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転生龍の諸国漫遊記!  作者: バリ君
冒険者編
104/174

決着

http://ncode.syosetu.com/n9831dr/

↑に登場人物の設定などがあります。


キャロリンとナタリーがマルキダエルを撲殺する少し前、アッシャー達は焦っていた。


キャロリン達はなんとか互角の戦いをしているようだが、こちらは次々と仲間が打ち倒されていっているからだ。


「アニキ、こりゃジリ貧ですぜ、どうしやすか?」


「……しょうがねぇ、アーベル!パトリック!嬢ちゃん達と合流しよう!」


「アッシャー、どう言うことだ?」


「アッシャーのアニキ、敵を分散させるんじゃなかったんじゃ?」


「ああ……だがこりゃまずい、あの女天使、アスモデルって言ったか?

ありゃ指揮能力が高すぎる、こっちが全滅しちまう。

その前に嬢ちゃん達と合流して……壁になろうと思ってな?」


鉄腕と宿星の絆のリーダーはアッシャーの言葉を聞いて驚くが、次の瞬間には目を細めて言い放つ。


「そうだな、嬢ちゃんの壁になって時間を稼いだ方が良いかもな」


「ああ、こっちが全滅する前に天使達を何体か倒さないと、嬢ちゃん達もきつくなるしな」


「そうと決まれば早く合流しよう、おめえら!嬢ちゃん達と合流するぞ!」


アーベルがそう叫んだ瞬間だった。


[ドゴオォォーン!]


「おう!……ん?ギャアァァ!?」


「な!?うわあぁぁ!」


「ち、ちくしょう!アーベルのアニキ達だけでも行ってくれ!」


アスモデルが攻撃に参加して、鉄腕のPTメンバーを吹き飛ばしたのだ!


「な!?あ、あの天使は指揮だけじゃなかったのか!?」


「これでも序列2位なので、それなりに戦えますよ?」


パトリックの声が聞こえたのか、アスモデルが答える。


「ちくしょう!ありゃ天使達のリーダーに匹敵するぞ!」


「これを狙ってたのか!

鉄腕は最高戦力だ、油断させて一網打尽にするつもりだったのか!」


セリオとパトリックは悲鳴の様に叫ぶ、それを聞きながらアーベルはアッシャーに問いかけた。


「アッシャー、どうする?

鉄腕で残ってるのは俺を抜かしたら2、3人だ、宿星を足しても支えきれんぞ?」


アーベルの問いかけにアッシャーは少し考えてから叫んだ。


「全員散開!時間を稼ぐぞ!」


その言葉に全員が散開する、天使達は慌てるがアスモデルが冷静に命じた。


「2人一組で追撃、特に先ほど固まっていた3人は逃がさないように!」


「「「はい!」」」


冒険者達は時間稼ぎのために散り散りになり、アスモデル達も追撃のために3組に別れるのだった。




「アスモデル、あらかた討ち取ったわ」


「残ってるのは4、5人だけだな」


アスモデルの元にバルビエルとアドナキエルがやって来て、冒険者達は壊滅状態だと伝える。


「その残ってる4、5人が問題よ、全員が覚悟を決めてるし、かなりの使い手が残ってるわ。

全員倒してから、マルキダエル達と合流して「ギャアァァ!?」……はぁ!?」


「マ、マルキダエル、やられちゃったわね……」


「ひ、卑怯すぎる……ドライト様の祝福を受けてる影響か?」


バルビエルとアドナキエルは愕然としていたが、アスモデルはため息をつきながら天使達に命じる。


「はぁ……あのバカ、あんな手に引っ掛かって……何にしろキャロリン様方に勢いをつけさせる訳にはいきませんね。

残りの冒険者が気になりますが……アムブリエル達と合流しましょう」


「「はい!」」


こうしてアスモデルは、アムブリエル達と連携してキャロリン達を包囲し、完全に逃げ場を断ってからアムブリエルとバキエルを従えてキャロリンの前に現れて言うのだった。


「キャロリン様、アホとは言え天使族の長であるマルキダエルをよく倒しましたね……でも、これで決着です!」


天使族のNo.2に凄まれて、流石のキャロリンとナタリーもジリジリと下がる、だが自分達の後ろに何者かの気配を感じてアスモデルの方を気にしながら確認すると、セイネやリティア達も他の天使達の圧力でジリジリと下がってきていた。


「セイネ様、そっちもビンチですか?」


「ナタリーちゃんもヤバめ?

