9話 望の能力の使い方
俺が起きた時には夜になっていた。そこは俺の家のベッドだった。
「俺は...」
「望、良かった...起きたのね!」
エリナが心配そうに見ていた。エリナが騒いでいるのを聞きつけてアレルが入って来る。
「起きたね、早速話をしよう。望、君の能力と君のこれからの運命について。」
俺は起き上がりリビングに移動する。
「私お茶淹れるわ」
エリナがやかんに水を入れてコンロに火をつけて湯を沸かす。
「望、君はジンを倒した時のことを覚えているかい?」
それは覚えている。俺がアーサー王の剣を魔法で出してアニメとかでよく見る必殺技みたいなものを奴に放った。
「あぁ、覚えているよ。俺はあいつをアーサー王の剣のようなのをイメージしてあいつに撃った。」
「君の記憶はそこまでか...。まだ君は自分の能力を理解していないんだね。だから君は自身の能力を操れないんだ。」
「能力?」
俺はエリナに魔法を教えてもらっているが能力なんて聞いていない。
「私はそろそろ教えるころかなと思ってたけど...。でも望は私が知っていることとは違うの。」
タイミングよくエリナがお茶を淹れて戻ってくる。
「わけがわからない。能力って?他の魔法が使える人と俺は何が違うんだ?」
俺は魔法を知ったばかりだ。おそらくまだ魔法のことを全ては知ってはいないだろう。その証拠に俺は能力と言うものについて分からない。
「そうだね。まずは能力について説明するよ。魔法を使える人は1つだけ能力を持っているんだ。例えば僕は過去に自由に行き来できるんだ。そういう風に普通は1つだけなのに君は違う。」
アレルの説明からすると俺は1つだけじゃなくて色々な能力を持っていてそれを今までに使ったことがあると言うことなのか。
「てか、過去を行き来ってすんなり言ったけどそれってすごいことだよね?」
「私もそう思ったわ。」
エリナも同じことを思ったらしい。
「僕の話は最後にするよ。今は望のことだ。」
かなり気になるところだが話を戻されてしまう。
「望、君は3つの能力を持っている。」
「私分からないんだけどそんなことありえるの?」
驚いてエリナはアレルに聞く。俺に関してはどういうことなのか今ひとつ理解できていなかった。
「3つの能力の1つ目は未来予知。2つ目は魔法で作ったものを止める能力。3つ目はこの世界の英雄を憑依させることなんだ。」
1つ目は便利そう。2つ目は誰でも出来そう。3つ目はなにそれ?って感じだった。それをそのまま伝える。
すると、エリナが2つ目のことに関して教えてくれる。
「普通はね、魔法で作ったものはその人がイメージを消すか作った本人が意識を失うかで消えちゃうの。でも望が作った剣は消えなかった。」
そう言いながらエリナが指を指した方向には俺が作ったらしい剣があった。
「あとはエリナも分からないと思うから僕が説明するよ。望の1つ目の能力と3つ目の能力はまだ君自身ではコントロールができてないんだ。2つ目は強制の能力でも1つ目と3つ目は違う。1つ目の能力だ。君は夢を見て今回のことをなんとなく知ってたんじゃないのかい?」
確かに俺は夢を見た気がする。こうなることを知っている気がする。
「確かに心当たりがある。」
「その能力は今はランダムに発生する能力だけどそのうち制御できるようになるよ。3つ目だ。この能力は今回は君の記憶には残ってないことを聞いた。この能力は完全な英雄じゃなくて君のイメージも入っている。」
その後に俺は聞いた。俺は魔力が切れて倒れたはずなのに起き上がって空まで飛んでジンを切ったことを。
「これが僕の知っている君のことさ。僕からは最後の1つ。これは僕からの質問。君はこれからエリナといると色々な困難に遭う。別世界からの侵略者、この世界の守護者、そんな奴らが君を襲いに来るだろう。ある人物はエリナを連れ帰ろうと、ある人物は世界の異物と認識してエリナを殺しに来る。君はエリナと一緒にいるということはそういう奴らと殺しあわないといけない。今エリナを消せばどうにかなる。それでもエリナと一緒にやって行くかい?」
エリナはその話を聞きながら悲しそうに下を向く。俺の答えは決まっていた。
「俺はエリナといっしょにやってくよ。」
エリナは意外そうな顔をしてこっちを見る。俺はエリナに
「何?殺すとでも言うと思った?俺でも分かるよ、君の感情がなんとなく。」
「なんで?」
「分かりやすいんだよ、エリナは。鏡でも見てみろよ。顔の変わりよう凄いぜ?」
「はははっ。君達は本当に面白いよ。僕は君達のことがだから好きなんだ。」
「なぁ、アレルって俺達と会ったことがあるのか?」
「そうだね、じゃあ次は僕についての話だ。」
アレルは自分について話し始める。