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来客

物語が綺麗なのは、どこかに事実を隠してきたから。

 食堂にいくて何やら見慣れない方がいました。

 私は住人の全てを把握しているわけではありませんが、それでも何人か会ったことはありますし、特徴的な方については噂という形で聞いてます。


 それが女性となれば話題になっていないはずがありませんし、その容姿からは私たち使用人とは違う階級の方ともわかります。


 私の他にも気になっている子がいるみたいですが近づくのをためらっているようで、彼女のまわりの席は昼時というのにポッカリと空いてました。


 私もそうしようかと思いましたが、遠目に見てもその滑らかさが分かる長くおろされた金髪、それからちょっと変わった格好に心当たりがないわけではありませんでした。


 自分の分の食事をもらいにいき、彼女の正面の席に座ります。


「あなた、バカですか?」


 座っただけでそんなことを言われたのは初めてでした。

 私はそれに気にせず、パンにスープを染み込ませます。

 綿のように柔らかいパンも好きですが、やはりバリバリと食べれるパンの方がスープにはよく合います。


「もしかしてわたしたちを誰だか知らないの?」


 豆もいい感じに柔らかいですね。

 お、瓜も入ってます。


「もしかして耳が聞こえないのですか?」


 海老かー、虫みたいであまり好きじゃないんですよね。

 美味しいのはわかりますが感覚的に受けつけないといいますか。


「あんたの好き嫌いなんてどうでもいいの、こっちを見なさい!」


 少女は私の態度にたまりかねたのか、机をバンと叩きました。

 急なこっだったため食堂はシンと静まり返ります。

 そしてみんなの視線が集まるのが分かりましたが気にしません。

 そん中で私と彼女の食べる音だけは続きました。


「よ、よーし、おかわりしちゃおうかな」


 とわざとらしく立ち上がったのは私の可愛い後輩ちゃん。

 私のダメなところばかり真似てホント可愛いです。


 後輩ちゃんが席をたちあがると、食堂は再び賑やかになります。

 あそこはイスを倒して笑いを誘えば合格ですが、まぁ及第点です。


「あんた、いったい何考えてるの?」

 そろそろ相手しないとまずいかなー、とか考えていたら、


「ごちそうさまでした」


 と、空気を読まない方がもう1人。

 彼女の食べるのが遅いせいか、それとも私が早いせいか、後からやってきた私も同じくらいに食べ終わってしまいました。

 おかわりしようかな、でも同じネタはおもしろくないですよねー。

 ハリス先生ならどうするかな、ゲームをしそうには見えないんですよねー。

 どっちも


「食器片づけておきますね~」


 ここは一回空気を改めよう。

 そう思って、彼女の食器を重ねようと手を伸ばします。

 てっきり手を弾かれるかと思ってましたが妨害はなく、それを洗い場へと持っていきました。


 みんながアレコレと聞いて来ますが私はろくに会話してないので答えられません。

 ですが黒髪で活動的な少女を連れた、眼を包帯で覆い隠した金髪美女には心当たりがあります。


 コックには誰なのか?と聞かれたので

「たぶん管理人のお知り合いですねー」

 とこたえておき、ついでに無理をいって住人向けのお菓子を3人分出してもらいます。

 蜂蜜漬けのナッツをふんだんに混ぜた焼き菓子。

 それから蜂蜜と水で割ったリンゴのジュースを1杯。

 それから私の分のエールと彼女の分のワインを持って、席へと戻ります。


 2人はまだ席にいましたが、しかし私の席は既に埋まっていました。


「やぁ嬢ちゃん、エールは私の分かね?」

「まぁそんな感じですね。先生のお客様でしたか」

「違います」


 ですよねー。

 というか、ハリス先生とあの人って相性最悪じゃないですかね?

 黒髪の少女もそれを感じているのかかなり不機嫌そうです。


 このままそばで眺めていたいところですが管理人さんの姿が見えたので、焼き菓子を1枚だけもらってさっさと退散します。

 経験上、この後はどこかの部屋で会談することはわかってます。

 あくまでも待ち合わせの時間潰しでここにいただけです。


 しかしあの神様が会いに来るって、いったい何をしたんでしょう?


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