こりゃ撤退を視野にいれるしかないかな?」


「アホセイネ、逃げるってどこに逃げるのよ?」


「アレナム、あっちあっち、入り口見てみなって!」


セイネに言われてアレナムとナタリーは自分達が入ってきたドアを見る、本来閉まっているはずのボス部屋の出入り口が開いていた。


普通はボス部屋に誰かが入ればドアは閉まり、ボスを倒すか入った者が全滅するまで開かないのだがドアは全開で自由通行可になっている。


「な、なんで……」


「セイネさんかリティアさんが開けたのですか?」


レイナがシーフのセイネか、魔法や魔術でリティアが開けたのかと思い聞くと、セイネが答える。


「ううん?最初から開いてた、ってか閉まらなかったんだわ」


「はぁ!?な、なんでって、あの方か……」


そう言ってアレナムがお茶会をしている面子に視線を向けると、メルクルナが必死に手振りで何かを伝えようとしている。




「あれって、何してるんだろ?」


「出入り口に行け。かな?」


「逃げろってこと?」


「そうですわね、でも、逃げたら試練はどうなるのかしら?」


リティアがそう言うと、エルナルナが声をかけてきた。


「メルクルナは逃がして何とかしたいみたいだけど、部屋から出たら試練は失格とみなすわ」


「な、何言ってるのよ!

戦いに戦略的撤退は付き物よ!1度撤退して、他の冒険者の援軍を呼ぶのもOKなはずよ!

具体的に言うと冒険者のドライトさんを呼んでくるとか!」


「ダメに決まってるでしょう!?」


メルクルナがドライトを呼べと言う恐ろしい事を言ったので、天使達はドン引きしたが、エルナルナがそれはダメだと言ったので安心して追撃に移ろうとした時だった。


「きゃあ!?」


「悪いっすね?ちょっと我慢してもらいますぜ?」


アスモデルの側に居たバキエルにセリオが抱きついたのだ!


「……お前、何をしている?」


「……良い度胸じゃないの?ぶち殺してあげるわ?」


セリオのセクハラ行為に、アスモデルとムリエルが凍りつくような目で見ていたが、セリオはそれを見て叫んだ。


「アニキ!チャンスですぜ!ゲフ!?」


抱き付いていたセリオの力が緩んだので、天使達の中でも1番力の弱いバキエルもセリオを振りほどき、杖で殴り飛ばす事が出来た。


だが―――


「……捕まえたぜ?」


「……悪いな、一緒に死んでくれ」


「……死んでも放さねぇぞ!?」


アスモデルにアッシャー、パトリック、アーベルが抱きついたのだ!


「あ、あなた達、良い度胸ですね?

こんな時に女性にセクハラするなんて?」


アスモデルは自分に抱きついている―――否、拘束している3人の男を威圧する、だが3人の男達、パトリック、アーベル、アッシャーは笑いながら言った。




「……今の状況を作ったのはあんただろ?」


「てえしたもんだ、呼ばれて一瞬で状況を判断して、俺達を追い込んだんだからな?」


「で、俺達は思ったわけだ、指揮官のあんたを倒せばなんとかなるってな?

嬢ちゃん達!俺達が死んでも構わねぇ!この天使を倒すんだ!

全力で攻撃しろ!

……攻撃を手を抜いたら、恨むぜ?」


パトリック、アーベル、アッシャーの順で叫ばれた声に、キャロリン達だけでなく天使達、エルナルナ達やシリカ達も驚愕する。


「あなた方!……!?だ、誰かカバーを!」


アスモデルがアッシャー達の覚悟を聞くと共に慌ててカバーするように頼んだが、次の瞬間にはアッシャー達3人とアスモデルは爆煙に包まれた、キャロリン達が攻撃したのだ、泣きながら……


「……撤退は無しで!」


「絶対に勝ちますわ!」


「覚悟は決めた、後は全力で戦うのみ!」


「勝って全員を助けます!」


「キャロちゃん、このあとはどうする?」


「アスモデルさんは倒したし、あとは個別に撃破……え!?」


キャロリン達が決意の表情でいると、煙が晴れて倒れているアッシャー達が見えたが、そしてそこに立っていた2人の人物を見て驚き戸惑う!


