楽しい実験 リターンズ4
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↑に登場人物の設定などがあります。
まずい!バレた!
【ドライト様、急いで逃げましょう!】
おお……ユノガンド様達がもう居ねぇぞ!?
【パンフレットをセレナ様に取り上げられた時点で逃げる準備していたようです】
くっそー!俺も逃げ……そうだ!良い事を考えついたぞ!
【なるほど、流石はドライト様です、さっそく実行しましょう!】
「ユノガンド様が消えたわ!」
「メルクルナもよ!?」
「なんで皆は逃げたのよ!?」
「セレナさん、どういう事なんですか?」
セレナはため息をつきつつ説明する。
「原始の神々や龍神達も数は居るけど無限に居る訳じゃないでしょ?
この魔道具を売ったとしても何時かは皆が持つようになるわ、でも消耗品は使えば無くなる、だから消耗品を高く設定してそこで多くの利益を出すつもりだったのよ、だからほら、このパンフレットの最後の部分を見てみて?」
そう言われてエルナルナ達はセレナの指差している部分を見てみると……
「えっと
※なお、魂の洗濯機にはドライオン株式会社の洗濯洗剤ドップシリーズ、漂白洗剤ブライトなどをご利用ください。
それ以外の洗剤などをご利用されると100%魔道具が壊れますって……」
「ドップシリーズの茶色は某公国の4男用です、ブライトは左弦砲撃手、弾幕薄いぞ!何やってる!の人と関係が有るかもしれません?」
「また、ドライオン株式会社は自然界の摂理に反した緑のたてがみを持つ某ライオンの会社とは一切何の関係もありませんってこれ……」
「ようするにあのデブ龍の製品以外は魔道具が壊れる様になってるって事じゃないの!
それにこの製品説明は明らかにバカにしてるとしか思えないわ!
あのデブ龍どこ[ボグ!]痛ったあぁぁぁい!?」
「うちの子を何度もデブ龍なんて呼ぶなんて良い度胸してるわね?」
マリルルナが余りにもバカにした注意書きと製品説明に怒ってドライトをデブ龍と呼んでセレナに殴られて詰め寄られているが、エルナルナが「セ、セレナさん、それよりユノガンド様達を探さないと!」と言われてセレナはエルナルナに向き直り、
「エルナルナさん大丈夫よ?ほら、あそこに居るから」
そう言ってセレナが指差した先、窓の前にはユノガンドとメルクルナが居た。
「こらメルクルナ!おぬしは主より早く逃げようと言うのか?わらわを先に逃がさんか!」
「なに言ってるんですか!主なら部下を先に逃がすべきですよ!可愛い部下がどうなっても良いんですか?」
窓は人1人がなんとか通れる位の幅しか無く、ユノガンドとメルクルナはどっちが先に逃げるか窓の前で揉めていて通れないようだった。
それを呆れて見ていたアンジュラだったが、セレナ達に見られているのに気がつくと目覚まし用の鉄パイプを取り出して――
「……おら!」
[バシバシーン!]
「「ギャアァァァ!?」」
2人の尻をフルスイングして叩いて2人を排除して、窓から逃げ出そうとしたのだがそこでセレナに捕まったのだった。
「バカのうち3人は確保したけど肝心のドラ公が居ねえぞ?」
「ドライトったら3人を確保してる間に何処かに隠れたのよ」
「なに!?わらわを生け贄にしたというのか!
おのれ許さぬぞ!」
「友を裏切るなんて、なんて奴なの!?」
「……嫁を棄てて……逃げた!」
「あなた達もドライトさんを囮にして逃げる気だったでしょうに!」
ユノガンドにメルクルナにアンジュラは怒っていたがサルファに指摘されると一斉に黙った。
「それでドライトさんは本当に何処行ったのよ?」
「エルナルナ姉さん、あれ」
チエナルナが指差した方を見ると、ソファーセットのテーブルの上にまたもや像が置いてあった。
しかも3体も!
「またかよ……」
「今度は3体ね?」
「ええっと?踊り狂う龍の像に天城越えを熱唱する龍の像、それに大漁豊漁を願う龍達の像、か……」
「マリルルナ姉さん、殴ってみて?」
チエナルナの言葉に指名されたマリルルナはギョっとして嫌だと言う。
「い、嫌よ!
