キャロリン達のサマーキャンプ・イン・亜空間 潜入編
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↑に登場人物の設定などがあります。
シリカ達とキャロリン達はドライデカ7830に率いられたロボット部隊に、包囲されてしまっていた。
「……あら、なにか用?」
「私達を包囲するなんて良い度胸ですわね?」
「バラバラにするぞ!」
「その銃……面白そう……ちょうだい?」
シリカ達は臨戦態勢になり、アンジュラはロボットの持っていた銃を奪い取ると、あっちこっち見たり触ったりしている。
するとドライデカ7830が前に出てきて言う。
「皆様ご無事でしたか!
実は侵入者を発見したのです!
どうもこの近くに居るらしく、急いで護衛に来たのですよ!」
「へ?わ、私達を守りに来たの?」
「はい、侵入者はかなりの使い手のようで、現在はストーム・ドライトルーパーと戦闘中です。
精鋭のドライトルーパーも手こずっているようで、戦闘をしながらお客様方に近づいているようなのです、なのでお守りするために参りました!
ここは危険です、私達が案内いたしますので移動しましょう!」
ドライデカ7830はそう言うと、歩いて行こうとする。
しかしシリカはそれを止めると言い放ったのだった。
「アンジェの持ってる武器、面白そうね?私達にもちょうだい?」
シリカ達が造船所の秘密を知ったり、面白そうな武器をゲットしている少し前、ユノガンド達は何をしているかと言うと……
「シリカ達は何処に行ったのかのぅ?」
「キャロちゃん達も居なくなっちゃうなんて変ね?」
「……もしかして、やられた?」
「やっぱ、シリカさんは油断ならないわ」
「扉を潜って直ぐに逆方向に行ったのね」
「ってか、誰よ?いきなり走り出したの?そいつのせいですよね、ねぇユノガンド様!」
「まったくじゃ!周りに迷惑をかけるとは、とんでもないやつじゃの!」
「「「あんただろうが!」」」
「すまんかったのじゃ~!つい興奮して走ってしまったのじゃあ~!」
どうやら内部に入った途端にユノガンドが走りだし、エルナルナ達がつられて走った事で出来た隙を突いて、シリカ達はユノガンド達と別行動をし始めたようだった。
「う~む、わらわのせいじゃが良いタイミングじゃったかもしれんな。
このまま別行動にしてシリカ達を囮にしようぞ!」
「でもユノガンド様、このままだとドライトさんに見つかった時にキャロちゃん達を盾に出来ませんよ?」
「む……仕方あるまい、とりあえず宝物や情報を盗れるだけ盗り、荒らすだけ荒らして脱出するのじゃ!」
「「「はい!」」」
原始の神と最上級神が揃ってクズな発言をしていると、通路の向こうから声が聞こえ始める。
「やはり侵入者が居ますよ!」
「ドライト様の亜空間に入り込むとは良い度胸です!」
「各部隊に警備ロボットにも探索の指示を出しました!」
「ヤンバルクイナを1羽も見逃さない体制を取るのですよ!」
どうやら奈落トラップを解析した事で、ユノガンド達が侵入したのがバレたようだ。
そして警戒体制を取り始めたドライトルーパーの分隊が、辺りを警戒しながらユノガンド達に近づいてくる。
「む、まずいの。
……あそこに隠れるのじゃ!」
ユノガンドがそう言うと、何かの倉庫らしき部屋に隠れるのだった。
「しかし、何者なのですかね?」
「この亜空間に侵入しただけでも大したものなのに、トラップが有りアクセスコードの必要な扉を突破して中に入ったのです、只者ではないですね……」
「とにかく捕まえて実験材料にするのですよ!」
ドライトルーパーの部隊は10人で、ユノガンド達が隠れた倉庫の前にやって来た、そしてそこで立ち止まると……
「ふむ、あなたとあなた、ここで警備してて下さい。
まさか行き止まりの倉庫に隠れるとは思いませんが、一応ここも警戒しておきましょう」
指揮官らしき個体がそう言うと、2人のドライトルーパーが倉庫の前に立つ。
ちなみにこの倉庫、扉が無いので外から中が丸見えだったりする、なのでユノガンド達は段ボール箱の後ろに隠れたり、天井や出入口の左右の壁にへばりついて隠れていた。
「そう言えば新型のタイファイター見ましたか?」
「ああ、あのサイズの鯛なら食べでが有りますよね!」
「……何の話をしてるんですか……タイ出身のムエタイの選手の話ですよ!」
「なら、新型って付けたのはなんなのですか!?」
そしてドライトルーパー達は世間話を始めてしまった、出入口の目の前で!
