謎のモンスター
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↑に登場人物の設定などがあります。
「キャロちん危ない!セイ!」
「く!?」
メルクルナが槍を繰り出すが、謎の影は軽々とかわしてキャロリンに飛びかかった!
「……全員動かないように!動いたらキャロの頭を舐め回しますよ!?」
「……ドライト様、お止めください」
「ドライト様か……ビックリした」
謎の影はドライトだった、ドライトはキャロリンの頭にしがみつき、周りを威嚇している。
「キャロ、この三流冒険者は本気で私を突き刺すつもりでしたよ!」
「アッサリかわしたんだから良いじゃない、ってかエルナルナ姉はどうしたのよ?」
「……三流冒険者Aなら、あいつ等に殺られたのです!」
そう言ってドライトはメルクルナの後ろを指差す!
が、メルクルナが振り返ることはなかった。
「そんなこと言って、振り返ったら私も襲う気でしょ?」
「いえ、私は襲いませんよ?」
[ゴゴン!]
「ゲコゲコ!?」
「「討ち取った!」」
「「「ステラ様にルチル様!?」」」
メルクルナを背後から襲ったのは、1メートル程の龍の姿をしたステラとルチルだった。
「フフフ……これで三流冒険者を3人仕止めましたよ!」
「ドライト様、何故メルクルナ様を……3人?」
「あそこにも、私達が討ち取った三流冒険者が転がってます」
そう言ってドライトが指差した方を見ると、マリルルナ頭にたんこぶを作って気絶していた。
「マ、マリルルナ様!」
「ドライト様、何故この様なことを!?」
「私も襲いたくて襲った訳でないのです……あれは一昨日の事でした」
「キャロ達の冒険者登録は、終わった様ですね……さて、私も登録するとしますかね!」
ドライトはそう言うと、デレシアが受付をしている所に飛んでいく。
そこそこの人数が並んでいたが、ドライトが近づくと一斉に逃げ出した。
「ひ!?な、なんで私のところに!
ほ、本日は何のご用でしょうか?」
デレシアはまさか逃げるわけにもいかず、恐々と聞く。
「今日は冒険者登録に来ました、初心者ですがよろしくお願いしますね!」
「………………へ?」
「私の冒険者登録をお願いしますと言ったのですよ?」
「………………は、はあぁ!?
ドライト様が冒険者になるんですか!?」
「何ですか、文句有るんですか!?
私は冒険者としては初心者ですが、腕には多少覚えがあるんですよ!?」
「い、いえ強さはよくよく知っております!
ですがですね?」
デレシアはなんと言えばいいのか分からず、シドロモドロになってしまっている。
そんな時に冒険者の1人がつぶやいた。
「……どっちかと言うと、モンスター枠だよな?」
「な!?」
その言葉を聞いたドライトは雷撃たれたかのごとく固まり、床に落ちてしまう。
つぶやいた冒険者は真っ青になりブルブル震えているが、ドライトはフラフラと飛ぶこと無く歩いて出ていった。
ギルドの壁をぶち抜いて。
「あの壁の穴って、ドライト様が通った跡だったのか……」
「綺麗に丸く壁が無かったから、何があったんだろうって思ってたのよね……」
「そ、それでなんでメルクルナ様達を殴ったんですか?」
キャロリンに聞かれたドライトは答える。
「モンスター枠だからに決まっているじゃないですか!
あの冒険者さんには感謝していますよ……こっちの方が面白そうですからね!」
ドライトの返事を聞いて、キャロリン達は目を見開いて驚いている、そこに笑い声が響いた。
「ヌワハハハハ!愚かなりドライトよ!
自分からモンスターになるとはのう!」
「「「ユノガンド様!」」」
そう高笑いしていたのはユノガンドだったのだ!
「……なんですか?ユノガンド様、何か用ですか?」
「ふん!おぬしがこの平原で若い冒険者達にイチャモンをつけているんじゃろ?
その討伐にきまっとろうが!」
「ユノガンド様も冒険者登録をしたんですか?」
「当たり前じゃ、ほれ……ぬわあ!?」
ユノガンドはそう言って懐から冒険者証を取り出す、それと同時に左右から攻撃される。
「お、おぬしら何をするか!?」
「モンスターなの!」
「冒険者は倒すよ!」
ステラとルチルがこん棒で殴りかかったのだ!
ユノガンドはそれを両手で防いだが、目の前で凄い良い笑顔でこん棒を振りかぶるドライトを見たのを最後に気絶した。
「ユ、ユノガンド様まで……」
「キャ、キャロちゃん、あれ!」
「なに、セイネちゃんって、ええ!?」
セイネに周りを見ろと言われてキャロリンが周りを見ると、
「僕、ドラリン!悪いモンスターなんだ……死ねい!」
「デブ龍かかってこい!」
「チエナルナ、エルナルナ姉様達も呼んで……ってもうやられてる!?」
「そこのあなた方、どうですか?一戦してみませんか?
