを見ると余計にアレンの心は落ち着かなくなった。


 「どういうことだ……アスカの父親は……姉さんを……仲間を……俺の目を……」


  奪った奴だ。そして、アレンと仲間達が殺したのはアスカの母親と兄姉だった。その日、彼らが殺すべき魔術士はアスカとその兄のツバサだったのだ。なぜなら2人はサングスターの血を引く魔術士。それを排除するのはアレン達、グレイの対グループ組織に所属する魔術士。


 「アスカはサングスターなのか?……俺のことを知っててこんなことをしているのか?知っててあの時助けたのか?……いや、もしかしたら俺の記憶がおかしいのかもしれない……5年も前のことだ、顔だって間違える可能性も……」


  本人に父親について聞いてみよう。今のところ、アレンのことを騙すような雰囲気は無い。青色の眼帯がそれを示しているような気がした。

  王宮に行けば、もしかしたらグレイの誰かに出会えるかもしれない。そんな期待を込めながらアレンは王宮内を歩いた。思ったよりもすぐに向こうからやってきた。


 「アレンさんじゃないですか」

 「ああ……お前は」

 「覚えてくれました?現実でお会いするのは初めてですね」

 「氷術士のスズナ、だよな?」

 「はい。こんなところで油でも売っているんですか?」

 「依頼書を探しに……じゃない、お前に誤魔化す必要は無いんだ。アスカという魔術士は知っているか?」

 「……アスカ?普通の女の子の名前ですね。……さぁ、存じ上げませんね」

 「というか、お前はレジスタンスに入っていると言っていなかったか?何で王宮をウロウロしているんだ」

 「私はレンさんのおかげで王宮の宿舎で生活しているんですよ。ここと要塞を行ったり来たりしているんです、それだけです。一応名前だけ王宮公認団体に入っていますけど」

 「じゃ、じゃあ、まさかお前昨日のモグラのやつにも来てたり」

 「だから、名前だけって言ってるじゃないですか。モグラ狩りの依頼は知ってますよ。でも私、要塞に居ると顔が知られるのでたくさん魔術士が居るところには極力行かないようにしてるんです。もしかしてアレンさんも団体メンバーなんですか?あ、潜入捜査?」

 「今は期間限定の助手をやってて……」

 「へえ、そういう依頼があるんですね!よく選びますね、そんな面倒くさそうなやつ!」


  現実でも話にならなかった。アレンは自分から話を終わらせ、言われた通り依頼書を探しにやってきた。すると隣に長身の女魔術士が居た。昨日行ったレストランの店員だ。思わずアレンは声をかけた。


 「おい、お前は昨日レストランにいた店員だな」

 「えっええ……どちらさん?……ああ、アスカの連れの。驚かせないでよ、何なのその話しかけ方」

 「アスカについて何か知っていることは無いか?」

 「知っていること?いや……私どっちかっていうとアスカの兄繋がりだから……」

 「じゃあ兄のツバサのことでいい」

 「私あいつ嫌いなんだよね!だからツバサのこと聞きたいなら別の奴に聞いてくれないかな!申し訳ないけど!」


  半分逆ギレをして、レイナは立ち去ってしまった。よくわからない女だ。またため息をついて、依頼書が貼られたポスターに目をやった。


 「……若い女の子募集中、深夜に裏通りのホテルへ……って、何故こんなふしだらな依頼書が王宮公認団体の場所に?!」


  適当に何枚か貰い帰宅すると、アスカが戻ってきたところだった。アスカは昼食の支度をしようとしたが、何かを探し始めてしまった。


 「あれー?塩が無いよー?」

 「塩?」

 「お兄ちゃんに貸したんだっけ……。ちょっとお兄ちゃんの部屋に行ってくるね」

 「お、俺も行く」

 「うん、良いけど」


  兄のツバサは留守で、部屋には誰もいなかった。男子の部屋とは思えないくらい整理整頓されていた。小さな台所からベッドまで全部だ。はっきり言って物が何も無いのだ。アスカが台所の戸棚を漁っている間、ベッドの近くにあった引き出しに何かが挟まっていることに気づいた。

  アレンがその引き出しをひくと、中には写真が何枚か散らばっていた。また昔のアスカとツバサが映っていた。それからもう1人赤毛の少女が一緒に映っていた。

更新日になかなか更新できず申し訳ございません。

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