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くじらが起きれば  作者: 居縫 涼
2/2

僕は彼女の目を見てみたかった。

閉じているかもしれない、彼女のその瞳が、どんな色なのか。

どんな感情に満ち溢れた、色をしているのか。


もちろん、余計に長い前髪が、それを許さなかった。

どかそうとも思ったが、どうも手がうまく動かない。

本当に、していいことなのか。独断なんてできやしなかった。


僕は、病室を出る事を決めた。

まだ、おもいだしていない事があるから。


彼女と僕が、いや、もしかしたら僕だけが目覚めるとき、

それはそれは、くじらが長い眠りから覚めるようなものなのだろう。


少し、目をつぶった。


彼女に、また一言だけ、話しかけた。

「思い出す、よ」


腰かけていたパイプ椅子から腰を離す。

ギシ、という音が、無機質な病室に響いた。

自然と僕の目は据わっていた。

でも、そのままじゃだめだと。


病室のドアを見返す。

そこには僕の名前、「元野 嵐」が刻まれてあった。

そして、誰のかはわからないが、「鯨野 京子」という名前もあった。


この病室には僕と彼女以外、誰もいない。

「元野 嵐」 もとの あらし

余命一日。病院に滞在する夢を多数見る。


「鯨野 京子」 くじらの きょうこ

植物状態。

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