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永遠対立関係  作者: P-Rin.
10章 牢獄
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10-3 大地下牢

 ダストシュートのような場所をベティは猛スピードで滑っていた。ルークの影術により、目を開けた瞬間にはこのダストシュートの中にワープしていた。


 「どこまで落ちるのよこれー!」


  永遠に下へ下へと滑っていく。終わりは見えず、暗闇の中で自分の声だけが響く。しかし、いきなり別の誰かの悲鳴も聞こえた。


 「誰?!」

 「ベティ?!」

 「えっ?!」


  ベティがふと後ろを振り向くと誰かが同じダストシュートを滑ってきていた。真っ暗で顔までは見えなかったが、おそらくレンだろうと推測した。ベティが前方に顔を向けた時、いきなり体が宙に浮いた。数秒後、硬いマットのようなものの上にダイブした。また数秒後、今度は何か塊がベティの体の上に落下した。


 「?!うわっベティごめん、大丈夫?!」

 「……何だやっぱりレンか……」


  ベティが痛めた腰をさすりながら体を起こすと、その瞬間体が固まった。意地悪そうな顔をした悪魔がムチを片手にこちらのことをまじまじと見ていたからだ。思わず息を呑むとすぐ隣にいたレンに抱きついた。


 「さあ来い囚人ども」


  体が勝手に動き、抵抗することも魔術を発動することも出来ずに2人は看守らしき悪魔の後に続いて歩かされた。左右にはコンクリートの壁しかないように見えたが、どこからもうめき声のようなものが聞こえた。時々コンクリートが叩かれるような音までもした。その度にベティは驚いて悲鳴を上げた。牢獄の中は薄暗かったが、床にはゴミ一つ落ちていなかった。天井にぶら下げられたランプが不気味にゆらゆらと揺れた。

  不思議な感覚だった。無防備だと言うのに、後ろを振り返って走ることもできない。少し速く走って看守に追いつくことすらできない。


 「何か特殊な魔法か何かか……?」

 「……ここが新しいお家だ、囚人共。新しいお家にご挨拶しろ」


  看守はコンクリートの壁を指さして、よく通る声で言った。始めから唖然としていた2人はまた開いた口が塞がらなくなった。コンクリートの壁が音を立てて移動し、そこに隠れていた格子が姿を見せた。


 「彼女がさっきからびくびく震えてちょいと可哀想だから、今回は特別2人で1つの牢に入れてやる。狭く感じるかもしれねえが、1人よりは愉快だろう。まあ男女だからトイレの問題はお前らで何とかしろ」

 「は?」

 「ほれっ!入れ!入れ!新しいお家へ!"楽しい"囚人ライフの始まりだ!」


  有無を言わせずまた体が勝手に動き出す。乱暴に牢屋へと2人は投げ込まれた。看守が笑顔で格子越しに手を振っている。その姿がだんだんコンクリートの壁によって見えなくなっていく。壁が閉まり、外の世界が閉ざされた。壁が閉まっても薄暗さは今までの廊下と大して変わらなかった。

  ふと格子の横に目をやると"お隣"の囚人の様子が格子越しに丸見えだった。右側の囚人は丈夫な体の怪物で、左側の囚人は魔術士のようだった。右側は荒い息でこちらのことをじっと見ていたが、魔術士の方は力なく床に倒れていた。ただ寝ているだけなのだろうか。


 「ずっとずっと私達ここにいるのかしら」

 「……何とかして脱出方法を考えよう、ベティ」

 「ここは世界最大の牢獄、悪魔界のレギオン3よ。一体どうやって……はぁ、皆を信じて助けを待ちたいけど待っている間に年取りそう」

 「格子は全部防術壁で固められてる……それにここの廊下には変な魔法がかかっている気がしたからなぁ。看守が管理しているんだろうけど、このコンクリの壁のせいで看守の巡回すら観察することができない」


  レンが格子に触れながらぶつぶつと独り言を言っている時、ベティは右側の怪物が格子を掴んでこちらのことを見つめてきていることに気づいた。怪物はよだれを垂らして、鼻息が荒くなっていた。ベティは両手で目をおおった。


 「もうここやだ私」

 「……ベティ、大丈夫?……まあ大丈夫じゃないよな、でもしっかり気を持って」


  うずくまるベティの背中をレンはしゃがんでさすった。空いている方のレンの手を思わずベティはぎゅっと握った。レンは特に気にせずその手を握り返した。その途端、ガタガタと右側の格子が揺れる音がした。


 「何だ?」

 「さっきからずっとこっちを……」


  その怪物の様子をレンは見ると、いきなり立ち上がりゆっくりと近づいた。ベティは座ったままその一部始終を黙って見ていた。


 「お前、もしかして、グレイの悪魔か?」


  怪物はレンの言葉にうなずいた。レンはその悪魔に向かって落ち着いた声で自分の名を伝えた。


 「俺はレン・グレイ。同じ一族の魔術士だ。今すぐここから脱獄したいんだ。何か良い方法は思いつかないか?」

 「……レン・グレイ。やっぱり、レン、なのね。もう、何も、思いつかないの。私、ずっと、ずっとここにいるから。そこの魔術士、レンの恋人?」

 「いいや。俺のチームメンバーのベティだ」

 「……女の子だったんだ……」


  ベティは思わずつぶやいた。自分のことを狙っていたんじゃなくて、勘違いをして嫉妬に燃えていたのかもしれない。途端に恐怖が心から消え去り、ベティも立ち上がってレンの隣へ行った。


 「私がベティよ。囚人同士、仲良くしましょ」

 「ええ、そうね。ここは、この格子のせいで魔法すら、使えないの。脱獄する手段、無いわ。どうして、脱獄するの?私、牢屋の中だけど、貴方に会えて、嬉しい」

 「……俺達、ずっとここにいる訳には行かないんだ。アルルを……仲間のところに帰らなくちゃいけないんだよ。仲間を置いてきちゃったんだ」

 「仲間。だったら、脱獄しないと。私、手伝う。できること、あったら言って」

 「……でも本当にこの子の言う通り、脱獄手段は皆無じゃない?」

予定より1時間遅れの更新となってしまい申し訳ございません。

次話から更新日が変更されます。

毎週 火、木、土、日の22時半過ぎです。詳しくは活動報告をご覧下さい。

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