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転生龍の諸国漫遊記!  作者: バリ君
何も始まらない日々
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初日・学校脱出


俺達9人は、とりあえず校舎の中に逃げ込んだ、そして靴を履き替え(上履きのままだった)て外の様子をうかがっていた。


「まだ校舎の側には来てないようだな?」


「これからどうする?校舎の中に籠るの?」


「いや、桐澤さんそれはやめた方が良いな」


「え?弘志さんは、学校に籠るのは反対なんですか?」


「ああ、学校ってのは地震とかの災害には強いけど、不審者なんかの侵入者には弱いんだよ?」


「そうなの?」


円が首を傾げながら聞くと、百合ちゃんが弘志の後を継ぎ答えてくれる。


「はい、明かり取りのために窓は多いですし、教室の出入口や廊下は人数が通れる様に広く作ってあります。

こういう所は防衛しにくいんですよ!」


弘志と百合ちゃんの言葉に納得した俺達は、周りに居る他の生徒や教師達に自分達は脱出すると言い残して移動を始める。


そして校舎の外に向かう途中で、朝日が周りに向かって話しかける。


「取り敢えず、食料や日曜雑貨なんかを確保しないとだな?」


「そうですね、スーパーやコンビニに寄ってみますか?」


「それと落ち着いたら、ドライトが用意したって言うアイテムのチェックも必要だな?」


「あ、すいません、校舎を出る前に保健室に寄ってもらえますか?

痒み止めが有るはずなんで……」


「あ、そうですね、医療品が必要かもしれないし、寄っていくべきですね!」


「じゃあ、梨花と百合ちゃんと私で薬を確保するから、星司達で地図をチェックしてくれる?」


「ああ、朝日、桐澤さんそ、れぞれで地図をチェックしとこう。

弘志に香織姉は見張りを頼む」


「はい、私は廊下側を見張るので、香織先生は外の方を見てて下さい!」


「分かったわ、一応窓側の出入口は施錠しとくわね?」


俺達9人は素早く役割を決めると、保健室に走り込んだ……9人?


俺達は8人のはずなのに、9人の声がして9人居る気がしたので、保健室の出入口で立ち止まり、他の皆を見て叫んだ!




「なんでお前が居るんだよ!?」




そう、俺達8人の中にいつの間にか……ドライトが入り込んでいたのだ!


「なんか1人多い気がしてたけど、お前かよ?」


「は、早くその痒み止めを塗って下さい!

……ふぅ。痒みが治まりました、助かりましたよ!」


ドライトは薬棚の近くに居た円に薬をぬってもらうと、助かったと言いながらベッドに座る。


「よし、ならさっさとどっかに行け!

こっちゃ忙しいんだ!」


「なんでですか!一緒に逃げましょうよ!」


「お前を連れ歩くって事は、自爆装置のスイッチに指を置いた状態で走り回る様なもんだろが!」


「上手いこと言うわね……ドライト様、そう言う事なんで別行動でお願いします」


「嫌ですよ!知り合いは他にいませんし、一緒に逃げましょうよ!?」


円がそう言ってドライトから離れるが、ドライトは一緒に逃げようと言っている、すると外を見張ってた香織姉がドライトを抱っこして窓の方に連れて行く。


「でもドライト様、迎えが来てますよ?」


そう言って窓の外を指差すと、アンジュラがエンジンを吹かしながら、待っていた。


「……夫……一緒に逃げる」


「いや、私は星司さん達と「……パース!」な!?」


ドライトが喋っている途中でアンジュラがパスを要求したので、香織は窓からドライトをアンジュラに投げ渡す。


「……ターボ……スイッチオン!」


[ブロロロ~!]


「わ、私は星司さん達と~……」


こうしてドライトは、アンジュラと一緒に走り去ったのだった。




「よし!問題は片付いた、香織姉、外の様子は?まだ大丈夫そうか?」


「……ドライトゾンビが他の所から校舎に入り込んだみたい。

もう脱出した方が良いと思うわ」


「朝日はどう思う?」


「早めに逃げ出した方が良いだろうな……それに、メルクルナ様の仲間の……メリルルナ様だっけ?