もし勝てたら富も名声も思いのままですよ?」
「す、すいません、薬草採集を受けているので……」
「は、早く逃げるわよ!」
「な、なんでドライト様がモンスターの代わりに彷徨いてるんだよ!?」
「バカ!聞かれたら不味いでしょ!?早く立ち去るのよ!」
「さあさあ!この革の鎧を見てください!
デイノスクスの革をなめした物ですよ!一級品ですよ!
え?高くて手が出ない?そんな時にはこのドライトローンをですね?」
「ちょっと止めときなってば、借金漬けになっちゃうわよ!?」
「わ、分かってるけど足が動かないんだよ!」
「ううう……借金するまで逃がさないつもりか!」
なんかドライトがいっぱい居て、色んな冒険者にからんでた!
「ど、どうする?」
「あっちこっちに居ますね」
「謎のモンスターってドライト様の事だったのね……」
「皆様が姿形を覚えてなかったのは、ドライト様に関わりたくなかったからですわね……」
「謎のモンスターの正体も解ったし、帰るか」
「そうだね!帰ろ帰ろ!」
こうしてキャロリン達は、初依頼を無事にこなして帰路につくのだった!
「はぁ……確かに依頼内容は謎のモンスターの正体を調べるでしたけど……ドライト様を止めなくて良かったのかな?」
「いや、キャロ、私達には止められないでしょ?」
「そうですわね、それに触らぬ神に祟りなしとも言いますし」
「ははは……あ!アンジェ様だ!アンジェ様~!」
キャロリン達は話ながら学園都市に向かっていると、セイネがアンジェを見つけた。
「……セイネ……謎のモンスターを見つけた?」
「え?アンジェ様達はまだ探していたんですか?」
「……うん」
「あ、あのリア様とかサルファ様もまだ探しているんですか?」
「……探してる」
アンジェの言葉を聞いてキャロリン達は顔を見合わせる、そして謎のモンスターの正体がドライトで、分身体も合わせるとそこら辺にうじゃうじゃ居ると伝えた。
「……夫……私達に会わないように……してる」
「なんでまた……」
「……シリカ姉様達を……呼ぶから待ってて」
そう言うとアンジュラは座り込んでしまった、慌ててセイネが敷く物を出したり日陰になるように日傘をさしている。
すると5分も経たずにシリカ達はやって来て、キャロリン達から説明を受けると呆れていた。
「またそんな事をしているのね……」
「でもなんでこんな事を……」
「ああ、暇なのよ、近場の邪神や魔神はあらかた討伐しちゃったし、ステラちゃんとルチルちゃんも手がかからないでしょ?」
「そ、そんな理由で……」
「あれ?でもそれならなんでシリカ様達からは逃げてるんですか?」
「そりゃあれだ、邪魔されると思ってるんだろ?
ってか、アレナム達にバレたんだからセレナお義母様にバレるのも時間の問題なのにな!」
「なんにしろ一般人にまで迷惑をかけてるのは問題ですわ、なんとか捕まえましょう」
「サルファ様、捕まるとは言ってもどうやって……」
リティアの言葉に皆が悩んでしまう、そこにキャロリンがオズオズとある提案をした。
そして―――
「あああ!キャロちゃんとナタリーちゃんの頭に知らない龍が!?」
平原にシリカの叫び声が響く、すると!
[ドドドドド……]
「キャロ、ナタリー!今行きます!」
「おのれ!私のキャロとナタリーの頭にしがみつくとは良い度胸です!」
「赦せません、赦せませんよ!?」
いっぱいドライトが来た、そのままドライト達はシリカ達に捕まり、セレナの元に連れていかれたのだった。
「まったく!一般人にまで迷惑をかけて!
それに妹達まで巻き込んで何をしているんですか!」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
「「母様!兄様を赦してあげて!?」」
セレナにカンカンになって怒られてドライトも妹達も涙目だ。
「怖い!怖いわ!
ってか、なんでここでやるのよ!?」
そしてドライトが叱られているのは何故か冒険者ギルドだった、最初にセレナが入ってくると男も女も見惚れたのだが、ドライトの母だと聞いて逃げようとした。
しかし逃げ切る前にドライトを叱り始めたので、その怒気でほとんど全員が泡を吹いて倒れている。
受付嬢のなかで唯一意識を保っていたデレシアが「家に帰ってやって」っと泣いていた。
「デレシア、デレシア!」
「ギルド長、逃げたんじゃ?」
「外にまで被害が出始めたから戻ってきた、それで話は聞いたがドライト様が冒険者になれないのが問題なのだろ?
お前が行ってドライト様に冒険者になれると伝えてこい」
「は……?今あそこに?……無理無理無理!無理ですって!?」
「嫌なら減給だ!」
「ちくしょー!」
こうして謎のモンスターは冒険者に転職したのだった。
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