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3話 学校での出来事

俺は学校に登校した。エリナが居たから2人分の朝食を作ったから登校時間が遅くなった。教室に入るとクラスの半分くらいがいた。


「今日いつもより遅くね?」


「いや、ちょっといろいろあってな。」


「いろいろって?」


ここでエリナのことを言うことなんてできない。それ以前にエレナの事を喋ることができないだろう。


「いろいろも何もちょっと寝坊しただけだ」


いつもほとんど1番で教室でいるから今の反応は当然だろう。

朝のホームルームが終わり授業の準備をする。机の中の教科書を出そうとした時、机から紙が落ちた。


「...また、プリント忘れて帰ってたのか俺は...。」


折られた紙を開いてみる。


『放課後学校近くの神社』


...俺もついにヤンキーに目をつけられるようになったか...。

そう思った。今は高校2年の冬、確かに中学の時はヤンキーに絡まれる体質でもあるのかというほどヤンキーに絡まれた。俺はそのたびに上手くかわしてきたが、高校2年の今頃ヤンキーだなんてよっぽど俺に気にくわないところがあったのだろう。

そう考え、手紙のような紙切れを丸めゴミ箱に捨てた瞬間に紙が一瞬弱い光を放ちながら消えていった。


「えっ?」


自分の目を疑った。まさかエリナに続きこんなことが起きるなんて。

その時俺に2つの予想がたった。

1つはエリナが魔法を教えてくれると言っていたからそれで神社に呼び出そうとしている。しかし、ここで問題になるのが別の世界からきたエリナは救急車を知らなかった。そんなエリナが神社のことを知っているか、ということ。

2つ目は別世界から来た新たな人物。

仮に後者だとしたら今度こそ命がないかもと思う。

1時間目が終わり2時間目、体育。今日学校での授業では一番の難関だ。


「なぁ、今日の体育しってる?」


隣の席のやつに聞く。


「外で持久走らしいよ。」


「まじか...。」


体力のない俺にとっては持久走は絶望的な内容だ。体力は序盤で尽き、息があがり吐きそうになる。俺は必死に走っているつもりなのに他の奴は軽く俺を追い抜いて行く。


体育の時間が始まる。


「持久走の記録を取る前に運動部じゃないやつは鈍っているだろうから授業で何回か走ってから記録取るからな。」


俺は思った。1回でいいよ先生...。と。


「よーい、始め!」


俺にとっての地獄の時間が始まる。最初は15分間運動場を走れとのこと。

4分経ったあたりで息が切れ始める。まだいける、ペースを落とせばもうペースを戻せない。自分にそういい聞かせる。

5分経つ。足が動かなくなってくる。

6分経つ。息がさらに荒くなり吐きそうになる。人がどんどん俺を抜いていく。今年もダメか...。そう思う。去年の持久走から1年間俺はほとんど毎日家に帰った後家付近を走っていた。それでも結果は変わらない。去年よりほんの少しわからない程度に体力が上がっていたとしてもこれじゃ意味がない。


「はぁ、はぁ、努力しても結果が出るのはそれに才能があるやつだけ...オエッ...」


苦しいのに無駄な独り言を呟く俺。そんな馬鹿なことをやってると誰かに背中を軽く触られた気がした。


「放課後ちゃんと来いよ。」


通りすがりにそんなことを呟いて通りすぎるやつがいた。名前はアレル・ノノフェルト。名前から聞いても分かるけど外国人だ。髪の色は赤、いつもクラスでは目立たず誰とも話しているところは見たことがない。

そして気づいたことがあった。彼女に触られた瞬間に息が切れて苦しかった感覚も動かなかった足も最初よりも明らかに軽くなっていた。

体育が終わった後の休み時間。


「お前後半急に速くなった気がしたんだけど?」


「いや、ちょっと気合いをね...」


笑ってそう答える。あのことを言って余計な面倒事になるのはごめんだ。

全ての授業が終わり下校の時間になる。アレル・ノノフェルトは直ぐに教室を出る。


「今日暇?」


昨日断ってまさか2日連続で遊びに誘うとは...。神上真斗は部活をサボって遊び相手をよく探している。


「悪い、今日も無理だ。てか、しばらく無理かもしれない。」


「分かった。しばらくはちゃんと部活に行くかな...」


「毎日行けよ...」


神上が部活に行った後5分くらい行くか行かないかを考えて俺はバックを持った。


「さて、行ってみるか」


昨日といい、今日といいもう慣れてきた。驚きはあるがエリナを初めて見たときよりも今日の出来事の驚きは小さかった気がする。

生徒玄関から自転車置き場に出て自転車で神社まで行く。

神社に着くとすでに彼女は待っていた。


「ごめん、待たせて。何の用?まさかデートの誘いではないよな?」


学校でテンションが高い自分を演じながら警戒して近く。


「要件はなんとなく分かっているだろ?お前は僕の能力を見たはずだ。それに無理に演じなくでもいい。馬鹿なただの人間じゃないんだからそんなのは僕には通じない。」


面と向かって彼女と話をするのは初めてだがこんなに男っぽい喋り方でしかもこんなに無感情なのかと思う。


「ノノフェルさんの要件は確かになんとなくは察しているけど完全に理解をしているわけじゃない。もしかしたら俺は検討違いのことを思ってるのかもしれない」


「ノノフェルか、アレルで構でいい僕の名前は呼びにくいからね、さんなんてつければ余計に呼びにくいだろ?手取り早く説明すると昨日この世界にいないものが、いてはいけないものがこの世界に来た。別の世界の物がこの世界にくるのは災厄を引き起こす。」


「なんでノノフェルさ...はそんな話を俺に?」


「君にこの世界の物じゃない匂いがするからだよ。この世界のものじゃないものが入ってきた時なんとなくは分かる。それでもどこにどの場所から入って来たかは分からない。でも、昨日まで何もなかった君から匂うんだ君の近くにいるのは間違えない。だから学校に来た瞬間に手紙を魔法で生成して魔法で君の机に送ったのさ、簡単な話だろ?」


彼女は淡々と説明する。まさかこの世界にも魔法があるなんて思いもしなかった。

何を言えばいいか考えた結果出た答えは1つ。


「俺に何をしろと?」


「僕の手伝いをして欲しい。彼女を、エリナを殺す手伝いをね。」


「断れば?」


「星杉、君を敵として見る。それだけのことさ。」


俺はエリナに俺の家で住んでもいいと言った。エリナは俺のことをいい人だと言ってくれた。そんなのはただ口からのデマカセかも知れない。それでも昨日彼女は俺に泣いて頼んできた。思い出せば心が痛む。彼女は俺のことをいい人だと言ってくれた。彼女が単純なだけかもしれない。それでも俺にとっては嬉しかった。


だから俺は...


「悪いが断る。」


「馬鹿だな君は。無能でなんの能力もない他人の力人より多く借りなければいけないような人間が口だけは達者だ。後で後悔しなければいいけどね。」


彼女はそして歩いて帰っていった。

俺の判断が間違えかどうかなんて分からない。

ただ後悔はしていない。


「俺も帰るとするか。」


そう独り言を言って自転車で帰る。

玄関を開けるとエリナがそわそわして待っていた。


「おかえり、魔法を教えるんだから早く準備して!」


準備とは何をすればいいのか。

今日あったことはこれが終わってから話をエリナしよう。

ノノフェルも殺すならあの時点で俺を殺したはずだ。すぐに殺しに来ることはないだろう...、ないと思いたい。


そしてエリナの魔法教室が始まる。




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