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永遠対立関係  作者: P-Rin.
8章 神界
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8-2 雷術士の罪

  ベティは14歳の頃まで、アースで暮らしていた。両親と姉の4人暮らしだった。父は魔術士、母は地球人だった。姉は母の血を受け継ぎ力は持たなかったが、妹であるベティには魔力が宿っていた。レストランを営む祖母は父方の母で、何回か別世界へは姉も一緒に遊びに行っていた。

  そして13歳で本能、雷術に目覚めた。本能に目覚めたばかりの魔術士は自分の魔術をまだ上手くコントロールしきれない。そのため別世界へ行き、訓練する必要があったのだが、ベティはなかなか別世界へ行ける機会がなかった。別世界は行かず、魔術士の父がアースでベティに色々と教えてくれたため、それで事足りたように思えていた。

  しかしベティの魔力は普通の魔術士よりも遥かに膨大なものであった。そのことに父は気づかなかったのだ(おまけにアースでは魔力が半減されるからである)。

  13歳の頃、ベティは両親に大きなテーマパークへ行きたいと頼んだ。姉とは年が離れすぎていたということもあり、ベティと両親で出かけることになった。


 「ママ、私これに乗りたいな」


  そうベティが指さしたのは今までまだ乗ったことがなかったジェットコースターだった。母は笑いながら首を振った。


 「ママは絶叫系乗れないわ。パパなら乗ってくれるかもよ?それか1人で乗る?」

 「1人なんて嫌だよーパパ、一緒に乗って」


  ベティはうきうきしながら初めてのジェットコースターに乗った。ジェットコースターが上へと昇っている時、父は言った。


 「ちょっと高くないか?」

 「パパ怖いの?私は高いところ大好きだよ!」


  ジェットコースターは勢いよく降下した。ベティは初めてのジェットコースターを思う存分楽しんだ。

  しかし、ジェットコースターは降下したところで急停止した。ベティが辺りを見回すと乗客皆が気を失っていた。隣にいた父はぐったりとして席に座っていた。急停止により、ジェットコースターの近くの地上に人が集まってくる。救急車がやってくる。なぜ自分だけ助かっているんだ?


 「感電?」

 「何があったの?」


  口々に言う人々の声がベティの耳に聞こえてきた。遊園地のスタッフと救急隊員によりベティを含めた乗客はすぐに乗り物から下ろされ、病院へと搬送された。

  他の乗客の命に別状は無く、ほとんどの人が病院で意識を取り戻したが、父だけは容態が違った。

  ベティが検査諸々から解放された時には、既に父は息を引き取っていた。母は泣いていた。病室には駆けつけた姉も居た。姉は黙って突っ立っているだけだった。


 「パパ……」


  ベティが駆け寄ろうとした時、姉が言い捨てるようにベティに向かって叫んだ。


 「あんたがパパを殺したんだよ!あんたの力で!あんたの雷でパパは死んだんだ!」

 「……やめなさい!」


  母は泣きながら姉を怒鳴りつけた。あんたがパパを殺した。あんたの雷でパパは死んだ。あんたの雷で、あんたの力で。ベティの頭の中にはぐるぐると姉の言葉がこだました。途端に吐き気を催してベティは病室から飛び出してトイレへと走った。

  ベティは自分の力を自分で制御できていないことに気づいた。トイレの個室で、跪いた時に自分の両手がビリビリと電気を発しているのを感じた。


 「嫌だ……嫌だぁぁぁ!!!」


  無茶苦茶に自分の腕を便座に叩きつけた。自分の魔力を恨んだ。私はアースに居ない方が良い。別世界に行ったほうが良い。許されることじゃない。お姉ちゃんの言った通り、私が殺してしまったんだ。

  父の葬式で集まった親戚達はベティのことを見てひそひそと何かを言っていた。姉はベティのことを居ないもののように接するようになった。その時、別世界に住んでいる父方の母、ベティの祖母が声をかけた。


 「ベティ、お前は別世界で暮らした方が良いよ。ちゃんと訓練すれば魔術は制御できるようになる。お父さんのことはベティは悪くないんだよ、あれは事故だったんだ。お母さんに相談して、一刻も早くこっちへ来な」


