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転生龍の諸国漫遊記!  作者: バリ君
幼龍編
31/174

新たな実験

それは嵐の夜だった……


風が吹き、雷が鳴る夜……


嵐はますます激しくなり雨と風が窓を叩いている……


そして部屋の中には寝台に横たわり眠る金髪の美女……


その美女に近づく影があった……


その影とは……そう!


ふふふ……ドライト博士ですよ……!




「あ、あのドライト様?」


「キャロくん、ドライトはかせとよびたまえ」


「は、はぁ……」


「……ドライト博士……準備完了しました」


アンジュラが妙な装置の前に立ち言ってきた。


「うむ!しょれではじっけんをかいししゅるですよ!?」


「あ、あの?実験って何をするんですか、ドライトさ、博士?」


様っと言いかけたキャロリンだったがドライトとアンジュラに見つめられて博士と言い直した。


ドライトは満足そうに(うなづ)くと説明を始める、


「そこでしんでいる

ようにねているメルクルナさんがいましゅ、そのメルクルナさんにでんきをながしてみましゅ」


死んでいるっと言われて慌てたキャロリンだが、寝ているだけと分かり安心しかけたが電気を流すと言われて慌てて止めにはいる。


「ド、ドライト博士!メルクルナ様がお可哀想です、お止めください!」


「えぇい!とめるなでしゅよ?

われわれのしゅんぽに、じっけんはひつようなのでしゅ!」


そうドライトが言うと、素早くアンジュラの前にある装置から鉄の棒を2本を両手に取り、メルクルナに向かう。


「アンジェじょしゅ!よういはいいでしゅか!?」


「……現在雷を30回受けています……出力300%です」


「このじっけんでわれらのさらなるしゅんぽがされるかされないか!

たぶんなんのしゅんぽもしませんがいきましゅよ!?」


「ドライト博士、何も進歩しないならお止めください~!」


キャロリンの至極(しごく)まっとうな叫びを聞きながらドライトはメルクルナに鉄の棒、2本を押し付けたのだった。


そして


「おきょ!?きょ、きょ、きょ、きょ!?」


変な声をだしながらメルクルナが感電している、そして鉄の棒を押し付けているドライトは……


「あぇ!?え、え、え、え!?」


漏電でもしてたのかドライトも感電していた。


それを見ていたキャロリンが


「ド、ドライト様!?」


っと叫び声を上げてオロオロと周りを見回すと、


「……は、博士!」


と慌ててアンジュラが装置をいじり始めるが一向に電撃が止まらない、焦ったアンジュラが装置をバンバンっと叩くと、


[バキン!]


「あお!?お、お、お、お!?」


装置から嫌な音がしてアンジュラも感電してしまう。


そして次の瞬間![バキィ!]


「お前ら夜中にうるせーぞ!?」


ドアを蹴破ってカーネリアがやって来た、その後ろにはシリカとセレナの姿も有る。


「ったく!こんな夜中に何して……本当に何してんだよ!?」


「か、感電してる!?」


「ド、ドライト装置を止めなさい!」


3人がビリビリっと痺れ、キャロリンがオロオロしているところを見てカーネリアとシリカが驚き、セレナは慌てて装置を止めさせようとして声をかけたが次の瞬間に……


[ドカン!]


装置が爆発してしまった。


室内に煙が充満し、キャロリンと部屋の中に入っていたカーネリアがゴホゴホ言いながら廊下に出て直ぐに排煙装置が作動したのか煙が晴れてくる。




そして中から、


「い、いったい何事なの!?」


っと、メルクルナが出てきたがその姿を見たセレナ達は……


「ブフゥゥゥ!?」


まず近くに居たカーネリアが吹き出し、


「ブハアァァ!?」


次に気がついたシリカも撃沈する。


「ゴフ!!」


セレナも耐えきれずに吹き出したが手で口を必死に押さえている。


「だ、大丈夫ですか!メルクルナ様!?」


唯一、まともに反応してメルクルナを心配したのはキャロリンだけだった。


何故セレナやカーネリア達が吹き出したのかと言うと……

そう!メルクルナはビリー・プレストンも真っ青のアフロヘアーになっていたのだ!