力自慢のリアさんが殴って痛がってたの知ってるんだから!」
そう言って拒否したマリルルナだったが……
「セレナ様、マリルルナ姉さんがドライトさんの事を何時か八つ裂きにしてやる!って言ってましたよ!」
「な!?」
「マリルルナさん、手をグーにして?」
「セ、セレナ様!?」
セレナは一瞬でマリルルナの背後に移ると、腕を取り無理矢理に殴る体制にしてしまう。
「さぁ、どれが良いか選びなさい?」
「ヒイィィ~た、確かこれがドライトさんだったはず!」
マリルルナが選んだのは大漁豊漁を願う龍達の像だった。
そしてーー[ゴン!]
「ああぁぁぁ!手があああぁぁぁ!!」
チエナルナはセレナに誘導されて殴った手を抱えて転げ回るマリルルナを放置して、残りのどちらがドライトなのか見極めようとしていると、
「セレナ様、ドライトさんはステラちゃんかルチルちゃんの像のふりをしているかもしれませんよ?
あと、この間チエナルナがドライトさんの名前が書かれた藁人形に五寸釘を打ち付けてました」
なんとか復活したマリルルナがそうセレナに言った。
[ゴゴン!]
「手があああぁぁぁ!両手があああぁぁぁ!」
チエナルナはゴロゴロと転がっている、それをみてマリルルナは「ざまぁみろ!」と言っていたが、チエナルナがそのまま転がってメルクルナの元に行き、
「メルクルナ姉様!手が痛いです!フーフーってしてください!」
っと言ってメルクルナの胸に顔を埋めているのを見て、
「ずるい!メルクルナ、私も手がまだ痛いのよ!舐めて!」
「な!?なら私はチューしてください、口に!」
「ちょ、ちょっと落ち着いて……アンッ!」
マリルルナとチエナルナはメルクルナに抱きついて揉めながら、胸を揉んでいる。
「ちょ!揉まないでってば!
……イヤン!ち、乳首をいじるな!」
重要地点をいじられてしまったメルクルナは2人を突き飛ばす。
するとーー
「やっぱりメルクルナの乳は極上じゃのう……良いものじゃ!」
ユノガンドがメルクルナの胸に顔を埋めて両手で乳を揉んで重要地点をいじっていたのだった!
ユノガンドはレムリアとヌーマに孫達に変なもの見せるな!
っと言われて亜空間に連れていかれて罰を受けている。
「さあ、次はエルナルナさんとメリルルナさんの番ですよ?
自分に素直になって選んでくださいね?」
「わ、私達も!?」
「ちょっとセレナさん、なんで私達まで!」
2人はそう言って拒否しようとしたが、セレナの笑顔の中で目がまったく笑っていないのに気がつき、シブシブ殴ることにしたのだった。
[ドコ!バキィ!]
「あああぁぁぁ!ほ、本当に痛い!」
「こ、この像、固くなるだけじゃなくって何か他にも仕込んであるでしょ!?」
エルナルナとメリルルナは殴った手を抱えて何か言っているが、セレナはそれを笑みを浮かべて眺めているだけだった。
「ちょ、ちょっとキャロ、セレナ様はどうしたのよ?
いくらなんでもエルナルナ様達が可哀想だよ!」
「そ、そうだよね?
キャロちゃん止めて来てよ」
「うん、ドライト様の祝福を持つキャロさんが適任ね」
「要するに私達もセレナ様が怖いからキャロちゃんに押し付けてるのですわ!」
「皆、ひどい!」
キャロリンもセレナの元に行きたくないが、セイネ達に目で早く行け!と促されてシブシブセレナの元に向かう。
「セ、セレナ様、エルナルナ様達がお可哀想です。
なんでこんな酷い事をするのですか?
もうお止めください」
キャロリンはエルナルナ達をかばうようにセレナの前に立ち、止めるように言う。
キャロリンが間に入ったことで4神達は安心する。
ドライトとステラとルチルの祝福を持っているキャロリンをセレナも可愛がっているのでこれ以上は無体な事をしないだろうと、考えたからだ。
しかし――
「キャロちゃん、情けは無用です。
あなた達もなぜ罰を受けているのか覚えがあるでしょ?」
そう言って4神達をニコニコと見つめるのだった。
「罰!?私達に何の咎があると言うのです!」
「私達はユノガンドの4神と言われる者達です。
いくらセレナさんと言えど、そんな私達に有りもしない咎で罰すればレムリア様達も黙ってませんよ!?」
「私達に後ろ暗い事なんか有りません!
ユノガンド様に誓って!」
「私、チエナルナはメルクルナ姉様に誓っちゃいます!」
4神達は自分達に罪など無い!と言ってセレナを非難する、キャロリンも4神がユノガンド様に誓うとまで言っているのでセレナの方を心配そうに見る。
チエナルナは何故かメルクルナに誓っていたが……
なんにしろ、そんな4神を見ていたセレナは笑みを消し、目を細めて4神の罪を言い放つ!
