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雨期の悩み(後)

戦争と噴火と大雪と竜巻がまとめてきても、朝と夜はやってくる。

 ローパーの生体はよく分かっていません。

 卵や種で増えるという話もありますし、あの触手が成長して新たなローパーになるともいいますし、人間みたいに子供を産んだ場面を見て気がふれてしまった狩人がいる、なんて話もあります。


 分かっているのは何でも口に入れたがる習性と、気がつくと大量に発生している増殖力、そして名前を呼ぶことさえもはばかれる奇妙で不気味で嫌悪感を刺激するその見た目。


 一応乾燥と火には弱いことは分かってはいますが、砂漠に放置したローパーが雨で生き返ったという目撃があるため、炭になるまで焼いてもいつかは生き返るのではと思わずにはいられません。

 それでも火が有効的なのは確かなため、焼却処分が最も簡単な手段です。

 今回の発生場所は内階段だっため、まずは風除室の鍵を両方とも閉めて、通路には誰もいないことを確認します。

 それから内階段を余すところなく火の海にするみたいですが、閉められたら扉の向こうがどうなっているかはわかりません。

 ですが、次に扉を開けた時に大量の炭と灰、そして溶けた金属の跡がそこで起きたことを教えてくれます。

 内階段そのものは焦げ跡一ついていないのは何時みても不思議な光景です。


 それから外階段も同様に閉められて、たくさんの炭を量産します。


 さて、通路が冷めるまでに私たちは食堂や洗濯場、倉庫に解体室、そして食料庫へ確認にいきます。

 鍋には油とお湯をガンガン沸かし、可能ならば油の中へ、それが無理なら熱湯の中へと放り込みます。

 樽を開ける時は決して暗いところでは開けず、明るい部屋で蓋を割ります。

 もしもローパーが居たならば既に成長しているはずですので、あの触手がゆらゆらと出てくることでしょう。

 そうしたら焼いておいた石を樽へと放りこみます。

 仮にその時点で姿を確認できなくても、念には念をいれて丸二日は様子見です。

 壁や天井に貼り付いている場合には煙で燻したり、お酢や塩や灰をかけて弱らせて床に落とし、焼いた石や煉瓦、沸騰した油で動かなくなるまで熱します。

 最後は使用済みの砂と一緒に麻袋につめて、さらに樽にいれ、魔王さんへと引き渡すまで専用の鍵付きの箱に入れて保管します。


 それと食材は全て煮込みます。

 この時まで野菜は生が良いなんていう人がいるとすれば、そんな人はローパーに抱かれて死ねばいいと思います。


 こうして全てが片づくと、次は上層の後片付けが待っています。

 内外階段に散らばる炭や灰を掃き集め、溶けた金属があればヘラで削り取り、風除室の鍵を開きます。

 そしてなにごともなかったかのように、いつも通りの仕事へと戻ります。


 仮に襲われても死にいたることはあまりないとのことですが、あのヌルヌルとした触手に絡まれるならば死ぬ方がマシでしょう。


追記:ハリスさんいわく、焼くと美味しいそうです。

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