  ベティは何度も母にそのことを相談しようと機会を見計らっていたが、母は父の死から立ち直ることができずに鬱状態になっていった。母の世話は姉が行い、姉は家に居ない時はいつも働いていた。


 「あんたはママに近づかないで。あんたが近づくと不幸しか生まないんだから」


  ベティはその時14歳だった。そんなある日、祖母からアースへやってきて別世界へ来るようベティに支度をさせた。


 「別世界ならきっとベティの居場所は見つかるはずよ。しばらくうちへおいで」


  ベティは祖母のレストランに連れていかれ、しばらくの間住み込みで店の手伝いもしつつ魔術の訓練も行った。

  それからたった数ヶ月後、ベティがアースへ帰ったのは母が自殺したと知らされてからだった。ベティはそこでアースの親戚達と縁を切らされた。

  ベティはアースで頑張ってきた勉強をそのまま別世界でも独学で続け、始めのうちは勉強を極めようと考えた。祖母から料理や接客を教えてもらいつつ、勉強を続けた。そのため、魔術高校に入学する前までに基本魔術は全て自分でやり方を覚えた。


 「私は別に高校に行かなくても良い。基本魔術はもう取得したし、雷術も制御できるようになったから。私が魔術高校になんか行ったってすること何も無いもん」

 「でもベティ、あなた別世界へ来てからお店で働いたり勉強ばっかじゃない?高校に行けば、新しい友達だってできるかもよ。高校に来る子は皆魔術士だから、アースの時とまた違うと思うわ。それにベティだってやりたいこととかあるんじゃないの?ずっとここに居るのもつまらないわよ」


  祖母に背中を押され、ベティはその1年後魔術高校に入学した。魔術高校に入る目的、それは誰しも大体同じだった。


 「……チームで依頼を受けてチームメンバーで協力して仕事をできるようにする……そんなこと私にできるわけないじゃない」


  一学年で基本魔術の講義は終わり、二学年からチーム結成が開始される。ベティは入学して一ヶ月経っても友達はなかなか出来ずに1人で行動していた。

  しかし、独学のおかげで基本魔術の実技試験などの成績は良く、常に上位に居た。

  そんなある日、本能魔術の訓練が講義で行われた。生徒達がそれぞれ自分の魔術を発動させて訓練している中、ベティの両手は震えていた。自分の魔術を発動させることが怖い。また何か起こしてしまうかもしれない。そんなベティの様子を見て教官は不審に思ったのか、ベティに尋ねてきた。


 「ベティさん、本能は何?」

 「……雷です」

 「あら、雷の子には久しぶりに会ったわ。発動の仕方はわかるわよね?もしかして本能が分かったのは最近?」

 「いいえ……3年前です」

 「じゃあ、やって見せて」


  できない。自分の魔術を体内から発動することが怖い。また誰かを殺してしまうかもしれない。自分に魔術なんて必要あるのだろうか。そもそもこの高校に通う意味があるのだろうか。どうして周りの魔術士はそんなに気楽そうに魔術を操ることができるんだろう。いつ他人の命を奪ってもおかしくない"凶器"の1つであるということを忘れているのか。

  いつの間にかその場にいる全員がベティに注目していた。ベティは小さな声で教官に言った。


 「……できません、ごめんなさい……」


  講義が終わった後、ベティが帰ろうとすると女子のグループが前に立ち塞がった。


 「……通して」

 「あんたってさぁ、もしかして本能目覚めてないのにこの高校入ったの?」

 「……本能はあるけど」

 「じゃあさっきのは勿体ぶってたってこと?あんたの顔見てるとムカつくんだよね。何か皆のこと馬鹿にしているような気がして。何でそんなに魔術を必死に勉強しようとしているんだろーみたいな顔してさ。ムカつくんだよ。皆が頑張って魔術を覚えようとしてんの。あんた高校に来る必要もないんじゃない?てか来るなよ。もう明日から来ないでくれない」


  そうベティに言い放ったのはレイナだった。ベティはテキストを持つ手に力が入った。


 「私だって……」

 「は?何?なんか言いたいことあるわけ?」


  ベティはレイナに向かって叫んだ。

次回は明日22時過ぎに投稿予定です。

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