2話 訪問者との生活の始まり
「本当にここに住むつもり?」
「ええ、じゃないとあなたに私のことを喋ることが出来ないようにする必要なんてないもの。」
そういえば彼女は言っていた。俺に彼女自身のことが喋られなくなる制約のようなものをつけたとか。
「そういえばそれって喋ろうとしたらどうなるんだ?」
俺は彼女に殺されかけた。家に入ってくる時に彼女俺に何に対してかの物かは知らないが謝った。それが俺に恐怖を与えたことへのものでも許せない。また殺されかけるかもしれない、それよりひどければ今度こそ殺されるかもしれない。
「大丈夫、あなたを殺しはしないわ。ただ喋ろうとしたら私の事を忘れるだけだから。仮にあなたを殺すならとっくに殺してる。人は脅せば頷くしかないから仕方なくそうしただけ。」
「最後にもう1つ、なぜ俺なんだ?なんで俺のところに住もうと思ったんだ?」
殺される可能性は少しは自分の中では少なくなった。次の疑問、なぜ俺なのかというところ。
「まさか...倒れているところを助けてもらったからというわけじゃないよな?」
「え?そうだけど?」
俺は思った。こいつ単純だなと。
「それだけ?たったそれだけで俺の家に相撲と思ったのか⁉︎」
「それだけってあなたは私を助けた。それでいい人って思ってもいいじゃない?」
エリナは本当にそう思っているようだ。その証拠の彼女はこの家のソファーに座ってリラックスしているように見える。そして、俺は床に座っている。
「本当に単純だな...」
「何か言った?」
「いや、別に...」
彼女を追い出す方法を考える。彼女は言った。いい人だと思ったから俺についてきた。それなら悪い人と思わせればいいのか。
「あと理由はそれだけじゃないの。あなたは私と同じだから。」
「どうゆうこと?」
「あなたって運動も勉強もダメダメで、得意なこととかもないでしょ?」
「初めてあってそこまで時間が経ってないやつにそんなことを言われたくないんだが....。まぁ間違えではないけど」
悔しいけどおれはなんの才能も能力もない、普通の人よりも劣っているやつだ。それを言われたら俺は否定ができない。それと、新しい疑問。なぜ彼女はそのことを知っているのか。
それを聞こうとした時に彼女は
「気持ちが悪いよね。初めてあったばかりの人にそんなこと言われて、助けたのに迷惑かけられて...私はあなたのことを見ていた。別の世界で私と同じ人を探して。それで見つけた。私の居た世界は魔法が全てで、でも私は魔法を使うのが下手で。他の人より能力がなくて才能もなくてそれで私のような思いをしている人なら仲良くやっていけると思ったから。だからこの世界に来た。でもこの世界には魔法が無くて怖い思いさせて...」
やめろ、泣かないでくれ。泣かれたら追い出せなくなる。人が泣いてるのを見たら心が痛くなる。でも彼女を追い出さなければいけない。正体を彼女は現した。そして彼女は嘘をつけないんだろう。だから俺に能力がないなんてそんなことをそのまま行ったんだろう。
「お願い!...私をここに住まわせて...。もう向こうの世界には帰れないの。」
彼女は俺に泣きながら頼んでいる。もう、追い出すことなんてできない。
「分かった。分かったから泣かないでくれ。ここで住んでもいいから。」
「...ありがとう.....。」
しばらくして彼女は泣き止んだ。そして俺に
「ねぇ、これから住まわせてもらう側だけどあなたと住むわけだからあなたのことを名前で呼んでもいい?私のこともエリナって読んでいいから。」
「それは別に構わないけど。」
そして俺の...俺とエリナの生活が始まった。
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「朝か....」
俺は布団から出てリビングの方に行く。すると彼女はソファーに座っていた。俺のお気に入りソファーはすっかりエリナの特等席になっていた。
「えっとエリナ、朝はパンでいい?」
「私は何でも構わないけど...、ごめんね私何もできなくて...。」
「気にしなくていいよ。俺は俺の数少ない出来ることをやっているだけだから。」
「それじゃ私のできることを私はやる。この世界では魔法がないじゃない?それなら望に魔法を教えるわ。私は魔法の才能がないけど簡単なことなら教えることができる。魔法が使えれば望はなんの能力無しではなくなるでしょ?」
「仮に魔法が使えるようになったとしても人には見せびらかせないだろ...」
そう俺が言うと彼女は頭に?を浮かべる。
「まぁ、せっかくだから教えてもらおうかな。」
エリナは嬉しそうな顔をして目を輝かせた。なぜかこっちまで嬉しくなりそうだった。
「俺はこれから学校だけどエリナは家で留守番でいいかな?」
それしかないが一応聞いてみる。
「えぇ構わないわ。あなたに魔法を教えるために準備をししなきゃいけないから。」
準備とは何があるかは分からなかった。
俺は朝食のしたくをしてエリナに食べてもらった。いつもはトーストにジャムを塗ったものだけだが卵を焼いてみた。エリナは美味しいと食べてくれた。最後には「やっぱり望っていい人なんだね」なんて言っていた。本当に単純だ。
そして準備を済ませて俺は学校に行くために玄関を出た。