「マホロバ」が書きにくい件
まず初めにいっておくと、今日はオチのないお話をする。
『エッセイ』――散文であるからして、自由に書く。だから、こんな日もあるのだと、思ってほしい。
今私は、「マホロバ堂書店でございます」という題の、連載小説を書いている。大学受験を終えたごく普通の青年――夏目慧の、仕事先である書店でのなにげない、ごく普通の日々を書いた作品だ。
しかしこれが……はじめてからずっと、書きにくさを感じている。なんでか『地の文』が、シックリこないのだ。我ながら、魅力が薄いというか……。
考えてみた。なんでか。――それは主人公、夏目くんが普通の青年だからだ!
この小説は、夏目くんによる一人称小説である。よって、情景描写などはすべて夏目くん任せ。
彼はごく普通の十八歳の青年であるから、突然凝った情景描写、比喩表現などを使い始めたら、違和感がある。年相応の『地の文』でなければならないのだ。夏目くんの持つ語彙力以上の文章は、書いてはならない。……これは、なんたる縛りプレイ!
始める時、三人称にしようか一人称にしようか、迷ったのだ。だが、書き始めると、自然と一人称になってしまって、それで始めてしまったのだから、仕方が無い。(一人称の方が、感情移入しやすいだろうと思った。また、正直な話、夏目くんは書店でのバイトを始めた頃の私の投影が強い為、一人称になった)
せっかく生み出した世界と登場人物たち。なんとしてでも完結させなければならない(と、自分を奮い立たせる)。
夏目くんの良いところは、普通なところである。まだまっさらで、成長のノビシロがあるのだ。彼は、作品を通して成長するだろう。だから地の文――心の声も、いずれは魅力的になるだろう。それを願うばかりだ。さぁ、書こう。
……以上。(こんな日もある)




