フォークにまつわる話
新発見とはその100年前から知られていることである。
先駆者の前には100人の迫害された者がいる。
今日、先輩からフォークについての話を聞きました。
この塔ではフォークという食器が普及しています。
屋敷では子供が使うものとして大人が使われることはあまりありません。
しかしここでは指を汚すと本が汚れてしまうため、手を拭く手間を惜しむためにフォークが良く使われているそうです。
実際に使ってみると指が脂だらけにならず、それに焼きたての料理を熱々のまま食べられるのは冬場には嬉しいです。
導入当時は反対する声も多かったそうですが、本のためだと分かるとそんな声はすぐに聞こえなくなったそうです。
本が好きな方々だとはわかってはいましたが、そんな話を聞いて流石に馬鹿じゃないかと突っ込まずにはいられませんでした。
以前は各部屋に手の込んだ料理を運んでいたらしく、今みたいに軽食ではないため調理も運搬も大変だったそうです。
屋敷で出されるようなたくさんの料理を住人の好みに合わせて仕立て、朝昼晩と全ての部屋へと運びこんでいました。
もちろん居住の際にはそのような食事を提供しても問題ないだけの寄進が求められていたそうですから当然です。
しかし本が汚損される名目でまずはソースが、それから肉も肉汁や血や脂が一切出なくなるまで火を通さなければならず、ジャムやワインのように色の付いた液物も禁止されていきました。
そうこうして今の献立になったそうです。
それでも食堂にくれば食べられるのだから、私たちは楽をしていないというのが先輩たちの言葉でした。