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永遠対立関係  作者: P-Rin.
7章 迷宮
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7-3 禁じられた恋

 

  するとツバサとベティもレンの近くへ行き、画面に映りこんだ。


「俺達も仕事してるんだ。星の砂浜に居るんだ〜ほら、今30周年記念だろ?」

「ああ、魔法海上遊園地ね。良いなぁ皆楽しそう」

「レンが一人で不貞腐れてるから、仕事が終わったらちゃんと構ってあげろよ」

「おい余計なこと言うなよ……アルル、こっちのことは全然気にしないで。その方が仕事が捗ってすぐに終わるだろ」

「アルル、何か顔色が悪いけど大丈夫?ちゃんと寝てる?」


  不意にベティが心配したように言った。小さな画像のためよく見えないが、アルルは笑いながらもどこか悲しそうにしているのを3人は気づいた。そして、何故か今にも泣きだしそうに見えた。


「うん、最近寝不足で、だからかな」

「そんなキツイのか、仕事……」

「俺がリアおばさんに言ってやろうか!」


  ツバサが冗談を口にしても、アルルはただ首を振るだけだった。いつもと様子が違う。それを見てレンが元気づけるように言った。


「俺達、今は星の砂浜に居るから。仕事嫌になったら休憩の振りしてこっちに来ても良いんだよ」

「うん……ありがとう、一段落ついたら、行ってみようかな。じゃあもう切らなきゃ、またね」


  メモは閉じられ、チリフはどこかへ飛んでいった。さっきまでのゆったりとしていた気持ちは消え去り、しばらく沈黙が流れた。その沈黙を破ったのはベティだった。


「仕事終わったら、アルルのとこ行くだけ行ってみない?もしかしたら追い返されるかもしれないけど」

「それが良いな」


  3人が仕事に戻ろうと海上遊園地の方へ向かった時だった。大きな水の音がして、遊園地の一部が波に打ち上げられ破損したのだ。遊園地に居た人々は悲鳴を上げ逃げていく。その途端どこからか監視員の笛の音が聞こえた。


「緊急事態!全監視員に告ぐ!直ちに全員避難させよ!遊園地の水面下で渦潮が起きた模様!」


  魔法マイクで放送が響き渡り、水着の人々は陸に向かって走って逃げ惑った。ツバサ達も本来の仕事に急いで戻り、砂浜に上がってくる人達の腕を引っ張り避難するよう伝えた。


「皆陸に向かって逃げろ!」


  また別の遊園地の一部が波に打ち上がった。波によって高く打ち上がったと思いきや、今度はぐるぐると旋回し始めた。


「おいおいなんかやばくないかこれ……」


  本部の職員が口々に監視員に向かって叫んだ。


「波に飲まれている人は居ないか?!確認しろ!」

「渦潮が大きすぎる。このままだと全部崩壊するぞ!渦潮のスピードは速い!」


  別の場所では引き込まれそうになったところを監視員が必死に引っ張り上げ助けられている人もいた。ツバサも目を凝らしていたが、その時微かに声がした。


「……助けて!!」

「あそこに1人居る!子どもだ!」


  遊具の間に体を挟まれ、子どもが手を伸ばして叫んでいた。ツバサは走って海に入ると遊具の上に乗り、その小さな腕を掴んで回りにある遊具を魔術で移動させた。


「もう大丈夫だ……っああ?!」


  移動したはずの遊具がぐるぐると周りを旋回し始める。その子どものすぐ下に渦潮は近づいていた。子どもの体が海へと引きずり込まれる。ツバサは慌てて掴む腕に力を入れて引っ張った。しかしあまりの水の威力に子どもを引き上げることができない。

  ベティとレンもやってくると、3人がかりで子どもを引っ張りあげようとした。


「絶対大丈夫!!俺達に任せとけ!!」


  遊具がちょうどツバサ達のいる場所に向かって旋回してきた。レンが魔術を発動させバリアを張るが、すぐにヒビが入り始める。


「おい!これ自然現象の渦じゃないぞ!」

「自然じゃないってどういうことよ!!」


  レンはまたもう一度バリアを張り直す。


「魔術だ!誰かが渦を起こしてるんだよ!」

「……抜けたっ!!ガキ、ほら早く向こうへ走れ!……うわっ!!待ってやばいやばい!助けて!」


  子どもが砂浜に辿り着いて陸へ向かって走る。今度はツバサの足が半分渦潮にハマってしまった。ベティが今度はツバサの腕を掴む。


「待って!無理!私の力じゃ!」


  ツバサの体はどんどん水の中へと引きずり込まれる。レンがベティと共に腕を掴むが、今度はレンの作ったバリアが壊れ始めた。バリアは壊れ、遊具がレンとベティに向かって旋回した。咄嗟にレンはベティを守るようにしてしまい、遊具に衝突した。打ちどころが悪くレンは気を失って、ツバサの腕を掴んでいた手が離れた。その途端ものすごい力でツバサ達は全員水の中に引きずり込まれた。渦潮の中へ巻き込まれ、3人は意識を失った。




  アルルがリアに呼び出しをされたのは、要塞から帰還後の深夜だった。アルルは半ば不機嫌で深夜にハネハネを飛ばしてレクタングル王国を出た。寝ぼけていたせいもありあまり記憶には残っていないが、カーニバルの音楽が聞こえていたような気がした。

  城に明かりは付いていなかった。大きな門をノックすると、門ではなく隅にある小さな扉が開きリアが直々に迎えに来た。

  リアはアルルの顔を見た途端に駆け寄ってその体を抱きしめた。アルルはどう反応すれば良いのか分からずにいた。ただ、自然に感じた母親の気持ちに少し嬉しく思った。

  だが、その後リアの口から聞かされた話によってアルルは絶望の底に突き落とされたような気持ちになった。応接室にはリッチェルも居て、アルルの肩を抱くようにして隣に座ってくれた。話してくれるリアの表情も暗かった。


「いつか、ちゃんと話さないといけないとは思っていたの。その日が、今日のようね。……私達フェアリー家はね、天使の血を継ぐ家系なの。ちょっと長い話になるけれど、まずはこの記録を見てちょうだい」


 リアが差し出してきたものは、赤い紐で括られた古い書物だった。それは、フェアリー家に代々伝わるレポートだと言う。


「おとぎ話なんだと思うかもしれない。でも、そこに記載していることは、全て現実よ」


 唾を飲み込んで、アルルはそのレポートを開いた。隣にいたリッチェルもそれを覗き込んだ。


 "その昔、ある大天使が悪魔と恋に落ちました。しかし、天使と悪魔は恋仲にはなってはいけない間柄でした。その事がバレた大天使は、自ら堕天使となって仲間の元から離れることにしました。天使は愛する悪魔と共に生きようと決断したのです。


 その時代、悪魔という種族は2つに分かれていました。

 見た目が人そのものの整った外見の悪魔と、姿が醜い悪魔が存在していました。


 しかし、天使と愛し合ったということの代償として、悪魔の中で"差別"という感覚が生まれたのです。

 人同然の見た目の悪魔達は、姿が醜い悪魔達を軽蔑するようになりました。

 天使と愛し合ったのは前者の悪魔でした。

 その後、前者の種族のある女悪魔が人間の男と結ばれました。その男はサングスターと言う名前でした"


次回は明日22時過ぎに投稿予定です。

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