大漁祭1
なんかのヒーロー……ドライトさん、参上!
なんてのんきに遊んでる場合じゃないですよ!
アレクスで入国審査待ちしてて、やっと役人が来たかと思っていたら、アレクスのトップである都市長、ルドラニア・アレクス・マクルイエがたくさんの兵士を連れて来たんですよ!
ここはなんかのヒーローたる俺がアレクスごと吹き飛ばして、キャロを女王にするべきではないかと思うのです!
やってやりますよ!
私はルドラニア・アレクス・マクルイエ、この港湾都市であり要塞都市でもあるアレクスのトップ、都市長だ。
今私はとても愚かな事をしているのかもしれない、他国の、しかも大国として名高いジェード王国の王族を捕虜にしようとしているのだから……
しかも、ジェード王国とは交戦しているわけではない、どちらかと言えばアレクスも所属しているアサセルム同盟とはかなり良好な関係を築いている。
だが、今は緊急事態なのだ!
アサセルム同盟から援軍として来た将軍達も各国の大使や将軍達も賛成している、我らにはどうしても……
どうしても彼らの魔導飛行船が必要なのだ!
何故こんな事態になっているかと言うと、話は前回の満月の日にさかのぼる。
突然アレクスの沖に巨大な魔物が現れたのだ、その魔物は次の満月にまた来る、それまでに生け贄を用意しろと要求してきた。
しかもその生け贄が処女と童貞で12歳以下の子供ばかり千人というものだった、もし生け贄を用意できなければ、アレクスを津波で滅ぼすと言ってきたのだ……
そして、最初に志願したのは私の下の子供達だった……
12歳になったばかりの娘アレナムと7歳の末の子の息子ルロス……2人が自ら志願したのだ!
娘と息子は幹部やアサセルム同盟の大使や駐在武官の集まった対策会議に突然現れて、
「私達は特別な子です、この大都市を指導し導く都市長、ルドラニアの子です……
ならばこそ私達が真っ先に志願しなければなりません!」
「僕達が死んでも兄達が居ます!父の事業をしっかりと継いでいる立派な兄達が……
だから僕達を生け贄にしてください!」
なんて事だ、私は子供達につねにアレクスのために生きよと教えてきた……だからこれが正しく、素晴らしい子に育ってくれたと神に、メルクルナ様に感謝しなければいけないのだが……
だが私はただ、ただ泣いていた、まだ幼い娘、アレナムと末の子のルロスを抱き締めて泣くことしかできなかったのだ……
そして次の満月は明日だ……これまで我々は生け贄を集めていただけではない、アサセルム同盟や各国にに援軍を頼み、ウアス魔導大国やダラムアデ連合国家からも援軍が来ていた。
ウアス魔導大国からは魔導兵団が、ダラムアデ連合国家からは重装騎士団が、アサセルム同盟も同盟議長親衛隊から最精鋭と言われる者達が来ていた。
メルクルナ教国は箝口令を敷いて隠していたが情報部から、法皇をも含む大部分の幹部が神罰を受けて塩にされたとの情報を受けていたので、混乱しているから援軍は期待できないと考えていたが、メルクルナ様に赦された法皇の一声で、聖騎士団と武装神官団に拳闘士団を送ってくれた。
だが、連日の作戦会議や偵察などから、あの巨大な魔物を討伐するには火力不足だと結論付けられた。
重装騎士団に聖騎士団に拳闘士団は地上での戦闘を主眼に置かれた部隊である、相手が海に居られると実力を発揮できないのだ。
魔導兵団や神官達、我らアサセルム同盟が誇る親衛隊は強力な魔法を使える者達がいるが、それでも大した打撃を与えられないとの結論が出たのだ、現在は生け贄を与え時間稼ぎをする事で決まっている。
だが、あの巨大な魔物がそれで居なくなるとは、“次”を要求してこないとは言えない。
ウアス魔導大国の魔導士達は生け贄を受け取った後、必ず“次”を要求してくると結論付けている。
だからこそ、“次”で討伐できる様にと今回は生け贄を差し出す事で決まってしまったのだ……
街に残る者は生け贄に志願した者と、選ばれた子供達に生まれ育ったアレクスで死にたいと願った者、逃げる場所がない者達が残る事に決まった。
他国の軍は全て後方に下がってもらい、アレクスの難民の世話をしてもらっている……明日の満月で何が起こるか分からないからの処置だ。
メルクルナ教国の軍は最後まで残ると言ってくれたが、難民達の世話に神官の力は必要だと言いなんとか後方に下がってもらったが、精鋭の一部だけは残させてくれと言われ100名ほどが残り、他の国からもならば我らも精鋭を残すと言ってくれた。
親衛隊は、まさか同じアサセルム同盟の我々に下がれと言うのか?っと全員が残った。
そして、昨日の夜まで盛大に祝った……アレクスの歴史での中でも例をみない大規模な祭りを行い、生け贄の者達を忘れない様にと盛大に祝ったのだ!