「な、なんでそうなったのよ?」


「ア、アホだ、こっち見るな!」


「クゥ……!」


3人は必死に笑うのをこらえながら、メルクルナを追い払おうとするが、


「なになに、なんなのよ!?」


メルクルナは頭をフリフリ3人の前を行ったり来たりしている。


そして部屋の中からドライトの声が聞こえて、廊下に出てきた。


「じ、じっけんはどうなりゅましゅたか!?」


ドライトも見事なアフロになって出てきたのだった!龍の姿で!


「まてまてまて!

お前さっきまで髪無かっただろ!?」


「だから!どうしてそうなるのか説明して!」


「ヒーヒー……」


メルクルナは自前の髪の色の金髪のアフロで、ドライトは何故かショッキングピンクのアフロになっている。


カーネリアとシリカは持ち直して、何故そうなったのか説明しろと怒っているが、セレナはツボにハマったのか笑い転げている、そこに今度は……


「博士……無事ですか……?」


と、最後にアンジュラが出てきた。

カーネリアとシリカが振り返りながら言う。


「もう良いって!」


「はいはい!あなたは何色のアフロなの!?」


そして、出てきたアンジュラを見て、


「アフロじゃないのかよ!?」


「ブハ!」


「ヒューヒュー……」


銀色のサラサラのロングストレートヘアーになって、出てきたのだった!やっぱり龍の姿で!


そしてカーネリアの前に来ると、手でサラサラの髪をかき上げようとして……

指に引っ掛けてヅラが落ちた。


「あ……?」


「ゴボフ!?」


「見ちゃだめだ!」


「……!」


カーネリアが直撃を受けて、轟沈する。


シリカは慌てて目を背け、セレナはピクピクして反応がない。


そしてシリカが目を背けた先で、


「私のアフロの方が大きいわよ!?」


「わたしのほうが、めだついろでしゅよ!?」


メルクルナとドライトがどちらのアフロが優れているかで揉めて、アフロを何度もガツン!ガツン!とぶつけさせていた。


「ガホォ!?」


こうしてキャロリン以外全員轟沈したのだった。




なんとか復活した、セレナとシリカにカーネリアの前で正座させられているドライトとアンジュラにメルクルナの3人。


セレナ達になんであんな事していたのかと、問い詰められている。


「なんで、でしゅたっけ?」


「実験とテストしてたんじゃなかったかしら?」


「世界の管理システムのチェック……」


「ああ!そうでしゅたよ!」


そして、ドライトが話した内容を聞いたセレナ達は脱力して、突っ伏してしまったのだった。




話は1ヶ月前に(さかのぼ)る。


メルクルナの神界の建設が始まり、ドライトが神殿と宮殿を造っていると、メルクルナがドライトに仕事場の話をしてきたのだ。


「ドライトさん、私の仕事場なんですけど、何処に造るんですか?」


「なんでしゅか?しょしゃいで、はたらけばいいじゃないでしゅか?」


「ああ……

ドライトさんにはまだ神による世界の管理の仕方を見せてませんでしたっけ?」


「せかいのかんりじゅつでしゅか?

そういえばみたことなかっでしゅね?」


そしてメルクルナがこうやるんですよ!

っと見せたのが手のひらから出てきた光輝く珠だった。


それを見てドライトは、


『なるほど……

これはユノガンド全体図ですか?これには人や動物などの動きも映されてるんですね?

それに天候なども出るのですね……』


「一目見て解るなんて流石はドライトさんね!

それで例えば奇跡を示したりするのにはですね?こうやって……」


『ああ!この珠がサポートしてくれるのですね!

