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来客

隠された物を見つけることはたやすいが、

無くした物を見つけることは難しい。

 今日は面倒な使いがやってきた。

 どうにも話によれば、「ここにあるはずの魔剣を取り返したい、それは何代か前の戦鬼から拝領されたもので、それを不当に盗まれた物だから所有権はこちらにある!」とのことだったが、収蔵庫の整理を手伝っている私にはちょっと心当たりがなかったので、本当はあのダメ人間が応対するべきでしょうが、会話が前進しないためマスターにご足労願うことになった。

 私も改めて、マスターとハウスキーパーと3人で話を聞きいたけど、『夕焼けのように赤く大人が腕を広げた長さの剣』なんて見たことがない。


 使いが言うには、「100年ほど前にここに来た方が盗み出して物納した」ということ。

 一応は剣ではなく槍とか斧とかそういった記憶違いも考えてはみたけど、そもそも魔道具とか国宝とか面倒ごとになりそうなものは記録が取れ次第さっさと手放してしまう方針だから、手元にない可能性がたかい。

 勿論、本だと認識されるものについては極々例外的なケースを除いて決して外に出したりはしない。


 物納された物は必ず記録をつけているし、40年ぐらい前から本格的な収蔵品の記録と調査を始めてる。

 なんせここにはお誂え向きにその道の好事家が山ほどいるから、あいつらによる調査と詳細なイラストを伴った目録はそれだけで何十冊にも及びぶ。


 それでも進捗状況は全体の2割といったところかな?

 ただ細かい宝飾品も多いから、実際には8割方かもしれないし、実は1割に満たないのかもしれない。


 そんな風に作られている目録を私は暇な時に眺めているけど、記憶力だけならちょっとした自信がある私には「赤く赤熱する刃物」は記録されていないと確信できる。

 それにはマスターも頷いていた。もちろんそんな言い分で向こうが引き下がれるはずもなく、戦争を匂わす脅迫をされた。

 『戦争』、マスターや私はそれを臨時収入なんて呼んでるけど、回収した物を整備・管理するのは私だから、できれば跡形もなく焼き払っていただけると楽だけど、残念ながら相手は貴族様っぽいですからそうはいかないんだろうなぁ。


 私は「一応探してはみますが時間はかかる」ということを告げて、それ以上は興味がなかったので玄関をあとにた。

 他の子たちも同じだけど、私には私にしかできない仕事が山のようにある。

 未だ完成を見ぬ目録作りの手伝い、今この時点で私が見ていないだけで、実は庫の中からひょっこりと出てくるかも知れない。


っというかそもそもそんなに大切なものを簡単に盗まれる方が悪いと思ったらだめかな?

それを返せとか虫が良すぎない?


「見つかったら知らぬ存ぜぬでしらを切って砂漠に横流しして高値で吹っかけられてしまえばいいんです」

と提案したらマスターに怒られた。

「それをするといろいろと面倒だから、もし出てきたらむこうに売る」

とのこと。


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