「あんた、死んだんじゃなかったの?」


「お、お前な、助けられていてそれはないだろ!?

何にしろキャロリン様……やってくれましたな?」


「マルキダエルさん、殺したはずなのに!?」


「……倒れたのは死んだフリです。

何にしろ、さぁ!決着をつけましょう!」


マルキダエルの言葉にキャロリン太刀だけでなく、天使達や神々に龍達も白い目で見ていたが、マルキダエルの掛け声で天使達はキャロリン達を一斉に攻撃し始める。




「きゃあ!」


「ナタリー下がって!回復させるわ!」


「アレナム様、今下がったら支えきれなくなります!」


「あんたが倒れたらそれこそ壊滅、危な!?」


「アレナム前に出ちゃダメだって!わわわ!?」


「くぅ!反撃すらできないなんて!」


「敵の数が多すぎる、せめて対等だったら……」


「キャロちゃん!今はそんなこと言ってられないでしょ!」


キャロリン達は追い詰められていた、天使達はアスモデルの指揮の元で2人一組になりキャロリン達に攻撃をしかけているのだが、アスモデルの的確な指揮とマルキダエルとアムブリエルのコンビによる強力な攻撃の前に、反撃すら出来ずに逃げ回っていたのだ。


「……今だ!チェレスタさん!」


突然にキャロリンが叫ぶ、その叫びに天使達だけでなくセイネ達も驚く。


そしてキャロリンが叫んだ方、出入り口を見るとセリオの妻のチェレスタが柱の影から走り出した。


「チェレスタさん!私達は耐えます、逃げてドライト様を呼んでください!」


「はい!」


チェレスタは全力疾走する、出口に向かって!


だが、突然横に何者かが現れてチェレスタを吹き飛ばした!


「ああ……セリオ、皆、ごめんなさい……」


「なにかを狙ってると思いましたが、失格を狙ってたのですか……

ドライト様の祝福を持つ者として情けないと思いませんか?」


そこにはアスモデルが居た、戦闘に参加せずに警戒していたようだ。


「……全員、出口に向かって突貫!

撤退する!」


「な!?」


キャロリンはアスモデルの言葉を無視して撤退!っと叫び出口に全力疾走し始める、セイネ達もその言葉に走り出した。


「キャロリン様!外に出れば失格ですよ!?」


キャロリンはアスモデルの言葉に一瞬怯むが、メルクルナに向かって叫んだ。


「メルクルナ様!失格は出た者だけですか?全員ですか!?」


キャロリンの言葉に全員がキョトンとするが、メルクルナいち早く気がつき答えた。


「その者だけです!その者だけですよ!」


「ちょっと!メルクルナ!」


「誰か1人だけでも外に出て!

その後は集合して耐えます!急いで!」


「「「はい(おう)!」」」


メルクルナは素早く答えると、エルナルナは文句を言おうとするが、キャロリンは素早く指示を出す。


そして今まで倒れていたアッシャー達も起き上がるとキャロリン達とは別に出入り口に向かう。


「ドライト様は冒険者として登録してます!

なら私達の仲間です、試練の対象になるはずです!

誰か1人だけでも外に出て呼んで来て!」


キャロリンの言葉に天使達は真っ青だ、しかし出入り口に真っ先に着いた者の姿に冒険者達やキャロリン達は舌打ちをした。


「ここは通さん!」


出入り口な立ち塞がったのは天使族最強のマルキダエルだった!




「くっそ!強すぎるだろ!」


「チェレスタや他の仲間を回復してやれ!

数で押すんだ!」


キャロリン達に隠れていた冒険者達は出入り口に殺到してなんとか外に出ようとする、それに対してマルキダエルも叫ぶ。


「1人も通すな、殲滅しろ!

アスモデル、アムブリエル!出入り口を固めろ!1人も通すな!」


「悔しいですが、マルキダエルの指示が正しいです。

私達で出入り口を守ります、他は確実に敵を倒してなさい!」


マルキダエルの指示に一瞬戸惑う天使達だったが、アスモデルが同じ指示を出すと素直にしたがった。


マルキダエルは泣いていたが、それどころじゃないとアスモデルに殴られて出入り口を塞ぐように立つ、そしてこの攻防は3時間ほど続き、キャロリン達の方が限界を迎えそうになった。


「出入り口を塞いでるマルキダエルさんとアスモデルさんが問題だな」


「流石は天使達のナンバー1とナンバー2だわ」


「そんなことを言ってる場合じゃありませんわ、なんとか突破しないと、私達も疲れてきましたし」


「私が強行突破してみますか?」


「ナタリーちゃんでも無理だと思うよ?