でも、この珠は原始の神々や龍神が使うことを想定してるんですね?使いにくくないですか?』


「そうなのよ!だから管理する時は今まで亜空間で集中してやってたの、でも家ができるのだから仕事場が欲しくって……」


『ちょっと、システムの権限を私に渡してくれますか?』


「世界の管理システムの?良いけどどうするの?」


『サポートの強化とか使いやすくできないか調べてみます』


「おお!たのむわよ!」




そして建設が終わり、それぞれの部屋の割り振り終わった夜。


「うひょーこの部屋こんな機能までついるわ!」


「よなかにうるしゃいでしゅよ!?もういっぱつくらいたいのでしゅか!?」


「あ!ドライトさん!あれあれ!あれはどうなったの!?」


「……あれってなんでしゅか?」


「ちょ!世界の管理術、管理システムの事よ!」


「ああ!それならちかですしゅよ!」


「地下?」


『ええ、色々な機能も追加したら思いの外大きくなってしまったので、地下に置く事にしました』


「おお!さっそく見に行くわよ!」


こうしてドライトの案内で宮殿と神殿の中間ぐらいの位置に巧妙に隠された階段から地下に入り、制御管制室とかかれた部屋に4人は入ったのだった。


「……4人?」


「キャロもつれてきたんでしゅ……よにん?」


「あの、アンジュラ様がいらっしゃいますが?」


「ドラちゃん……私にも天変地異起こさせて……?」


「うきょおぉぉぉぉ!?」


「び、びっくりしたでしゅよ!?」


「ア、アンジュラ様、天変地異はどうかと……」


「あ、あなたどこから湧いたのよ?」


「けはいがまったくなかったでしゅよ?」


「私も……世界をいじりたい……あと、アンジェで良い……」


「いや、いじりたいって……」


「しょうがないでしゅね?しゅこしだけでしゅよ?」


「あ、あのあまり変な事は……」


とにかくアンジュラも連れて皆で管制室に入ると部屋の中はコロシアムのような造りになっており、中心に100mもある水晶のような透明な球体が浮いていた。


そしてそれを囲むように100以上の手のひらサイズの同じ様な球体が浮いている、さらにモニターとパソコンのような物が置いてある机と椅子がいくつも並んでいた。


『ここがメイン制御管制室ですよ、他にもサブと制御のみ管制のみの部屋がいくつかありますがそちらは予備です』


「ほえぇぇ……凄いわぁ……」


「ドラちゃん……スイッチどこ……?」


「あ、あの動かすならセレナ様とかお呼びしてから……」


「私も居るから大丈夫ですわよ?」


「「「へ?」」」


「サルファ様!」


「キャロちゃんそんなに硬い呼び方しなくても良いって皆言いましたわよね?」


「し、しかし……」


「まぁ、そのうち慣れるでしょう……

アンジェが夜中にコソコソ部屋から出るから何事かと思ったら、こんな部屋造ってたのですね?」


「サルファねぇ!まだいろいろためしてないでしゅ!かあちゃまにはいわないでくだしゃい!」


「そうですよ!セレナさんに知られたら、色々遊べなくされてしまいます!」


「実験……したい……」


「あ、あなた方……」


「皆様あまり変な事はしない方が……」


『と、とにかく起動しましょう!メルクルナさん管理システムを出して中央の水晶球に入れてください!』


「っと、これで良いのかしら?」


メルクルナが管理システムの術法を起動して光り輝く珠を出すと、巨大な水晶球に送り込む。


すると水晶球に珠が入ると同時に部屋の中にある、すべての水晶球と机の上にある機器が動き始めた、中央にある巨大な水晶球は特に輝きが増し、一瞬強く輝くと次の瞬間にはそこに水晶球は消え惑星が浮かんでいた。


『成功ですよ!これで机に座っていればこの世界の管理制御ができます!』


「「「おお!」」」


「ドライトさんこの机に座っていれば何でも出来るのかしら?」


そうサルファが聞いてきたがドライトは首をふり答えた。


『いえ、この席は大した事は出来ません、制御管理と言うより監視のためと言った方が近いですね、それでも多少の事は出来ますが、維持管理をするための大規模な奇跡や天変地異を起こすには、あちらの部屋でおこないます』


そう言ってドライトが指差した方向は、中二階のような場所で多数のモニターと機器が置かれた、豪華な部屋だった。


『誰でも勝手に世界に干渉させる訳にはいかないので、メルクルナさんとメルクルナさんが許可した者だけしかあそこには入れない様にしてあります、もちろん私達は入れますよ!』


「なんか、一番入れちゃいけないのが2人ほどここに居て入れて良いのかが気になるけどまぁ良いわ!早速テストしてみましょう!」


こうして5人で、主神室と書かれた部屋に入るとメルクルナが早速席に座り、色々試している。


誰も居ない場所で地震や嵐を起こしてみたり、見たい物を入力すると手のひらサイズの水晶球が動き出しその知りたい事、見たい物がモニターに映し出される、そしてメルクルナが「あ!」っと声を上げるとモニターに村人のような男達をなぶり殺しにして女性達をレイプしている男達の姿が見えた。