『ぐ!あのような場所で世間話をするでないわ!』
『ユノガンド様、どうするんですか?』
『このままじゃ見つかっちゃいますよ?』
『……殺りますか?』
『メルクルナ姉、2人だけだけど、相手はドライトさんの分身体よ?
一気には無理じゃない?』
『そうだよね、気づかれない様に殺らないとドライト軍団が殺到するわ』
ユノガンド達は移動したいのだが、出入口の前には警備がいるために動けなくなってしまった。
『む!?そうじゃ!わらわに任せるのじゃ!』
ユノガンドはそう言うと何かを念じるように目をつぶる、すると通路の先から[ガタン!]っと物音がしたのだった。
「む!?何か物音がしましたよ!?」
「向こうです!向こうの通路から聞こえましたよ!」
そう言ってドライトルーパー達は通路の方を向く。
『今じゃ!シリカ達を追おうぞ!』
『『『はい!』』』
ユノガンド達はドライトルーパーが、振り向き駆け出そうとしたので飛び出した――が
「でも気配は倉庫の中からします!」
「向こうは囮ですよ!」
ドライトルーパー達はクルッと回転して倉庫の出入口の方に向き直ったのだった!
「「「……」」」
「「……侵入者です!」」
「そんなのありか~!?」
メルクルナがそう叫ぶと、エルナルナ達は一斉に逃げ出したのだった!
「ふう……助かったのぉ……計算通りエルナルナ達を追って行ったようじゃな」
ドライトルーパーに見つかり、エルナルナ達は倉庫から飛び出して逃げ出したのだが、どうやらユノガンドは残っていたようだ、駆け出したエルナルナ達を囮にして自分は助かったのである。
「ユノガンド様、早くここから離れましょう!」
「うむ、そうじゃ……のわぁ!?
メ、メルクルナ!?お主なんでここに居るんじゃ!?」
「いや、ユノガンド様達を囮にしようと、残ったんですよ」
「お、お主な、そう言う裏切り行為はよくないと思う[ゴロゴロゴロゴロ!]のじゃ!?」
ユノガンドが自分の事を棚に上げてメルクルナを批難していると、何かが転がってきた。
「はじめまして!
私はドライデカ710巻きです、あなた方はアクセスコードをお持ちですか?」
「ドライデカ710?」
「違います、ドライデカ710巻き、です、覚え方は[納豆巻き]ですよ?」
「どういう名前なのじゃ……何にしろあくせすこーどはヤンバル!ヤンバル!じゃろ?」
「……死ねえぃ!」
[チュチュチュチュチュチュン!]
ドライデカはアクセスコードを聞くと突然、腕に仕込まれたツインブラスターを乱射した!
「そのアクセスコードは使用済みです!
あなた達が侵入者ですね!?ちょっと死になさい!」
「「ギャアァァァ!」」
ユノガンドとメルクルナは慌てて逃げ出した、エルナルナ達の方に……
「あち!熱いって!なんなのよもう!?」
「あの熱線銃、ブラスターガンはなんなのですか!?
私達の結界をすり抜けてるんですけど!」
「あのデブ龍が作ったんでしょ!?
結界を無効化してるのよ!
……ん?チエナルナ後ろを守ってなさいって、へ!?」
「なんか来た、なんか来たあぁぁぁ!」
[ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!]
「「に、逃げるの(よおぉぉぉ!)じゃあぁぁぁ!」」
後方を守っていたチエナルナが全力で逃げてきた、それに気がついたマリルルナが注意しようとしたが、固まる。
何故かと言うと、チエナルナがなんか来たと叫んで指差した方を見たからだ。
そこには爆走するユノガンドとメルクルナ、そしてその後方からは100体以上のドライデカと1000体程の人型のロボットが追いかけて来ていたからだった!
「エ、エルナルナ姉さん、どうするの!?」
「撤退!ユノガンド様とメルクルナは諦めるのよ!」
「ユノガンド様はともかく、メルクルナ姉を見捨てるなんて、出来ないわ!」
「そうよ!ユノガンド様を餌になんとかメルクルナを助けるのよ!」
「お、お主ら!わらわはお主らの仕える原始の神ぞ!?」
ユノガンドは文句を言っていると、メルクルナが叫んだ!