だが、朝日が昇り皆が街から出て行こうとしていると事態は一変した、朝日を受け巨大な魔導飛行船が姿を現したのだ。
残る者達の中で最初に気がついたのは私の末の子、ルロスだった。
「父様、見て……見て、父様!凄い大きなお船が来たよ!」
その声を他の生け贄の子供達が聞き一斉に見上げると子供達から歓声が上がるが、私達は呆然とその船を見上げる……
するとウアス魔導大国の魔導士達が声をあげた。
「あ、あれはジェード王国の船か!?ジェード王国の旗が立っているぞ!」
「横に書かれている大きな記号はなんだ?魔術陣か何かか?」
「○に囲まれたドの字……何か意味が有るのか?」
「そ、それより、あの大砲を見ろ!とてつもない大きさだぞ!?」
「いや、それよりも魔力の流れを見てみろ!なんて滑らかに流れているんだ!」
「す、凄い、ジェード王国はどうやってあのような巨船を造り上げたのだ……」
魔導士達は大興奮して話している……そして俺は思い出した、ジェード王国から王族が複数名が学園都市に留学するので、アレクスに寄り入国申請を受けたいとの連絡が有った事に。
最悪のタイミングで来たな……と思っているとウアス魔導大国の魔導士が言った。
「あの船が、あの船があればあの化け物を撃退……いや……!討伐できるかもしれん!!」
そう言われて俺は巨大な魔導飛行船を見直した。
全長は500m、横幅150m、高さは100mはある……
あの船であの強大な魔物を討伐……?
「できるのか?」
思わずそうもらすと、ウアス魔導大国の面々だけではなく、他国の魔導士やアサセルム同盟の親衛隊も、
「あの魔力の流れに量……あの船なら……」
「いや、たとえ倒せなくても確実に撃退はできるはずだ……!」
「だが、我らのためにあの船であの魔物と戦ってくれるのか?」
「……我らアサセルム同盟とジェード王国の仲は悪くはない、だが、あれは王族を警護するために使われているのだろう……そんな船をあの魔物との戦いに駆り出してくれるのか?」
「それに、あれはどう考えてもジェード王国の技術の粋を集めて建造した物だろう……我らのために危険な戦いに貸し出すと思うか?」
「ダメだと言うなら、無理にでも徴収して我らで戦えば良い!」
「そ、そうだ!我らであの化け物を討伐すれば良いのだ!」
「だが……だが我らであの船を動かせるのか?」
「「「………!」」」
「む、やっと水先案内人の竜騎兵が先導し始めたな……」
「マクルイエ殿、あの巨体だ降ろす場所も限られるだろうがどこに降ろすのだ?……マクルイエ殿?」
俺は呼びかけられたがそれを無視して考え続ける。
魔導士達や将軍達の話を聞いて考えた……私があの船の艦長なり司令官だとして他国のために貸し出すか?
答えは“否”だ。
あの巨体で流れる様に動いていて、さらに様々な結界も張られている、武装もここから見ただけでも様々な武器が装備されている、中にはこのクロワトル大陸の交易の中心であるアレクスの都市長の私ですら見た事が無い物もある。
先程も誰かが言っていたがあの船は間違いなくジェード王国の技術の粋と、莫大な資金を使って建造された物だろう……
そんな船を仲が良いと言うだけで危険な戦いに出すとはとても思えない、だからと言って奇襲をかけてあの船を乗っ取ったとしても、魔導士が言っていたが我らでは動かせないだろう……
だが……だが、あの船が、あの力があれば私の娘と息子が……アレクスの子供達が助かるのかもしれないのだ……!
正式に援軍を頼めば、名君として名高いステファンス王なら力を貸してくれるかもしれない、だがたとえ転移陣を使ったとしても許可が降りるまで数日かかるだろう、だがそれでは間に合わない……
なにか、なにか手が……!
