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4話 エリナの魔法教室

俺はもちろん魔法なんてアニメや映画しか見たことがない。だから魔法なんて無縁だし、昨日初めて魔法を見たくらいだ。


「俺は今まで魔法を使ったことがないんだが今になって使えるものなのか?」


「魔法は誰でも使えるのだけど、なんでこの世界の人って魔法を使わないんだろうって私は思っていたの。何か理由があるのかな?」


エリナは考え込み始める。このままじゃいつになるか分からないと俺は思った。そして、俺は大きなため息をつく。


「もしかして、私に魔法を教わるのは嫌?」


エリナは俺がため息をついたのを見てそう思ったらしい。


「いや、そうじゃないんだ。気にしないでくれ」


それならいいとエリナは袋を取り出しその中には2粒の錠剤的なものが入っていた。


「はい、これを飲んで。」


何かも分からないまま渡して飲まそうとするエリナ。

何かも分からないものを飲まされるのは嫌だと断る俺。


「せめて飲まそうとする前に何なのか教えてくれよ!」


「あれ?言ってなかったけ?」


「言ってない。全くもって言ってない」


彼女には悪気はないらしい。俺は彼女を裏切らないとは決めたものの完全に信用はできていない。


「えっと、これはね、私の魔力を固めた薬なの。」


「は?」


思わず思ったことがそのまま出てしまう。魔力を固めてそれを飲むっていうのはどういうことなのか。そもそも魔力ってアニメによくあるあれなのだろうか。


「えっと...魔力ってなに?」


「魔力って言うのはその人の使える魔法の威力とか、魔法の使える量とかかな。例えばどんなに魔力が多くても大きな魔法を使ってたらすぐになくなっちゃうけどぎゃくに小さな魔法ならたくさん使うことができるわ。...私にはその魔力が普通の人の半分もないから能力がほとんどないのだけど...。」


なるほど...。よくアニメで聞く魔力と同じらしい。そしてエリナにはその魔力があまりないことも理解できた。


「で、その魔力を固めたものを飲んだらどうなるんだ?」


「望は生まれてからずっと魔法を使ったことはないんでしょ?だから体の中にある魔法の通り道みたいな物が閉じてしまっているの。だから魔力を外から取り込んで無理矢理通り道を作ろうってこと。」


理解はした。でも抵抗がなんとなくあった。


「エリナちょっとま.....」


エリナちょっと待って、心構えが欲しいそう言おうとした瞬間に声が出なくなった。体も全く動かない。


「あのね...、望また飲まないかもしれないから今だけ私があなたに呪いをかけたから。すぐに解くから。」


そういうとエリナは薬を俺の口元に持ってくる。すると俺の口が勝手に開いて薬を口の中に入れられる。飲み込みたくないのに勝手に飲み込む。

飲み込んだ瞬間に俺は動けるようになった。

動けるようになったがそれと同時に体全体に何かが何かが通るような痛みが走る。


「うっ....な、に......を........?」


息もうまくできない。


苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい。

もがくように手を動かす。

するとエレナが俺の手を握る。


「大丈夫、直ぐに治るから、落ち着いて。」


苦しいのは変わらない。

でもなぜか彼女が手を握ってくれた瞬間に苦しさが紛れた気がした。

少し時間が経つと苦しさが徐々になくなってきた。


「今のは...?」


「私、閉じた通り道を無理矢理開けるのは辛いって言わなかったけ?」


「言ってねぇよ...。毒飲まされて殺されるのかと思ったぞ...。」


「そんな殺すなんてするはずないじゃない!」


彼女は必死にそれを否定する。

俺はそれを分かった、分かったと言いなんとかエリナを落ち着かせる。


「そろそろ苦しさも完全に消えてきたけど次は何すればいい?もう、苦しいのは嫌だけど」


「確かに道は開いたと思うけど。」


「けど?」


「私がこの世界に来る前に出会った一番魔力を持っている人よりもさらに多くの魔力を感じる。私よりも遥か上の魔力...」


エリナが悲しそうに言う。魔法を使ったことのない人に自分なよりも魔力が高かったことにショックを受けたのだろう。


「えっと...エリナ....それって今まで使ってなかったから魔力が溜まっていたとかじゃない?」


「魔力を貯められる量は決まってるの...。」


エリナはさらに悲しそうになる。


「ごめんなさい、なんでもないの。魔法の使い方はね...」


無理をしているのがものすごく分かる。でも俺は何も言えない。何か言えば彼女を逆に傷つけてしまうかもしれないから。


「右手の手の平を開いて前に向けて」


言われた通りに右手の手のひらを開いて前にむける。


「次にイメージするの、ここは家だからそうね...、そよ風が前に出している手から出るのを。あんまり強いのを想像したら家が吹き飛んじゃうよ?」


物騒なことをエリナは言う。


「最初は私が手を添えるから集中してね?」


俺の手にエリナが手を添える。


「集中...」


俺は想像することは得意だ。右手から弱い風が出るのを想像する。

すると風が軽く吹き始める。


「魔法が使えた?」


「使うこと自体は簡単でしょ?きっとこの世界の人は魔法を使うことがないから閉じているんだと思うわ。私今日生成できた分の魔力は使い切っちゃったから体が重くて重くて...。魔力を個体にするのはかなりの魔力を使うの。だから先に休むわね。」


「今日はありがとう...」


「あなたは私より能力があるのね...」


そう言ってエリナはソファーで毛布をかけて横になる。

悪いことをしたと思った。さらに声をかけたら彼女を傷つけるのが怖かった。

明日は彼女に何かしよう。俺はそう思った。

それともう1つ今日言えていないアレル・ノノヘェルトのことを...。



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