「ユノガンド様!とりあえずエルナルナ姉達と合流しましょう!」
その声に反応してユノガンドはエルナルナ達の陣地に飛び込む!
それと同時にエルナルナ達は陣地を捨ててメルクルナと合流して、脇道に逃げたのだった。
「……は?」
「……手を上げなさい!」
「あ、あやつら~!」
呆然としたユノガンドはドライデカやドライトルーパーに囲まれ、降伏するように言われて降伏したのだった。
「……あれでどうやってこっちに来てるのよ?」
ドライデカ7830に見せてもらった映像を見て、シリカは頭を抱えていた。
「逃げてる5人の連携がかなり良いようでして、未だに捕獲にいたっていません」
「それって逃げ足が早いだけでわ?」
「だよなぁ、それは手練って言えるのか?普通は言わねぇだろ?」
「……どっかで……迎え討つ!」
「いえ、お客様なのですから危険な事はしないでください……」
ドライデカ7830は止めるが、シリカ達はやる気満々でもらったブラスターガンを構えている。
「でも、本当に面白い武器ね?
結界をほぼ無効化する代わりに……」
「私達やメルクルナさん達だけでなく、マルキダエルの天使族にアラトロンの竜人族にも大してダメージを与えませんわね……」
「その代わりに、とても痛くて熱く感じるのか……」
「……戦争ごっこ用の武器……魂、取っちゃる!」
どうやらシリカ達やドライトルーパー達などが持つブラスターガンは、殺傷能力はほとんど無い代わりに嫌がらせか!?、っと思うほどに痛くて熱く感じるように出来ているようだった。
「本当にやるんですか?
あまりお勧めしませんが……」
「良いから良いから!こんなに面白そうな物が有るんだもの、メルクルナ達で試さない手はないわ!」
「うふふふ……腕が鳴りますわ!」
「こいつを見た時のメルクルナ達の驚く顔が浮かぶぜ!」
「……全身を満遍なく……撃つ!」
「はぁ……あ、そろそろ来ますよ!
あの角からあと少しで出てきます!」
ドライデカ7830に言われたシリカ達は一歩前に出る!
そして、ドライデカ7830は一歩下がるのだった。
シリカ達がメルクルナ達と戦おうとしていた時、キャロリン達はシリカ達を後ろから眺めながらどうするか相談していた。
「い、良いのかな?」
「キャロ様、どうしますか?いよいよになったら逃げますか?」
「ちょっと!リア様達を裏切る気!?」
「アレナム様、そうは言っても、あのような状態でわ……」
「シリカ様達、絶対に目的忘れてるよね?」
「う!言い返せませんわ……!」
「で、でも置いて逃げる訳には……」
「じゃあ、レイナちゃんとリティアちゃんにアレナムは残るんだ?」
「そ、それは……」
「ちょっとセイネ、あんたアンジェ様を見捨てる気!?」
「見捨てるなんて人聞きの悪い、足手まといにならない様に別行動するだけだよ!」
「「「……それ(だ、ですわ、よ)!」」」
こうして今後の行動を決めたキャロリン達が、再度シリカ達に視線を向けると―――
「はぁ……あ、そろそろ来ますよ!
あの角からあと少しで出てきます!」
「……あれ?」
「……シリカ様達と分断されました?」
シリカ達が一歩前に出て、ドライデカ7830が一歩下がった間に他のドライデカやロボットが入り込み、キャロリン達とシリカ達は分断される。
そして通路の角からメルクルナ達が現れたと同時に!
「撃ち方始め!」
ドライデカ7830がそう叫んだのだった!
「あつ!痛、熱い!?」
「きゃあ!?な、何をするのですの!?」
「お、お前ら良い度胸して、あち!マジで熱いぞこれ!?」
「……!……!?…………撤退!」
ドライデカ7830に指揮されたロボット軍団はブラスターを乱射する。
特にドライデカ型のツインブラスターの連射力と威力は凄まじく、流石のアンジュラも撤退と叫んだのだった。
「クゥ……仕方ないか、メルクルナ達と合流するわよ!」
「ま、待って下さい、シリカ姉様!」
「何してるんだよサルファ姉!