その時誰かが言った。
「あれには、王族が乗っているんですよね……なら……なら、その王族を捕まえて、それを盾に命じたら……?」
皆がその発言をした者を見る、そして顔を見合わせると頷き会った、そして私は決断したのだった。
「あの船を要塞の近くに着陸させよ、そして王族の方々には、
謁見室側の貴賓室にご案内して……回りを兵で囲むのだ!」
「マクルイエ都市長、お久しぶりですですね……それでこれはなんの騒ぎですかな?」
「アンディ王太子殿、ご壮健でなによりです。
今回はちょっとしたお願いがありましてな……アンディ王太子殿とご兄弟には、別室でゆっくりと休んでてほしいのですよ!」
「キャロ!抱っこするですよ!」
「え!?あ、はいドライト様!」
マクルイエ都市長はジェード王国の一行を見回す、そして心の中で舌打ちをした。
『思った以上に手強い……!』
ジェード王国の王族の面々や近衛騎士に宮廷魔導士達も強者揃いだが、マクルイエがもっとも警戒したのが王族と並ぶように座っている者達だった。
黒髪に青目で美丈夫の男性と、白髪に金の目の神々しい程に美しい女性、2人とも銀髪の幼い女の子を抱っこしている、男は険しい顔をしてこちらを見ていて、女性はニコニコと笑みを浮かべているだけだ、だが2人から凄まじいプレッシャーを感じる。
更にその隣に座る美少女、4人からも強いプレッシャーを感じる。
1人だけ、金髪に金の目の美女はボーっと虚空を見つめているだけなので放置してかまわないだろう。
『流石は大国、ジェード王国だ。
これだけの手練れを揃えるとは……ん?なんだ!?』
マクルイエがセレナ達を見ていると、ジェード王国のアリーア王女にライアン王子、近衛騎士と魔導士達がセレナ達を守るように、回りを囲んだのだった。
「キャロ、もーちょい右に……ええ、この辺りで良いですよ!」
「あ、あの、この行動には何かしら意味があるのですか?」
「ありますよ!これで(キャロが)幸せになれるんです!」
「は、はぁ……」
『マンフレッド魔導師長、アレクスの奴等は何を考えているんだ?突然こんな行動に出るとは……我が国と戦争を起こしたいのか?』
『変ですな……アレクスの都市長のマクルイエ殿は聡明な方です、このような暴挙に出るような方ではないはずですが……』
『アンディ様、どうやら囲まれたようです。
それにこの気配……かなりの手練れが揃っているようです』
『む……?あそこに居るのは聖騎士か?それにウアスの魔導師も居ないか?』
『連合の重装騎士に同盟の親衛隊も居るようですな』
『むぅ、流石にまずいか……?』
『兄貴!龍様方はなにも問題ないだろ?俺達だけで突破して船に戻ろう!』
『ライアン……この愚か者が!
龍神であるレムリア様の加護を貰いし我ら王族が龍様方をほっとくと言うのか!?
助けを求めれば助けてはくれるだろう……だがそれは、できうる限りの事をしてからの話だ!』
『流石はアンディお兄様ですわ!アホはほっといて龍様方をお守りしましょう!』
『い、いや、逆に足手まといになるかと思ったんだよ!』
『とにかく、龍様方を守りましょう!
私とマンフレッド魔導師長でアンディ様をお守りします!他の者は龍様方の壁となりなさい!』
『『『ハッ!』』』
「もう一歩前に出てみてください……おお!良い場所ですよ!
これで、狙い撃ちできます!」
「ド、ドライト様?狙い撃つって、何を撃つのですか!?」
「……(キャロの)幸せを狙い撃ちです!」
「ドライト様!?」
「ふむ、アンディ王太子殿、そちらの方々がよほど大事なようですな……」
「………」
「では、そちらの方々でも良いですな……特にそちらのお子様等はこの様な政治の場はつまらないでしょうから……
我らが保護してさしあげましょう!」
「マクルイエ都市長殿、あまりジェード王国を舐めないでいただきたい!
ティナ!マンフレッド!強行突破して船に戻るぞ!アリーアとライアン達はディアン様達をお守りしろ!」
「怯むな!王族かそちらの誰かを捕まえれば我等の勝利だ!」
そしてアンディ王太子とマクルイエ都市長が同時に叫ぶ!
「「突撃「なんかのヒーロー……ドライトさん、参上!」……な、なに!?」」
今まさに戦闘に突入するかと思われた瞬間、キャロリンに抱っこされたままのドライトがキメポーズをキメながらキメゼリフを叫び、ジェード王国側もクロワトル側も動けなくなってしまった。
何故かと言うとドライトは完全に本気モードになっており、先程のキメゼリフに威圧を込めて叫んだからだった。
だが、流石に強者揃いなので直ぐに回復して、声のした方を見て本気モードのドライトを見てまた固まってしまっているのだった。
「ふふふ……私こそなんかのヒーロー、ドライトさんですよ!