「こ、こいつ等!前からなんとかしようと思ってた盗賊団だ!おにょれ〜!」


「メ、メルクルナ様!彼女達を救いましょう!」


「……皆殺し!」


「賛成ですわね!」


「ま、まつでしゅよ!」


「なによドライトさん!止めるつもり!?」


「さいしょのきどうでしゅから、せいさくしゃのわたしゅがやるけんりがあるでしゅ!」


「いや、私の管理システムなんだから私が!」


「私がやりたい……」


「どなたでも良いですから速く!」


そして下手に神罰を発動して被害者の女性達にまで被害が及ぶのは不味いとドライトがやる事になった。

そしてドライトがポチポチとキーボードに入力すると……


「ちねぇい!」


っと決定ボタンを押した!

すると、手のひらサイズの水晶球の1つが消え、モニターの中の盗賊団や被害者達の中心に現れ、強烈な光を放つ!


そして、モニターの中では瀕死だった男達の傷が癒え、被害者の女性達も汚れが綺麗になり、女性達をレイプし男達をなぶり殺しにしていた盗賊達が餡子になっていた……


「ちょっと待ちなさい!なんで餡子になってるのよ!?普通は塩でしょ!」


「あんこのほうがおいしゅいじゃないでしゅか!しかもこしあんでしゅよ!?」


しかし、サルファがドライトにこう言うと


「ドライトさん……あれ食べるの?」


「せっていをしおにもどしゅましゅ……」


モニターの中では人々が「奇跡だ!」や「メルクルナ様がお助けくれたのだ!」等と抱き合って喜んでいるが、テストも終わったのでドライトは監視を通常モードに戻してスイッチを切ったのだった。




『まぁ、なんにしろこの様に世界に干渉したり奇跡が起こせるのです、システムはメルクルナさんか私が停止しない限り、破壊されなければ自動で魔素から魔力に変換して動き続けます』


「便利だわ〜」


「もっと色々しよう……」


「私もちょっとワクワクしてきましたわ!」


「あ、あの皆様あまりやり過ぎるのはどうかと……」


『天罰や神罰の定番に嵐と雷がありますね、雷を狙った場所に正確に落とす事が出来ますよ!』


「やるやる!」


「私もやりたい……」


「私もやりたいですわ!」


「み、皆様、落ち着いてください!」


こうしてジャンケンに勝利したサルファが落とす事になり、何処にどう言うシチュエーションで落とすか話し合った結果がアフロだったのだ。




そして、


「どこをどーすればアフロにたどり着くんだよ!」


「サ、サルファ……居ないと思ったらあの子まで一緒になって……」


「と、とにかくその管制室に私達を案内なさい!

あとでお父様やお母様に、モリオンお義父様とヌーマお義母様にも見てもらってどうするか決めますから!」


「そ、そんな!便利になったんですよ!世界の管理がしやすくなるんですよ!?」


「アホに真珠だろうが!」


「あんた達だけに任せると何しでかすか分からないから、テレサさんとゾーランさん達にも手伝わせましょう!」


「それにメルクルナさん、原始の神々から干渉のし過ぎは良くないと言われているでしょう?

さあ、管制室に向かいますよ!」


「「「は〜い……」」」


こうして管制室に向かおうとした一行だが、


「あ、あれ?アンジェはどこ行ったのかしら?」


「さっきまでそこに居たけど……ドライトとメルクルナも消えたぞ!?」


「あ、あの、ドライト様達なら管制室の方に飛んで行かれましたが……」


「急いで追うのよ!キャロリンさん案内して!」


セレナ達が管制室に着いた頃にはドライトにアンジュラとメルクルナが100回以上神罰をおこなった後だった、、、


「……むふぅ〜……満足した!」


「これでだいぶ住みやすい世の中になったわ!」


「わたしゅのばんでしゅ!はやくかわってくだしゃい!」


「セ、セレナ様!私は雷を落とした以外してませんから!」


それを呆然として見つめるセレナ達だった……




「わたしゅがつくったのに、ぞくどもをあんこにしただけでしゅよ!」


「ドライト様……それで十分かと……」


「皆お仕置です!」


この夜、新たなメルクルナの神界に4人の神と龍の悲鳴がとどろいたと言う……

お読みいただきありがとうございました。


感想、ブクマいただけると嬉しいです。

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