「夜な夜な私の息子、ドライトの悪口大会をしているそうね?」
「「「「なんでその事を!?」」」」
「セレナ様、もっと罰を与えましょう」
エルナルナ達はセレナの命令で正座をさせられて足の上にはアダマンタイト製の石が置かれていた、しかもご丁寧に重力操作の魔術陣が書かれており、最上級神のエルナルナ達ですら足がしびれる程の重さになっていた。
頼みの綱だったキャロリンは4神達がドライトの悪口大会をしていたと聞いた瞬間に「もっと罰を」と言い、積極的に足の上に石を乗せていたので当てにできないのだった。
エルナルナ達はそんな事を考えながらなんとか逃げる方法を考えていると――
「た、助けてたもれ!
レムリアとヌーマに殺されるのじゃ!」
亜空間の出入り口を蹴破ってユノガンドが飛び出してきた。
「こら!待ちなさい!」
「まだまだお仕置きは終わってないわよ!?」
続いてレムリアとヌーマも飛び出してきて3人がエルナルナ達の状態に気がつくとユノガンドは驚愕して動きを止める、そしてその間にレムリアとヌーマに捕まったのだった。
「な、なんじゃこれは!?
何故わらわの4神達は拷問を受けておるのじゃ!?
わらわ達が一体何をしたと言うのじゃ!」
「「「ドライトの悪口大会」」」
「嫌じゃー!リンチは赦してたもれ―!出来心なのじゃ!
ついつい暇な夜に盛り上がってしまったのじゃー!」
ユノガンドもエルナルナの横に座らされる、そこにキャロリンがいそいそと石を持って来て乗せるのだった。
「おおお!?し、痺れるのじゃ?物凄く痺れ……や、止めるのじゃ、ヌーマ!足を突っつくでないー!」
石を乗せられると早速足が痺れたようで、なんとか逃げ出そうとしているユノガンドだったがヌーマに足を突っつかれて悶えていた。
「ううう、な、何故悪口大会がバレたのじゃ?ドライトか?ドライトが監視していたが家族に誓ってプライバシーは漏らさぬと言っておったのに……何故じゃーー!」
するとメルクルナがユノガンドにすがりついた、しかも足の上の石に!
「ユノガンド様お赦しお!セレナ様にはバレバレだったんです!脅かされて全部私が喋りました~!」
「お主か~!ぬお!?石の上に乗るでない~!」
メルクルナは石の上に正座する様に乗っかってユノガンドにすがりつき、その重さでユノガンドは悶絶してしまったのだった……
その後にメルクルナが何とか赦してと懇願したのでレムリアとヌーマがもう赦してあげようと言ったので、セレナとキャロリンはシブシブ石を取り除き赦したのだった。
「ううう、酷い目にあったのじゃ……それでどれがドライトだったのじゃ?」
「そういやこの像のどれがドライトか確かめてたんだよな……」
「忘れてましたわ……」
「でもどれも違うみたいよ?」
「ドラちゃん……居ない……?」
「……よくよく考えたらこの中にドライト様が居る訳ないですよね」
シリカ達はまだこの像のどれかがドライトが化けた物だと思っていたが、キャロリンは居ないと否定した。
「キャロちゃん、何か分かったの?」
「この中に本物のドライト様が居るのなら必ず見分けのつくセレナ様が殴らせる訳ないと、今気がつきました」
「「「なるほど!」」」
シリカ達は納得したが4神達は「殴り損!?」っと言っている。
「それも入れて罰じゃったのじゃろ……それで肝心のドライトは何処に行ったのじゃ?」
そう言って周りを見回すが辺りに変化は無い、だが学園長室の出入り口から話し声が聞こえて来た。
「にーちゃ、なんでみんなはにーちゃのぞうをかこんでるの?」
「にーちゃ、エルナルナねえちゃたちはなんで、うまれたてのこじかみたいにあしがふるえてるの?」
「私を崇めてるんじゃないですかね?
足が震えてるのは運動不足のせいでしょう」
「「そっかー」」
そうドライトとステラとルチルの声が聞こえたのでドアの方を見ると……片手にフライドチキンがギッシリと詰め込まれた籠を、もう片方の手には器用に2つの大きなコップを持ったドライトと両手にフライドチキンを持ったステラとルチルか居たのだった。
「お、お前!この像に擬態してたんじゃなかったのかよ?」
カーネリアがそう言うと、ドライトはステラとルチルに向かってしゃべりだす。
「言った通りになったでしょ?