なんのヒーローなのか?決まってないからなんかのヒーローなんじゃないですか!
そんなことよりも、よくも私が祝福を授けたキャロに武器を向けましたね!?そう言うことなんであなた方には滅んでもらいます!食らえ!超必殺技[威力の凄い、ただのブレス]!」
俺は超必殺技[威力の凄い、ただのブレス]を放つために爆発的に魔素を解き放つ!
「ド、ドライト様!お止めください!」
キャロリンが止めてと叫んでいるが俺は魔素をそのまま一気にブレスとして放とうとした!
するとキャロリンがブレスが放たれる寸前に俺を抱えたまま、のけ反る様に後ろに倒れ込んだ。
一瞬にして放たれた魔素ブレスで部屋の中は真っ白な輝きに包まれ……視界が晴れると俺のブレスによって、天井部分が綺麗に消滅していたのだった。
おかげで太陽の光がサンサンと貴賓室の中に降り注いでいて健康に良さそうだ。
あまりの威力にアレクスの面々のみならず、ジェード王国の面々も呆然としている。
龍の面々はセレナが眉をひそめて怒っている以外は何やってんだこいつ!?っと呆れて見ている、メルクルナは相変わらずボーっと虚空を見ているだけだ。
「キャ、キャロなにをするんですか!?外れてしまったではないですか!」
「ドライト様!どうか私に免じてご容赦を!アレクスやその民達を滅ぼすのをお止めください!」
「!……キャロ、分かりました……」
「ドライト様!ありがとうございま「キャロは滅ぼさずにアレクスをこのまま利用して、民達はキャロに仕えさせよう。そう言いたいのですね!」……え?」
「確かにアレクスを1から再建すると多少時間がかかりますし、キャロに仕える者達も必要ですからね……!」
「え?、いえ、あの……え!?」
「ならば……ドライト軍団出陣です!全軍出撃!アレクスを占領しますよ!」
「え?え?え?」
ドライトが全軍出撃!と言った瞬間、貴賓室やアレクス要塞だけではなく都市部や城壁、そして周辺に多数の亜空間の出入り口が口を開いたのだった。
ザッザッザッ……
ザッザッザッザッザッザッ……
ザッザッザッザッザッザッザッザッザッ……
ザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッ……
ザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッザッ……
多数の足音があちらこちらの亜空間の出入り口から響いてくる……
その足音は揃っており、軍人が聞けば高い練度を誇る軍団だとすぐにわかるだろう、しかも足音はまだまだ増えている、そして、とうとうドライト軍団の先頭が亜空間から姿を現したのだった!
身長は1.5mほどで竜人に近い姿をした灰色の龍が全身を鎧で堅め、腰には剣と矢筒が、手には槍と盾を持ち背中には弓を背負った姿で、続々と亜空間から出てくる、近くの広場などに集まると士官らしい飾り羽を着けた者が、「第1軍団、第5師団、第3歩兵大隊はここに集合せよ!」や「第5師団本部大隊はここに司令部を設置する!設営、かかれ!」などと声を張り上げ部隊を素早く展開し始めた。
その様子をテラスに出たキャロリンに抱っこされているドライトは満足そうに見ていて、キャロリンに龍達やジェード王国の面々にクロワトル大陸の面々は呆然と見つめている、最初に正気に戻ったマクルイエが軍団を止めてもらおうとドライトに話しかけようとして気がついた、何時の間にか自分達の周りをドライト軍団の兵士達が取り囲んでいる事に……そして。
「我々はドライト軍団だ、お前達は隷属される、抵抗は無意味だ」
っと某宇宙人の様な事を言い出し、あちらこちらで「抵抗は無意味だ」と声が聞こえて来た。
「あ、あれ?今のは宇宙戦争ごっこ用の……おかしいですね?」
そこでセレナも正気に戻り、
「ドライト!私達の許可なく分身体を動かすとは何事ですか!すぐにお止めなさい!」
っと叱るが……
「か、母様の命令でもこれだけはゆずれないですよ!
この者達は私の祝福をあげたキャロにも武器を向けました!アレクスは占領して、民を含むすべての者は隷属させます!
そしてここに神聖キャロリン大王国の礎を造るのです!ゆくゆくは全ての大陸を支配してキャロを女王にするのですよ!?
