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募集要項

普通であること以上に信頼できる評価はない。

しかし、何を基準にした普通かは不明のままである。

これであなたも管理人に!


大図書館塔の管理人になればあなたも一流の魔術師に!

今なら4大特典がついてきます。


1.圧倒的な蔵書量

 色々と噂がありますが、あなたが死ぬまでに読み切れないだけの本があることを約束します。

 その種類も資料のようなものから英雄譚、詩歌、料理書、個人の日記から手紙まで幅広くそろえております。

 しかも同じ本を1つとっても原典から写本、印刷されたものまで可能な限り蒐集しているため、その変遷を負うことができます。

 今なら物を書くための紙とインクは無制限に支給いたします。


2.約束されている食事

毎朝毎晩、あなたの部屋の前まで食事が運ばれてきます。食事の内容は選べませんが、ほかに食べたいものがあれば食堂まで下りていけばさまざまな食事が用意されます。

 飲み物もワインからエール、水と取り揃えており、必要とあればハチミツや果実酒などもございます。


3.莫大な魔力

 管理人は大図書館塔を中心とした周囲を領地支配している扱いになります。そのため、その中で発生する魔力の徴収権を与えられます。

 大図書館塔内部であればその最終段階まで、外部であっても侵入者を確実に察知するだけの領地支配が行われています。

 その権利を行使すれば人間の構造限界を超えた魔力を自在に扱えるようになります。


4.身の回り

 使用した衣服は部屋と廊下を繋ぐ小部屋においていただければ清潔に洗濯いたします。。

 また、ベッドのシーツや枕などはご要望がない限り、四半期に1度、交換させていただきます。


業務内容

 たくさんの人がいる環境の家政を取り仕切るのを大変だと思っていませんか?

 ご安心ください。

 多くの使用人が十分な経験を積み、その面倒な業務の大半を引き受けてくれます。必要であればサポートもしてくれます。


 あなたに求められる仕事はたった1つ。

 来客対応です!


 大図書館塔には様々な来客がやってきます。

 時には軍を率いて攻めてくることもありますし、搦め手を用いてくることもあります。

 そういった方々に真摯に、かつ丁寧に対応をし、互いに禍根を残さないようにしてください。

 力で脅してくるような相手には、大図書館塔から供給される魔力を用いれば滅多なことでは苦労させられることはないでしょう。

 さらに大図書館塔自体もドラゴンを相手にしても壊れることがない堅牢さがあり、普段から食料に気をまわしていれば読書に専念できる環境となっております。


 それに各々が十分な教養よ経験、そして多くの本を読んできた多彩な住人がいるため、困ったときには相談してみるのもいいかもしれません。


「ふむ、どうだろうか」

「また妙なもの書きましたね」


 渡された羊皮紙にはだいたいそんなことが書かれてます。

 本人的にはまだここを離れるつもりはないみたいですが、聞けばいつかそのような事態になってもいいように、と進めている準備の一端みたいでした。


 どこまで本気で言っているか私には分かりませんが、ハウスキーパーとしては聞かれたことに対して真面目に対応しなければなりません。


「外敵を来客と表現したら、神前裁判にひっかかりませんかね」


と尋ねれば


「600年ほど前の本でそう表現してるから大丈夫だろう」


「あの干し肉やパンが出てきたら怒られませんか?」


と聞けば


「あれより粗末な食事はあるからな、問題ない」




……いや、変える気ないでしょ?

そう言いたいのを抑えながら、気になった部分を指摘しては言い返される時間をしばらく過ごし、あの人は満足したようでしたので私は部屋をあとにしました。



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