最初に像に擬態したのでまた私が像に擬態したと思い込んでしまったんですよ?
初歩的な思考誘導です、像の方にも気づかれない様にホンノリと精神操作の魔術陣をかけてありますがあくまでも補助的にです。
しかし、こういった初歩的なものほどかかってしまった時に気づかれにくいのです」
「「なるほど~ためになる~」」
「相変わらず妹さん達の教育には熱心ね……で、ドライト?このドップとかブライトの価格はいくらなの?」
「市場価格を見て決めた金額です……ちょっと高めですが」
その返事を聞いたシリカはこめかみを押さえながらさらに聞く。
「その市場に参入してるのは何社有るのよ?」
「……ドライオン株式会社だけです」
「ようするにドライトさんが好き勝手に価格を決めたと言う事ですわね」
「それは違いますよ!私以外にドライト大将やドライトヒロシ探検隊長にドライト助手も交えて激論の末に「幾らなの?」洗剤が白金貨で198枚から398枚です」
ドライトは何とか誤魔化そうとしたが、シリカに睨まれてあっさりと価格を言ったのだった。
「白金貨198枚からって高すぎますわ!」
「幾らなんでも高すぎるだろ!」
「結婚資金が……早く貯まる……」
「お安いお値段ですわね!」
「その値段で良いな!」
サルファとカーネリアが高い!っと叫んだがアンジュラの一言であっさりと手の平を返す、そんなサルファ達を見ながらシリカは続けてドライトに言った。
「ドライト、培養ポットに入れていたあれは何?幾らなの?」
「あれは混沌と秩序の結晶です……私以外に創れないので1個白金貨1枚に設定しています。
なんと1000個いっぺんに買うと白金貨980枚に値引きされますよ!」
値引きされても高い物は高い、結局シリカにセレナ、エルナルナ達4神がドライトを囲みもっと安くしろと説得し始めるのだった……
そんな光景を見ていたキャロリン達だったが、セイネが不思議そうにアンジュラに質問した。
「アンジェ様、神々や龍にとってあの金額は高いんですか?
神々や龍にとっては、はした金じゃあ……?」
「……この世界の通貨でとか……だったら安いけど……神々と龍の間での取引だから……サルファ姉様お願い」
「もう!相変わらず喋るのが嫌いなんですから!
ええっとですね?神々や龍の取引で使われる金額はあくまで参考金額なのですわ、実際に取引される時にはその金額に合わせた物で物々交換になるのですわ」
「物々交換ですか?」
「ええ、一応協定があるんですが……リアさん、お勉強の時間ですわ?あなたがお答えなさい」
「ゲ!ええっとな?例えばその協定でリンゴ1個が銅貨で5枚だとするだろ?普通は収穫量とか色々あって価格は変動するんだけど、協定で決められると変動しなくなるんだよ。
んで問題なのが神々や龍の協定で金貨1枚だと賢者の石で1トンは用意しなきゃいけないんだよ……」
「大体あってますわね、それに……リア、あなたあのダイヤ見せてあげなさいな」
「しゃーねぇなぁ……ほらこれ、すげぇだろ?天然物だぜ?
俺の宝物なんだ!」
カーネリアが取り出したのは大人の男の握りこぶしほどもあるピンクダイヤだった。
透明度も高いし傷も少ない超一級品だ、だがキャロリン達は不思議に思いアレナムが質問する。
「リア様、大変素晴らしい物だとは分かるんですが、それがリア様の宝物なのですか?
もっと価値がある物をお持ちなのでは……」
アレナムに、そう言われてカーネリアはキョトンとしていると代わりにアンジュラが答えてきた。
「リア姉、説明不足……私達にはこっちの方が価値がある……何故なら自然に……出来たものだから……」
「「「へ?」」」
「アンジェも言葉が足りませんわよ?
ほら、リティアさんこれを見て?」
そう言ってサルファが取り出したのはカーネリアが持っている物よりも大きな宝石の数々だった。
「す、凄い!こっちの方が価値が高いんじゃない?」
「そうだよね!大きさもだけど傷も無いし完全な透明度だわ!」
「でも、サルファ様はこっちの方が価値が低いと言う意味で出してくれたんじゃ?」
「うーん?凄い物だけどなんか違和感が……」
「うそ!?この宝石は透明度100%で傷は無いですわ!?
あ、もしかして!」
「ふふ……キャロさんの言う通り私達にはこちらの方が価値は低いですわ、セイネさんは感で違和感に気がついたのですわね?