あの方が気になる事を言ってたからな……」


朝日がそう言うと、桐澤さんが不思議そうに聞いてくる。


「気になる事……?」


「ああ、天使族と竜人族の幹部が参加してるって言ってただろ?」


「ああ……でも、それがどうしたんだ?」


弘志が思い出しながらそう言うと、朝日は嫌そうに言う。


「俺達……学校の面々以外にも他に、ライバルが居るってことだろ?」


「「「あ!」」」


朝日の言葉に全員がハッとして声を出す、朝日の話に俺も嫌なことを思い出しながら言う。


「それ以外にも誰かいる様な事を、言ってたしな……それに……」


「それに……なんですか?」


梨花が俺を促す、俺は嫌々答えて言う。


「映画のゾンビ……なんとか・オブ・ザ・デッド系の映画って、見たこと有るだろ?」


「ああ、有るけど……それがどうかしたのか?」


弘志が不思議そうに聞いてくる、横では朝日が心底嫌そうな顔をしている。


「あれってな?結局はゾンビに殺られるんだけど……原因は大抵は人、人間なんだよ?

自分や友人達以外の人間と敵対したりて、争った隙を突かれて殺られるんだわ……」


「それって……」


円も察したのか、嫌そうな顔をしている。


「天使や竜人に暇な人ってのは、俺達とは面識が無いから……敵対する可能性が高い、つまりお互いに敵役っとことだな……」


俺の言葉に8人全員が、嫌そうな顔をするのだった。




何にしろ保健室にずっと居ても意味が無いので、めぼしい医薬品をリュックに入れ終わると、俺達は保健室から出て校舎の外に出る。


すると、校舎の3階から大きな声をかけられた。


「おーい!桐澤さん!」


「だ、誰よ!ドライトゾンビに見つかっちゃうじゃない!?」


「う!岡田君……!」


3階から声をかけてきたのは岡田だった、円は慌てて周囲を警戒し、桐澤さんは心底嫌な顔をする。


「どこに行くんだ!?早く生徒会室に来るんだ、災害時用の備蓄も有るぞ!?2人だけなら1ヶ月以上は軽く持つ、2人で助かろう!」


「頼子、どうするんだ?」


「善君、無視よ無視、早く校外に出ましょう?」


ちなみにこの2人はお互いに名前で呼びあい、それ以外の人には名字で呼ばせてる。


ケ!見せつけやがって!


……おっと!心の声が!

いや、それよりも朝日か桐澤さんに聞かないだな。


「お、おい、岡田はなに考えてるんだ?2人だけで助かろうって……

あと、災害時用の備蓄って?」


「さぁ?何か変な夢でも見てるんじゃないか?」


「他に校舎に逃げ込んだ人は締め出したのかしら?」


「うわぁ……流石にそれは俺もドン引きだわ!」


「ね、ねぇ弘志くん」


「ん?百合どうした?」


弘志がドン引きしてると、百合ちゃんが真っ青になりながら声をかける。


「町はともかく学校は、何時ものみたく造ってあったよね?」


「ん?ああ、そうだったな?」


地図を確認して分かったのだが、町は俺達が住む町に似ていたのだが、かなり違う部分もあったのだ、だが学校だけは俺達が通っている通りの学校だった。


弘志は百合ちゃんが何を言いたいのか分からずに先を促すと、百合ちゃんは「先週の事なんだけど……」っと切り出した。




「災害時用の物資は生徒会室から移動した!?」


「う、うん、ほら、星司くんと円ちゃん達は手伝ってくれたでしょ?

弘志くんは運動部の会議で来れなくって、朝日くんと桐ちゃんは新学期から入ってくる新入生の説明会に行ってて……」


「あ!あの箱ってそうだったんだ!?」


「あれって3階から、1階の職員室の隣の倉庫に移動しましたよね?」


俺達はその事を思い出していると、香織姉も思い出して話し出す。


「元々ね、生徒会の資料室に置いとくのは変だって意見が多かったから、移動させたのよ?

でも、そこまで現実と同じなのかしら?」


そんな事を話ながら通用口を抜け、裏門から校外に出ると、そこでエルナルナ達が大量のダンボール箱をドライトのデコトラに積み込んでいた。


「よっし!積み込みが終わったわ!」


「じゃあ、さっさと逃げましょう!」


「それでは皆の衆、去らばじゃ!」


エルナルナ達が現れた辺りから行方不明だったユノガンドが表れ、トラックの運転席に座ると、エンジンをかけるてからエルナルナ達を乗せて走り去っていった。


「先週辺りに見た覚えの有るダンボール箱だったな?」


「箱に災害時非常用って書いてあったわね?」


「あれって間違いなく非常用の物資でしょう?」


「って事は……」


朝日が呟き、俺達が校外に脱出した瞬間だった、校舎の3階の方から聞き覚えの有る声の絶叫が聞こえたのは……




「ぶ、物資が無い~!?」




こうして俺達は学校を脱出し、町へと繰り出したのだった。

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