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木下秋「ガールズ・トーク」セルフ・インタビュー

野良小説家(自称)、木下秋が新作「ガールズ・トーク」を投稿した。


二十一回目を迎えたテーマ短編。テーマ『ホイップクリーム』に合わせて書かれた「ガールズ・トーク」を、彼はどんな思いで書いたのか。本人に語ってもらった。



(取材・文/木下秋)






「結局、『何か、自分以外の誰かに訴えかけたいものがなければ、ダメだ!』って思った」




――まず、『ホイップクリーム』というテーマについて、どう思いました?



秋:そうね……「そうきたかぁ!」って感じだよね。(笑) まぁテーマ発表者は憂木くんだったからね。変化球で来るとは思ってたんだけど……。アイデアが浮かぶまではちょっとかかったかな。



――今回はどれくらいの時間でアイデアが浮かび、書き上がったのですか?



秋:まず、書こうと思った話が十分ちょっとで浮かんだんですよ。っていってもオチもなにも決まってない、コンセプトがね。こんな主人公が、こんなことする! みたいな。でも、それは長くなっちゃいそうだったから、三日とか五日くらいして保留にしたの。どう考えても一万字に収まりそうになくて、先月がかなりオーバーしたからね。今回はちゃんと守りたかったんだ。字数制限を。だから他のアイデアを出した。二本目のアイデアはなかなか浮かばなかったなぁ……三日くらいかかったかも。でも、キッカケがあってね。結局、『何か、自分以外の誰かに訴えかけたいものがなければ、ダメだ!』って思ったんだよね。



――つまり、『メッセージ性』というやつでしょうか。



秋:そう。読み終わった人に『んで結局、何が言いたかったの?』って言われちゃったらおしまいだと思ったんだよね。だから今回はメッセージ先行で。お話が出来上がってからそこに『ホイップクリーム』要素を組み入れる形にしたんだ。



――確かに、今回はテーマ要素が薄い気もしますね。



秋:まぁ、『ホイップクリーム』言われても……って感じはあるからねぇ。(笑) どんなテーマでも書くけどさ。今年入ってからでは『 if 』、『他殺』、『カタストロフィ』……どれも抽象的じゃない? でも『ホイップクリーム』は固有名詞だからねぇ!(笑) おもしろいけどね。まぁ、今回のお話に組み込んだ『ホイップクリーム』の意味としては、よくかき混ぜなきゃいけないものだからさ。そこに込める想い、みたいな意味でエッセンス的に関わってきていると、自分では思っているんだ。





「ネタです」




――そんなところから生まれた「ガールズ・トーク」な訳ですけど、それではメッセージとしてはどんな“訴え”が込められているのでしょうか。



秋:小説に込めた『訴えたいこと』をわざわざ言って説明するなんて、それじゃあ小説を書いた意味がないからね。ここであえて言うようなことはしたくないな。



――簡潔に、一言で言うと……。



秋:あえて言うなれば、『人間関係』について。だね。



――ちなみにですけど、その表現者ぶった偉そうな態度はネタですよね?



秋:ネタです。



――よかったです。



秋:実は作中でナオとスゥがしている会話は、本当に私と友人がした会話、そのものでね……。(笑)



――そうなんですか? もしそうなのだとしたら、ちょっとなんというか、女々しいお話をしてたんですね。(笑)



秋:そう。まぁ『女々しい』っていう表現は女性に対して差別的というか、良くない表現だけれどね。女の子がしそうな会話、ってか。高校時代の友人でS氏っていうんだけど、彼は野球部でキャプテンをやってたようなスポーツマンなのね。そんで私は運動オンチマン。まんま作中のナオとスゥみたいな関係で。でも、価値観が合うというかね。彼も彼で本読んだりはすきだし、僕も走るのとか球技はダメなんだけど、歩くのと自転車漕ぐのはすきだからね。だから気が合うんだ。お互いロマンチストだし……。(笑) 実際はね、S氏のお姉さんが彼氏に靴下をあげたっていうんだ。でもその彼氏には靴下に対するこだわりがあったらしくてね。「ぶ厚くね?」とか言われたそうなんだ。「それは違くねぇ⁉︎」って、二人して怒ったよ。(笑) まずプレゼント貰ったなら「ありがとう」だし、それは思っても言うなよ、と。こだわりがあるのもわかるんだけど、恋人にプレゼントとして貰ったならそれは例外で大切にするでしょう? 普通。……まぁそんな会話をしたんだ。






「僕にとって人間関係とは、思いやり合い、尊重し合う、純粋で、誠実なものでなくてはならない」




――「ガールズ・トーク」は『友情』について書かれた作品のような印象を受けるんですけど、秋さんにとって『友達』ってどんな存在なんですか?



秋:そうね……まず、僕って友達が六人しかいないんだけど。それを“少ない”って思う人もいると思うんだけど、でもちゃんと『六人いる』って胸を張って言えるって、僕的にはとってもうれしいことなんだ。小学校の時は、僕自身の問題で友人を全て無くしたりなんかした。中学に入る際には反省して、人間関係について一から考え直したよ。真剣にね。結局中学では友人がたくさんできたんだけど、でも、それは私にとっては理想的な人間関係ではなかったんだ。広く、浅くというかね。人数はそれなりにいたけど、僕はそんな友人関係が欲しかったわけじゃなかったんだ、って気付いた。数人の“親友”が欲しかったんだ。お互いに尊重し合えるようなね。高校に入って、まぁいろいろあったんだけど、結論を言うと、できた。それはもううれしかったし、誇れることだと思ってるんだ。その時できた友人が、その六人だ。大学でも友人を作ろうとは思ったんだけどね……ある日、三人の男が一人の男に学生証を渡しているのを見た。授業の出席は学生証に内蔵されたICチップを教室の機械にかざすことでとるんだ。……つまり、そういうことだった。その学校にはそんな奴ばっかりいた。僕はすっかり失望して、そんな汚い人間関係はいらないと、頑なに一人でいることを選んだ。僕にとって人間関係とは、思いやり合い、尊重し合う、純粋で、誠実なものでなくてはならないんだ。……まぁ、疲れる。でもね、そこは譲れない。僕の倫理、正義に反するから。……頭の固い人間だとは思うけど、生きる上で大事なんだ。



――……なるほど。では、秋さんにとって『友達』とは、一言で言うと?



秋:命……魂……心、かな。そんな一番大切なものを、分割して愛する人それぞれに託している感覚なんだ。僕にとってはね。だから、そんなにたくさんは無理なんだ。

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