キャラ紹介:ローパー
その本が禁書指定された理由は虚偽を記載していたからでも、真実を記載していたからでもない。
ローパーについて
容姿
その見た目は樽に良くにており、歯や骨にあたる部位は存在せず、上部に口に当たる部位を保有している。
固着
身体はキノコの石突きのように地面や木材、生物の皮膚などに固着するが、根をのばす場合と特殊な消化液で一度溶かして固着する場合にわかれる。
前者の場合は表面に生えたローパーを処理しても残された根部から再びローパーが再生することがある。
触手
鞭のような触手を多数保有しているが、2種類の触手に分けられる。
その中身が液体で構成されている水触手と呼ばれるものと、肉によって構成されている肉触手と定義する。
水触手の特徴は注視していなければ見落としてしまうほどに細く、その役割は水分の吸収である。
肉触手の特徴はタコを彷彿とさせる肉質で、茹でると美味しい。その触手内に流れる体液は痛覚を麻痺させる成分を濃く含んでいるため、加工すると痛み止めとなる。肉触手を動かすことで花や微生物とらえ、口内へといれるために使う。
繁殖力
環境の条件が揃えば肉触手から再生することや、ごくまれに卵を産む個体も存在するが、基本的には分裂増殖である。
ある程度成長した個体は縦に筋が発生し、その筋にそって裂けて行く。
それから裂けた1つ1つがローパーへとなる。
だからと言って外的要因で裂かれた場合はそのまま死に至ることもある繊細な生き物である。
食性
その多くは濾過摂食により土や植物や微生物から各種栄養素を吸収するが、適応した環境によっては肉食になる個体もある。
指などを入れると皮膚の老廃物をとろうとして蠕動するため、吸い付くような感覚がする。
特性
塩をかけると水分が失われるため弱らせることができ、多量の塩分を吸収させることができれば死に至らしめることもできる。
またなんでも口に入れようとするが、触手で多少の判別が行われている。
人間以外の動物はローパーを食料と見なしており、森の食物連鎖において重要な位置を担っている。
生息場所
その多くは森に住んでおり、キノコのように朽ちた木材に生えることもあれば、石や地面、動物の死骸など様々なところに発生する。もちろん生木に生えていることもある。
海中でも目撃されたという報告があるが、その多くはイソギンチャクと呼ばれる似て非なる海洋生物である。残りもローパーではない魔物である。
体長
小指よりも小さいものから2階立ての屋根ほどまで肥大化する個体も目撃されているが、それほどまで肥大化すると潰れた漏斗のような形になるため別種の魔物と認識されるケースがある。
利用方法
肉触手を含む肉体を乾燥させた物はその体液の成分が多く含まれているため、強力な無痛薬になる。
一般的にはドラゴンの爪と呼ばれるものがこれに属する物である。
ローパーの体表を覆う粘液を水地にいれると不純物を多量に吸着して糊状に固まる。それをザルや布などで漉しとることで水質の浄化を行うことができる。
しかしその漉しとる作業を怠ると一層、水の腐敗が始まるため忘れてはならない。また、漉しとったザルや布には多くの毒物が含まれているため、乾燥の後に焼却しなければならない。
この性質を利用し、ドラゴンの涙や唾液などとして脂の精錬に用いたりする。
一般的に食べないとされてはいるが、実際には食している地域は多い。食べ方は多岐に渡り、塩漬けや酢漬け、丸焼きに薫製、日干し、と生食を除くあらゆる調理法が秘伝として各村々に伝わっている。
しかしそれを知られ異端者だとされることをおそれ、食べないと主張していると考えられている。
そういった実情をよく知らない都市部で噂が変化し、ローパーは不可食・有毒であるとされてきた歴史がある。
補足
なお、かの『珍食大全』の冒頭では「虫・ローパー・魔物は一般的な食材であるため、他の著者に任せる」として魔物には分類してはおらず、同著者によれば「ローパーの刺身は貝と植物とタコをあわせたような歯ごたえがし飲み込んでもなお胃の中で動く感触が味わえ、ほのかな甘味がする。しかし火を通すと甘味は消えてしまう。」としている。
それを試した人がいるという事実を認めたくなかったからだ。