とっとと逃げようぜ!」
「リティア達が……リティア達と分断されましたわ!」
「……へ?ア、アレナム!」
「し、しまった!レイナ!」
「……撃て撃て撃て……撃ちまくれ!」
サルファが気がつき、分断された事を告げると、シリカ達も気がつきそれぞれの祝福者の名を呼ぶが……
「シ、シリカ様!今行きます!」
「サルファ様!?私が壁になります!少しだけお待ちください!」
「リ、リア様!このガラクタ共が!バラバラにしてやる!」
「アンジェ様!楽しそうですね!」
ドライデカ7830達に妨害されて近づけないようだった、そしてキャロリン達はと言うと、
「さぁさぁ、この御輿に乗って下さい?
特別貴賓室に案内しますから、そこでゆっくり休むのですよ?」
「な、何を言うか!シリカ様に無礼を働く貴様らの言うことなんか聞けるか!」
「そうですわ!サルファ様に失礼ですわよ!?」
「ちょっとちょっと、レイナちゃんもリティアちゃんも落ち着きなって!」
「何ですか!セイネさんはあの状況を見て黙ってろと言うのですか!?」
レイナがそう言って指差した先では、ロボットとドライトルーパー達に銃撃されるシリカ達とメルクルナ達が居た。
「でもさ?侵入したのがバレたんだしさ?
大人しくしてた方が良いんじゃない?」
「「「………………」」」
「そうだよね?シリカ様達には申し訳ないけど、私は降伏するよ?」
「なんか、私とキャロ様を生贄にするつもりようでしたが、ドライト様にそれで許される保証はありませんし……」
「「「……囲まれてしまった以上、仕方がないよね!」」」
「そーそー、さっさと降伏した方が良いって!
あ、アンジェ様~!私達は先に降伏しま~す!助けは期待しないで下さ~い!」
メルクルナ達と合流したシリカ達は、セイネの言葉に驚愕しているが、アンジュラだけは落ち着いて聞き返す。
「……セイネは……ヒャッハーしないの?」
「はい!当たったら痛そうなのでやめときま~す!
あ、なんだったら天使族の方とか竜人族の方を呼んだらどうですか~!?
それでは先に休んでま~す!」
セイネはそう言うとドライデカ7830が用意した御輿に乗り込みむ。
そしてレイナ達も―――
「「「シリカ様~!サルファ様~!リア様~!私達もやむなく降伏しま~す!それでわ~!」」」
っと挨拶すると御輿に乗り、先に乗り込んでいたキャロリンとナタリーと一緒にワッショイ!ワッショイ!っと、連れ去られてしまったのだった!
「……へ?……レ、レイナ?」
「もしかして、見捨てられました?」
「ア、アレナム、あんなに元気に手を振りやがって……!」
「……セイネの……たまのお肌に……傷がつくより良い。
……それに……良い事を教えてくれた」
「ん?アンジェ、良い事って何だ?」
呆然と去っていくキャロリン達を見ていたシリカ達だったが、アンジュラの言葉に興味を持つ。
「……メルクルナ……そっちも呼ぶ」
だが、アンジュラはカーネリアに返事をせずにメルクルナに何かを呼ぶように言う。
「……そうね、数で来るならこっちも数で対抗するべきよね」
メルクルナはそう言うと目をつぶり、魔術陣を構築し始める。
エルナルナ達はそれを見るとメルクルナを囲み、妨害しようとするドライトルーパー達の攻撃から守るのだった。
「……シリカ姉様……私達も呼ぶ!」
「な、何だよ?アンジェ何を呼ぶって言うんだよ!?」
「リアさん、今はいいからアンジェを守るのですわ!」
「あいつらもこっちが何しようとしているのか、分かったみたいね……アンジェの邪魔はさせないわ!」
アンジュラはシリカにサルファ、何が起きているのか分からないが言われた通りアンジュラを守るカーネリアの3人に守られて、メルクルナはエルナルナ達4人に守られて魔術陣は完成した。
そして―――
「メルクルナ様をお守りするのだ!全員突撃!」
「アンジェ様!お呼びいただき感謝します!皆、俺に続け!」
メルクルナの転移陣から天使族のマルキダエルが、アンジュラの転移陣からは竜人族のアラトロンが飛び出し、それに続いて多数の天使族と竜人族が姿を現したのだった!
お読みいただきありがとうございました。
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