リティアさんは魔眼で視て気がついたようね?」
「こ、これってもしかしてサルファ様が?」
「ええ、私が創った物よ?
つまり自分でいくらでも創れるものに価値なんか無いと言うわけなの」
「でも、俺のは自然に出来たものだからな、私達の中では凄い価値があるんだよ!」
「つまりドライトさんの提示している価格は神々や龍達の労働時間とも言えるのよ」
「その計算だと……少しは働かないと……原始の神々も龍神様達も……買えない」
キャロリン達はなるほど~っと納得していると、いきなりカーネリアがシリカに肩を掴まれた。
「な、なんだよシリカの姉御!」
「リア、そのピンクダイヤって原石のまま持ってなかった?
不器用な私が研磨したら台無しになるかもしれないって」
そう言って、シリカは右手でカーネリアの肩をギリギリと握りしめて左手にはドライトのシッポを持って逆さ吊りにしている。
ドライトは不穏な空気に手足をバタつかせているがシリカにシッカリと握られているので逃げられない。
「……そうでしたわね?アンジェ、あなたがしてあげたの?」
サルファはニコニコと笑顔でアンジュラに問いかけるとアンジュラも知らないと首を左右にプルプル振る。
「い、いや、違うんだって!私が一念発起してですね!」
「ドライト、あなたがしてあげたの?」
シリカはカーネリアを遮ってドライトに質問すると、ドライトは
「そうですよ?珍しい自然石のピンクダイヤで透明度も高くて傷がほとんどない良い物だったので、頼まれて私が加工しました」
ドライトがそう言うとシリカとサルファにアンジュラがカーネリアを囲む――カーネリアは「ヒィ!」と小さく悲鳴を上げてズリズリとシリカ達から逃げようとしてシリカに捕まっていたのだった。
「……?宝石を磨いてもらっただけでなんであんな事に?」
セイネが不思議そうに言うと、キャロリン達もウンウンうなづいて不思議そうにシリカ達を見ている、するとメルクルナが説明してくれた。
「龍が天然物の宝石を加工してもらうのは恋人とか伴侶だけなのよ……他にも珍しい物をとか神々や龍でも貴重な物を預けたり、何かしら加工とかしてもらうのもそう。
あなたを信頼して愛しますって意味が有るらしいわ」
「要するにリア様は……抜け駆けしたって事なのですか?」
「そー言う事ね……」
そうこうして揉めているシリカ達を見ていると、突然シリカは左手で捕まえていたドライトをテーブルの上に置くと、右手に何かの石を持ってドライトに突き出した。
それに続いてサルファとアンジュラも何かの石、宝石の原石をドライトに突きつけたのだった。
「ドライトさん、もちろん私の物も研磨してくれるのですわよね?」
「え?いや、あのピンクダイヤかなり良い物だったので技術者魂がですね?」
「私の原石も……かなり良い物……して、くれないの……?」
「こ、怖いです!とんでもない殺気を感じます!や、やりますよ!やりますから殺気を私に向けないでください!」
「もちろん私のお願いも聞いてくれるわよね?これをお願いね?」
「わ、分かりましたから!ってこれは……?」
シリカは原石と一緒に何か書かれた紙を渡す、そしてドライトが了承するとニコニコとエルナルナとセレナの元に向かうのだった。
「セレナ様、エルナルナ、ドライトが消耗品を安くしてくれるそうです!」
「ドライト、良い子ね?あとシリカは本当に良いお嫁さんになりそうだわ」
「や、やった!皆、神々にすぐに連絡して!これで助かる人々が何人いるか!」
ドライトが手渡された紙に書かれていたのは――
シリカのお願い一覧
1、私シリカ、サルファ、カーネリア、アンジュラの誰かに妻の序列に関わる何かを頼まれたら妻全員の許可を貰う事。
2、魂の洗濯機と培養ポット、そしてその消耗品の価格はセレナ様の判断で決める事。
3、上記の売り上げの一部は私達との結婚資金として貯金する事(最低利益の50%)。
「………………へ?」
「ふう……急にだったからこの3つしか書けなかったわ!」
「………………え?」
「流石はシリカ姉様ですわ!」
「………………は?」
「いや~、やっぱシリカの姉御には勝てないわ!」
「………………ふぇ?」
「ドラちゃん……一生懸命に……貯金しよ?」
「………………そ、そんな~!」
こうしてドライトの左団扇計画は売り出す前から挫折したのだった!
お読みいただきありがとうございました。
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