表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

百獣の王が負けたらしい

 オレは百獣の王、ライオンだ。

 弱肉強食のこのサバンナにおいてオレに勝る者はいない。

 しかし、あるときそんなオレに勝負挑んできたやつがいた。

 そいつの名はニンゲンというらしい。

 おろかなやつだ、爪も牙もない分際でこのオレに挑もうとは……

 いいだろう、オレにとってはこいつもまた餌に過ぎないのだからな。


=============================================


 オレは敗れた。

 最強のはずのこのオレが。

 人間たちが取り出した「ますいじゅう」なる筒によって。

 オレは現在、「どうぶつえん」なる鋼鉄の檻の中にいる。

 敗れたオレは、これまでオレがそうしてきたように、やつらの餌となるのだと思っていたのだが……

 打倒した相手を殺さず、しかも餌まで与えようとは、俺には理解できない考えだ。


 ここでの生活は非常に楽だ。

 食事は決められた時間にやってくる。

 だがしかし、解せんことが一つある。

 このまえ、ニンゲンの子供が「あ、ライオンさんだ!」などと言いながら、オレのことを指さしてきたのだ。

 馬鹿にされている!

 これは百獣の王として、見過ごすわけにはいかん。

 そう思ったオレは、威嚇の咆哮をあげた。

 ふっ……懐かしい、サバンナにいたころは、ライバルのチーターや野蛮なハイエナ共もこれを聞けば逃げ出したものだ。

 ましてや、ニンゲンの小娘など……

 と、思ったが、なんとやつはオレの咆哮を聞いても、「わー、すっごーい!」などと言って怖がるどころか喜びはしゃぎおったのだ。


「分からん……ニンゲン、おそるべし!」


 そして、オレは今日もやってくるであろうニンゲンの子供たちを、どう怖がらせるか考えるのである。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