でも他の皆も限界っぽいし、私達もポーション類がつきかけてるし……どうしよう?」


「キャロリンさん、リーダーなんですから、どうしよう?はやめてくださいよ……」


「そうそう、なにか手を考え……あれ?セイネはどこ行った?」


アレナムが相方のセイネが居ない事に気がつき、キョロキョロし始める、すると出入り口のすぐ側の柱の影から、マルキダエルとアスモデルの隙をうかがうセイネが居た。


「あ、あいつあんな所に!

こっち来いって!」


「アレナムちゃんダメ!

あ!?気づかれた!」


アレナムがセイネを見つけて呼ぶと、アスモデルもセイネが隠れているのに気がついた、だがセイネは柱の影から飛び出して出入り口に向かって全力疾走する!


「おおお!走り抜けてみせる!」


「マルキダエル!セイネ様が抜けます、防いで!」


「おお!」


アスモデルがマルキダエルに指示を出すと、マルキダエルはセイネに向かう。


「セイネちゃんを全力で支援して!」


「「「了解!」」」


「ヤバい!アムブリエル、ムリエル!ここを守るのよ!」


「おう!」「分かったわ!」


出入り口の攻防は激しさを増し一進一退となっている、すると出口に向かって全力疾走するセイネが、マルキダエルとアスモデルの背後を指差して叫んだ!




「あ!ロッテンドライヤー女史!助けて下さい!」


セイネの叫びにマルキダエルは呆れながら言った。


「……セイネ様、同じ手が何度も……アスモデル、なんでしゃがんで[ドコ!]ギャアァァ!?」


アホなマルキダエルは気づかなかったが、自分にも厳しく、常に修練を怠らないアスモデルは自分達の後ろに誰か居るのに気がつき、その違和感からしゃがみこんだ。


そこにスレスレで分銅付きの鎖が通りすぎ、マルキダエルの頭にヒットしたのだ!


「ロ、ロッテンドライヤー女史!」


後ろに振り向き、本当にロッテンドライヤーが居るのを見たアスモデルは驚き引いてる、なぜかと言うと。


「たいへんざあます!キャロ様方が……鳥人間に襲われてるざあます!」


ロッテンドライヤーは手に鎖鎌を持ち、鎖を頭の上でブンブン振り回していたからだ。


「鳥人間共を殲滅します!」


「私達の強さを思い知らせるのです!」


「このこのこの!何時も何時もお菓子をくすねやがって!」


「許さないよ~!」


続いてステラとルチルが人間形態で部屋の中に入ってくる、その手にはいつぞやの青竜刀が握られており、それをブンブン振り回しながら天使達に突進する。


そして何時の間にか部屋に入り込んでいたハマリエルとフルは、「お菓子を返せ!」っと言いながらマルキダエルを棍棒でボコボコと殴っていた。


「な、な、な、何が!?」


「キィーキィー!」


「クケェー!」


「わあああ!」


「た、助けて!」


「……へ?」


虫と鳥の鳴き声にそちらを見ると、デーモンスパイダーのもんちゃんとヤンバルクイナのヤンバルが、アムブリエルとムリエルを追いかけ回していた。


そしてアスモデルの目の前には―――


「淑女に必要な3つのスキル、その1番重要なスキルである鎖鎌、その使い手のロッテンドライヤーの鎖鎌を受けるざあます!」


ロッテンドライヤーが鎖鎌をブンブン振り回しながら迫ってきた。


「いや、淑女に鎖鎌は要りませんよね!?」


アスモデルはそう叫んで一目散に逃げ出した!




こうして5分ほどで追い詰められた、アスモデル達は降伏した。


「「勝ちました!」」


「「お菓子の恨みを晴らせました!」」


「淑女に鎖鎌は必要ざますよね?」


ロッテンドライヤーにステラとルチル達が勝利したのだった!

お読みいただきありがとうございました。


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