っと言う事で、ドライト丸級を超える魔導飛行船……超ド級魔導飛行船キャロリン、出撃せよ!」
ドライトがそう叫ぶと共に、空中に直径1キロはありそうな巨大な亜空間の出入り口が出現する、そこからは出てきたのは……
全長1.5キロ、横幅300m、高さ200mというサイズの超巨大魔導飛行船だった、姿を現した超巨大魔導飛行船キャロリンからも多数のドライト軍団の兵士がアレクスに舞い降り始める、アレクスの面々は真っ青になりながら、ドライト兵に拘束されそれを見つめる事しか出来ていなかった。
「キャロ!テラスの先頭に行くです!皆に姿を見せるのですよ!」
「へ?……は、はい……え!?」
ドライトに言われてキャロリンがフラフラとテラスから地上が見渡せる場所に移動すると、そこには100万はいるドライト軍団がキャロリンに注目していた。
「皆の者!キャロリン神聖女王陛下である!気おつけ!」
ドライトがそう叫ぶとドライト軍団は直立不動の体制に入る、そしてドライトがするりとキャロリンの腕から抜け出すと、亜空間から軍服を取り出して急いで着始めた。
「よいしょ……よっと!……ふぅ……整列休め!
これからキャロリン様からのありがたい御言葉がある!心して聞くのだ!
ささ、キャロ、皆にお声を聞かせてあげてください!」
「え!?あ、あの……え?ど、どうすれば良いのですか!?」
「以上!キャロリン様の御言葉でした!」
「「「おお!なんと慈悲深いお声だ!」」」
「「「素晴らしいお声だ!」」」
「「「キャロリン様万歳!!」」」
等々ドライト軍団から歓声が上がる、そしてドライトが前に出ると。
「これよりアレクス占領作戦を実地する!作戦内容はとにかく武力で何とかする!以上!ちなみに成績の良い者にはキャロとステラとルチルが折り紙で作った勲章が貰えます、各員奮闘努力せよ!では作戦開始!」
「「「勲章!頑張りますよ!」」」
「キャロ私達はここで観戦してるですよ!」
そうドライトが言うと、テラスにテーブルと椅子を出してお茶とおやつを始めてしまった……周囲にシッカリと結界を張った状態で……
そしてステラとルチルも結界内でお菓子を頬張っているが、メルクルナもフラフラと焦点の合わない眼でちゃっかり結界内に入り込んで、お菓子を食べ始めているのだった。
地響きと共にドライト軍団が市街地やアレクスの外に散らばっていく……
それを呆然と見つめるジェード王国一行にクロワトル大陸の面々……
「ど、どうするのあれ?」
「セ、セレナ様ドライトさんを止めないと!」
「あ、あなた!ドライトが私に逆らいました!これが反抗期ですか!?
あああ……!ど、どうすれば良いの!」
「セ、セレナ、反抗期とは成長と共に来ると言われている、つまりドライトも成長したと言う事だ!喜ぼうじゃないか!
そして、我々は行く末を見守ろう……!」
「セレナ様とディアン様はダメね……サルファ、龍神様方に連絡して止めてもらえないかしら!」
「そ、それがシリカお姉様、先程から連絡しているのですが「凛々しいドライトの映像を見る会をしているから1ヶ月程待って」との返事しか……」
「ちょ!あの勢いだと1ヶ月も有ったらこの大陸どころか本当に世界征服するぜありゃ!?」
「リ、リア、そんな事……あり得るわね!ど、どーすればいいのよ!?」
「ってかあの巨大船もだけど、あの分身体達も全員が神器装備してんぞ?ドラ公のやつ何時から準備してたんだよ!」
「諦めて私達も観戦しますか?」
「サ、サルファ!あなたねぇ!……アンジェ!あなたも何か言いなさいよ!」
「……ドラちゃん大漁祭……アレクスで開催中!」
「「「意味違う(じゃない!でしょ!だろ!)」」」
「ところでメルクルナさんはどうしたんですかね?魂が抜けてどっかにいっちゃってるんですかね?」
【ドライト様、現在アレクスの50%を占領しました!
外に展開してたクロワトル大陸各国軍も包囲下にあります、降伏も時間の問題でしょう!作戦は順調です!】
『おお、予定より早く進んでいるな!駄神を気にしている場合じゃないな!』
【長年準備していた計画です……ドライト様の祝福を受けしキャロリン様に、相応しい王国を造り上げましょう!】
『リュージュさん……よーし、やったるでぇー!』
「ルチル!おもしろいです!くちもとにもっていくとかってにたべます!」
「ステラ!このかみですらおなかをくだす、にいちゃとくせいのはらくだしもたべさせてみましょう!」
「ボリボリボリ……」
「え?え?えぇぇ?ど、どうすれば!?」
こうしてドライト軍団によるアレクス占領作戦が発動されたのだった!
お読みいただきありがとうございました。
感想、ブクマいただけると嬉しいです。




